ライブ「縦ノリ」で起きる「震度3」の揺れ、8割カット…トランポリンの原理で

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ライブなどで観客が音楽に合わせて跳びはねる「縦ノリ」による振動を抑えようと、大手設計会社「日建設計」(東京)は、周辺施設の振動を8割以上低減できる技術を考案し、特許を取得した。
同社の担当者は名古屋大減災連携研究センターで防振を研究したといい、前センター長の福和伸夫・名大名誉教授も「縦ノリによる共振の解決策として期待できる」と話す。
ライブハウスやホールでの縦ノリによる振動は地盤を通じて周辺に伝わり、震度3程度の揺れとなることもある。近隣住民とのトラブル回避のため、運営側が縦ノリを禁じたり、ライブを断念したりする例もある。
同社の発表によると、考案したのは「縦ノリ振動防振架構」。床下に設置された高強度の鋼材でつくった細長い梁(はり)がしなることで、振動を地盤に伝わりにくくする。また、梁に錘(おもり)をつり下げ、揺れを吸収する制振ダンパーも床下に設けることで、床の揺れも抑えられるという。
トランポリンで跳びはねても下の床には振動が伝わりにくいのと同じ原理といい、同社の担当者は「観客がふわふわして気分が悪くならないよう、錘や制振ダンパーで揺れを小さくし、早く収まるようにした」と説明する。担当者は名大で福和名誉教授らの指導も受けながら、昨年6月には特許も取得。その後の実証実験でも縦ノリの振動を8割ほど低減させる効果が確認されたという。
従来の縦ノリによる共振の低減策は、地盤をコンクリートで固めたり、杭(くい)を打ったりする大がかりな工事が必要だった。福和名誉教授は「素朴な技術だが、通常は『硬く、軽く』設計する梁を『軟らかく、重く』するアイデアがユニークだ。世界に普及する技術になり得る」と評価している。

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