東京消防庁が2022年に受けた119番の件数は、速報値で103万6645件(前年比約13万8000件増)となり、現在の集計方法になった15年以降で初めて100万件を超え、最多となった。救急車の出動件数も87万2101件(同約12万8000件増)と過去最多を更新。収束の兆しが見えない新型コロナウイルス禍を背景に、業務逼迫(ひっぱく)は今も続いている。
通報・出動件数最多 コロナ、猛暑で逼迫 逼迫する救急搬送の現場で、過酷な勤務を強いられている救急隊員らの疲労も限界にきている。2022年末には、隊員の疲れが一因とみられる救急車の横転事故も発生した。
事故は22年12月29日未明、東京都昭島市拝島町の国道16号で発生。東京消防庁の男性救急隊員3人が乗った救急車が、患者の搬送を終えて消防署に戻る途中で中央分離帯に衝突し、横転した。警視庁昭島署がくわしい事故原因を調べているが、隊員はいずれも打撲などの軽傷を負い、救急車はフロントガラスが大きく割れて走行不能となった。 捜査関係者によると、ドライブレコーダーには事故直前、運転席や助手席に座る隊員が居眠りしている様子が映っていたという。 ただ、隊員は事故直前まで、長時間にわたり働き続けていたことも明らかになった。 東京消防庁によると、隊員3人は事故発生前日の28日午前9時から事故が起きるまでの約17時間連続で勤務し、計7件の出動に対応していた。救急業務の逼迫で長時間労働にならざるを得ない状況があったとみられ、運転していた50代隊員は「眠気に襲われた」と説明しているという。 事態を重く見た東京消防庁は17日、消防総監をトップとする「救急需要等対策本部」を設置。人材確保などに組織を挙げて取り組む方針を示した。 事故について、東京消防庁は「救急隊への負荷が事故につながった可能性は否定できない」とし、交代勤務を確実に実施して隊員に無理をさせないよう各署に通達を出したことを明かした。一方で「高い救急需要が続く中では人繰りに難しさもある。マンパワーを中長期的に増やすしかない」とした。【岩崎歩】
逼迫する救急搬送の現場で、過酷な勤務を強いられている救急隊員らの疲労も限界にきている。2022年末には、隊員の疲れが一因とみられる救急車の横転事故も発生した。
事故は22年12月29日未明、東京都昭島市拝島町の国道16号で発生。東京消防庁の男性救急隊員3人が乗った救急車が、患者の搬送を終えて消防署に戻る途中で中央分離帯に衝突し、横転した。警視庁昭島署がくわしい事故原因を調べているが、隊員はいずれも打撲などの軽傷を負い、救急車はフロントガラスが大きく割れて走行不能となった。
捜査関係者によると、ドライブレコーダーには事故直前、運転席や助手席に座る隊員が居眠りしている様子が映っていたという。
ただ、隊員は事故直前まで、長時間にわたり働き続けていたことも明らかになった。
東京消防庁によると、隊員3人は事故発生前日の28日午前9時から事故が起きるまでの約17時間連続で勤務し、計7件の出動に対応していた。救急業務の逼迫で長時間労働にならざるを得ない状況があったとみられ、運転していた50代隊員は「眠気に襲われた」と説明しているという。
事態を重く見た東京消防庁は17日、消防総監をトップとする「救急需要等対策本部」を設置。人材確保などに組織を挙げて取り組む方針を示した。
事故について、東京消防庁は「救急隊への負荷が事故につながった可能性は否定できない」とし、交代勤務を確実に実施して隊員に無理をさせないよう各署に通達を出したことを明かした。一方で「高い救急需要が続く中では人繰りに難しさもある。マンパワーを中長期的に増やすしかない」とした。【岩崎歩】