3億6千万円の部屋も! 地面師事件の土地にタワマンが誕生、売れ行きは?

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JR五反田駅から徒歩5分、目黒川を渡ると建設中の高層ビルが聳え立っている。
【写真を見る】3憶6千万円の部屋もある高級タワマン! 敷地約2千平方メートル、竣工すれば高さ約106メートル、地上30階のタワーマンションになるという。ひっきりなしに出入りするダンプの喧騒もあって、かつての面影はまったく感じられないが、つい2年ほど前まで、ここには雑木に囲まれた古旅館が建っていた。その名は「海喜館(うみきかん)」。積水ハウスが巨額の金をだまし取られた詐欺事件の舞台となった場所だ。

社会部記者が言う。「2017年に起きたこの事件では、10人の詐欺師グループが暗躍し、その中の“所有者”と名乗る女性を信用して積水ハウスは約55億円を払ってしまった。その後、詐欺師グループは逮捕されましたが、だまし取られた金のうち約30億円は今もって行方が分かっていません。一方、だまされた積水ハウスでも会長が社長一派に解任されるという内紛が起きました。海喜館の土地は真正の所有者の親族が相続し、それをさらに旭化成の関連会社が買い取ったのです」「海喜館」価格は最高値で3億円超え 都心部でも有数の広さといわれた土地は更地となり、昨年4月からマンションの建設が始まった。再来年3月に竣工・引き渡しが行われるという。今年10月から販売を始めていて、値段は1億758万円~3億5990万円。もっとも広い部屋は126.94平方メートルだ。 旭化成の関連会社によると、「約200戸あるうち、第1期分譲として半分を売りに出しましたが、すでに8割が埋まっている状態です。出足としては非常に好調といってよいと思います」(広報担当者) とのことだが、この場所が詐欺事件の舞台であった事実を顧客に教えたかどうかについては、「申し訳ありませんが、その件についてはコメントできません」(同) と口をつぐむ。不動産コンサルタントの森島義博氏が言うのだ。「不動産販売会社に顧客への告知義務が生じるのは、その場所で殺人事件が起きたとか自殺などがあった場合です。“心理的瑕疵物件”というのですが、そのわけは幽霊が出るのではないかなど、お客さんが不安がるから。詐欺事件の場合は、告知する必要がありません。お客さんにとっても関係のない出来事でしょう。価格も最高値で3億5990万円だと坪900万円台ですから、五反田としては妥当な額です」 過去最大級の不動産詐欺事件などまるで無かったかのように、マンションは日に日に高くなっている。「週刊新潮」2022年12月29日号 掲載
敷地約2千平方メートル、竣工すれば高さ約106メートル、地上30階のタワーマンションになるという。ひっきりなしに出入りするダンプの喧騒もあって、かつての面影はまったく感じられないが、つい2年ほど前まで、ここには雑木に囲まれた古旅館が建っていた。その名は「海喜館(うみきかん)」。積水ハウスが巨額の金をだまし取られた詐欺事件の舞台となった場所だ。
社会部記者が言う。
「2017年に起きたこの事件では、10人の詐欺師グループが暗躍し、その中の“所有者”と名乗る女性を信用して積水ハウスは約55億円を払ってしまった。その後、詐欺師グループは逮捕されましたが、だまし取られた金のうち約30億円は今もって行方が分かっていません。一方、だまされた積水ハウスでも会長が社長一派に解任されるという内紛が起きました。海喜館の土地は真正の所有者の親族が相続し、それをさらに旭化成の関連会社が買い取ったのです」
都心部でも有数の広さといわれた土地は更地となり、昨年4月からマンションの建設が始まった。再来年3月に竣工・引き渡しが行われるという。今年10月から販売を始めていて、値段は1億758万円~3億5990万円。もっとも広い部屋は126.94平方メートルだ。
旭化成の関連会社によると、
「約200戸あるうち、第1期分譲として半分を売りに出しましたが、すでに8割が埋まっている状態です。出足としては非常に好調といってよいと思います」(広報担当者)
とのことだが、この場所が詐欺事件の舞台であった事実を顧客に教えたかどうかについては、
「申し訳ありませんが、その件についてはコメントできません」(同)
と口をつぐむ。不動産コンサルタントの森島義博氏が言うのだ。
「不動産販売会社に顧客への告知義務が生じるのは、その場所で殺人事件が起きたとか自殺などがあった場合です。“心理的瑕疵物件”というのですが、そのわけは幽霊が出るのではないかなど、お客さんが不安がるから。詐欺事件の場合は、告知する必要がありません。お客さんにとっても関係のない出来事でしょう。価格も最高値で3億5990万円だと坪900万円台ですから、五反田としては妥当な額です」
過去最大級の不動産詐欺事件などまるで無かったかのように、マンションは日に日に高くなっている。
「週刊新潮」2022年12月29日号 掲載

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