博多女性殺害、事件前に母に迎え頼む電話…帰宅途中を待ち伏せされたか

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福岡市博多区のJR博多駅近くの路上で女性が殺害された事件で、福岡県警は17日、女性の身元を同県那珂川市の会社員川野美樹さん(38)と発表した。
司法解剖の結果、川野さんの死因は失血で、頭や胸に刺し傷や切り傷が十数か所あり、県警は襲った男に強い殺意があったとみている。
県警によると、川野さんは上半身を中心に刺し傷や切り傷があり、手には身を守ろうとする際にできる防御創(そう)と呼ばれる傷があった。骨折も確認された。
事件は16日午後6時15分頃、博多駅から北西約200メートルのオフィスビルやホテルが立ち並ぶ一角の路上で発生。川野さんは現場にあおむけで倒れており、病院に搬送されたが、間もなく死亡が確認された。
川野さんは現場近くの会社に勤めており、帰宅途中を男に待ち伏せされ、襲われたとみられる。男は30~50歳代で、川野さんに馬乗りになって暴行したり、犯行後に刃物をバッグに入れて逃走したりする様子の目撃情報もある。県警は殺害の状況について詳しく調べるとともに、現場周辺の防犯カメラの映像を分析するなどし、男の逃走ルートの特定を進める。
また、川野さんは県警に「男性につきまとわれている」などと相談していたが、事件後、この男性と連絡が取れなくなっており、県警は男性が何らかの事情を知っているとみて、事件との関連を調べている。
県警は17日、殺人事件として、博多署に捜査本部を設置した。
■「雨が降っているので迎えに来て」
「今年のお正月に会った時には元気そうだったので、びっくりしている」。川野さんの親族の女性(82)は17日、そう言って肩を落とした。
女性によると、川野さんの母親から16日夜、電話があった。母親の説明では、川野さんからこの日、「仕事が終わったので今から帰る。雨が降っているので駅まで迎えに来てほしい」と電話で頼まれ、博多南駅まで迎えに行った。しかし、姿を見せなかったため母親が携帯電話に電話すると、警察官が出て川野さんが心肺停止だと伝えられ、「博多署に来てください」と言われたという。
親族や近所の住民などによると、川野さんは離婚後、那珂川市に転居し、両親、娘との4人暮らし。JR博多駅前の会社で働いていたが、那珂川市内でエステサロンを経営していたこともあったという。
女性は「ダンスが好きで明るい性格だった。友だちも多かったのに、突然こんなことになって、かわいそうでたまらない」と声を詰まらせた。
事件現場では17日、花を手向ける人の姿が見られた。午後4時半頃、花を供えて手を合わせた女性は「無念だったと思う。ニュースを見て、いてもたってもいられずに来た」と話した。

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