関東連続強盗、押収スマホから別の都内住所と「犯行示唆」…警察が住人に避難促す

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関東地方で相次いだ強盗事件で、強盗グループが使用していたスマートフォンから東京都足立区の住宅に関する記載が見つかり、警視庁が住民を避難させたことが捜査関係者への取材でわかった。
狛江市の事件では住人女性が殺害されており、警視庁は各県警との情報共有を強化し、捜査を進めている。
■狙われる恐れ
「狛江市の大塩さん宅が狙われている」。19日に起きた強盗殺人事件は、千葉県警から警視庁にそうした情報が寄せられたことが発覚のきっかけだった。
捜査関係者によると、千葉県大網白里市で12日に起きた強盗致傷事件で、翌日に逮捕された自衛官の男(23)のスマホを県警が解析。通信アプリ「テレグラム」に「仕事」と題するメッセージがあり、大塩さん宅の住所や在宅状況などが記されていた。19日午後に連絡を受けた警視庁の警察官が住宅を訪れ、大塩衣与さん(90)の遺体を発見した。
狛江市の事件に関する記載は、中野区で先月起きた強盗致傷事件の捜査で押収したスマホからも見つかった。このスマホには足立区の住所も記載され、強盗に入ることを示唆するような内容だったという。
警視庁は、この足立区の住宅も狙われる恐れがあると判断。周辺に警察官を配置して警戒を強化するとともに、住人を避難させて安全を確保した。
このスマホは、中野区の事件で今月21日に逮捕された職業不詳の永田陸人容疑者(21)(金沢市)が乗っていたレンタカーから見つかったが、永田容疑者は調べに「自分のスマホではない」と話しているという。
■類似の手口
都内と近郊の5県では先月以降、住宅や店舗を狙った強盗や窃盗事件が多発している。特に今月9~14日はわずか6日間で計7件の事件が相次いだ。
渋谷区の貴金属店で先月16日未明、ショーケースがハンマーで壊されてネックレスやピアスなど29点(約270万円相当)が盗まれた事件では、警視庁が19歳の男3人を今月17~18日に窃盗容疑で逮捕した。
3人は一連の事件のうち複数の事件に関与した疑いがあるという。自衛官と同様にテレグラムを通じて指示役から手口などを伝えられており、うち1人は調べに「金に困って闇サイトの募集に応じ、2人を誘った」と供述している。
警視庁は、いずれの事件も、指示役が闇サイトで募集するなどした実行役に報酬を与え、強盗に入らせたとみて調べている。
■SNSで募る
「闇バイト」などと称して実行役を募る手口の強盗事件は、過去にも起きている。2019~20年に首都圏などで頻発した「アポ電(アポイントメント電話)強盗」もその一つだ。
19年2月に江東区の住宅で起きた事件では、強盗グループに縛られて口をテープでふさがれるなどした女性(当時80歳)が死亡。事前に被害者の資産状況を聞き出すアポ電があった。実行役は20歳代の男3人(強盗致死罪などで懲役27~28年、控訴)で、うち1人がSNSで「高額報酬」などをうたい、仲間を募っていたとされる。
SNSでは強盗を意味する「叩(たた)き」などの隠語を使い、メンバーを募集する書き込みが今も後を絶たない。治安対策に詳しい東京都立大の星周一郎教授(53)(刑事法)は「有害な書き込みについて、削除要請などの対策や捜査を強化し、簡単に闇バイトを募集できないような環境にしていく必要がある」と話した。

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