【詳報】警察への不満アンケート「逮捕」編 弁護士の3分の2が疑問視「安易に逮捕しすぎ」

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弁護士ドットコムは、会員の弁護士に「警察の対応への不満」についてのアンケート(実施期間:2022年12月21日~2023年1月9日)を実施し、105人から回答が寄せられた。結果を4回に分けて詳報する。逮捕について疑問や不満を抱いたことはあるかとの問いには、66.7%の弁護士が「とてもある」「ややある」と答えた。「安易に逮捕しすぎる」など必要性を問うコメントが多く見られた。

●「逮捕→報道」のコンボで家族関係が崩壊逮捕のあり方への疑問としては、以下のようなコメントがあった。「勾留される可能性がそもそも低いのに逮捕をする」「別件での逮捕・勾留・起訴後勾留を利用して、同種事案の取調べを行っている」「逮捕するような事案でもないのに逮捕したり、報道を行ったりすることによって、家族関係が破壊され、家族等の協力を得られず、弁護活動に悪影響が出たということがある」「任意でかなりの情報を引き出して取り調べを継続したうえ、家族の受験や転勤という大切な時期にあえて通常逮捕に踏み切るなど、首をかしげるような逮捕事例も多くみられた」また、交通事犯に対応した弁護士からは次のような意見もあった。「死亡交通事故の運転者は事故態様(死亡原因)が明らかであっても原則現行犯逮捕され、逮捕中の取調べにおいて自白調書が作成されると釈放されるのが常例」「交通事犯については、恣意的検挙が常態で、警察官が現認したか否かによって現場処理が左右されるのが当たり前の世界」●ハードルの低さゆえに目立つ「逮捕されない」「捜査されない」一方で被害者側の代理人を務めた弁護士からは、「逮捕されない」ことへの不満も。「傷害のケースで、警察が現場に来て暴行の事実が明白なのに逮捕されなかった件がある。被疑者の職業柄や住居等を考慮して逮捕の必要性なしと判断したように思われないケースであった」また、被害届や告訴状を受理してもらえないという声もあった。「親族間の傷害事件で、被害者と一緒に被害届を出しに行ったところ、診断書や怪我の写真もあったのに、親族間だからとひたすら被害届の提出をしないように説得された」「ある特別法違反で警察署に告訴状を持って言ったことがあるが、法律がよく分からない、慣れていないと言われて告訴を受理してもらえなかった」「ピンキリだとは思うが、経済事案(横領、詐欺)や名誉毀損についての対応が遅すぎる(受理も渋るし、受理後の対応も遅い)。対応が後手に回り、あやうく被告人が有していたPC上の情報が消されるところであった」ここだけを見ると警察が板挟みになっているようにも見えるが、逮捕のハードルが低く感じられる事案が一定数あるからこそ、どうして逮捕されないのか、捜査に動いてくれないのか、という不満が生まれていると考えたほうが自然だろう。「微罪でも逮捕する一方で、重罪でも逮捕しない場合があるなど、判断が恣意的」という意見があるように、基準がよく分からないという部分に原因があるようだ。「逮捕は本当は裁判所の判断なので裁判所への不満だが、法律の要件ではなく否認してるとか警察の都合で逮捕したりしなかったりしている」そして、そうした警察の運用に対し、裁判所が「自動発券機」状態になっていることを批判する声もあった。このほかでは、逮捕時の実名報道に言及するコメントもあった。「現在の警察・記者クラブの連携ありきの興味本位のマスコミ報道を前提とすると、被疑者が実名報道された場合に、その後の処分まで報道がフォローしてくれないため、誤った逮捕であった場合に一般人が実名報道を受けた場合のダメージは計り知れない。意趣返しのようになってしまうが、警察官が逮捕された場合にもきちんと実名報道をすべきだと思う。それが自主的に出来ないのであれば、逮捕時の実名報道は基本的に報道機関による自粛を促すか、報道機関への情報提供を制限する立法化政策が必要だと思う」●関連記事【概要】弁護士が見たひどすぎる警察官 LGBT当事者への差別、被疑者をお前呼ばわり【アンケート】
弁護士ドットコムは、会員の弁護士に「警察の対応への不満」についてのアンケート(実施期間:2022年12月21日~2023年1月9日)を実施し、105人から回答が寄せられた。結果を4回に分けて詳報する。
逮捕について疑問や不満を抱いたことはあるかとの問いには、66.7%の弁護士が「とてもある」「ややある」と答えた。「安易に逮捕しすぎる」など必要性を問うコメントが多く見られた。
逮捕のあり方への疑問としては、以下のようなコメントがあった。
「勾留される可能性がそもそも低いのに逮捕をする」
「別件での逮捕・勾留・起訴後勾留を利用して、同種事案の取調べを行っている」
「逮捕するような事案でもないのに逮捕したり、報道を行ったりすることによって、家族関係が破壊され、家族等の協力を得られず、弁護活動に悪影響が出たということがある」
「任意でかなりの情報を引き出して取り調べを継続したうえ、家族の受験や転勤という大切な時期にあえて通常逮捕に踏み切るなど、首をかしげるような逮捕事例も多くみられた」
また、交通事犯に対応した弁護士からは次のような意見もあった。
「死亡交通事故の運転者は事故態様(死亡原因)が明らかであっても原則現行犯逮捕され、逮捕中の取調べにおいて自白調書が作成されると釈放されるのが常例」
「交通事犯については、恣意的検挙が常態で、警察官が現認したか否かによって現場処理が左右されるのが当たり前の世界」
一方で被害者側の代理人を務めた弁護士からは、「逮捕されない」ことへの不満も。
「傷害のケースで、警察が現場に来て暴行の事実が明白なのに逮捕されなかった件がある。被疑者の職業柄や住居等を考慮して逮捕の必要性なしと判断したように思われないケースであった」
また、被害届や告訴状を受理してもらえないという声もあった。
「親族間の傷害事件で、被害者と一緒に被害届を出しに行ったところ、診断書や怪我の写真もあったのに、親族間だからとひたすら被害届の提出をしないように説得された」
「ある特別法違反で警察署に告訴状を持って言ったことがあるが、法律がよく分からない、慣れていないと言われて告訴を受理してもらえなかった」
「ピンキリだとは思うが、経済事案(横領、詐欺)や名誉毀損についての対応が遅すぎる(受理も渋るし、受理後の対応も遅い)。対応が後手に回り、あやうく被告人が有していたPC上の情報が消されるところであった」
ここだけを見ると警察が板挟みになっているようにも見えるが、逮捕のハードルが低く感じられる事案が一定数あるからこそ、どうして逮捕されないのか、捜査に動いてくれないのか、という不満が生まれていると考えたほうが自然だろう。
「微罪でも逮捕する一方で、重罪でも逮捕しない場合があるなど、判断が恣意的」
という意見があるように、基準がよく分からないという部分に原因があるようだ。
「逮捕は本当は裁判所の判断なので裁判所への不満だが、法律の要件ではなく否認してるとか警察の都合で逮捕したりしなかったりしている」
そして、そうした警察の運用に対し、裁判所が「自動発券機」状態になっていることを批判する声もあった。
このほかでは、逮捕時の実名報道に言及するコメントもあった。
「現在の警察・記者クラブの連携ありきの興味本位のマスコミ報道を前提とすると、被疑者が実名報道された場合に、その後の処分まで報道がフォローしてくれないため、誤った逮捕であった場合に一般人が実名報道を受けた場合のダメージは計り知れない。
【概要】弁護士が見たひどすぎる警察官 LGBT当事者への差別、被疑者をお前呼ばわり【アンケート】

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