「なぜ愛子さまは天皇になれないのか」海外メディアが不思議がる“3つのポイント” 「日本中が彼女を慕っているが…」

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6月30日、政府は皇族数の確保に向けた皇室典範改正案を閣議決定した。宮内庁内では改正法案の細部などについて“寝耳に水”との声もあがったと報じられた。その直前に飛び出した自民党の中曽根弘文氏による、天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(24)の皇位継承は「あり得ない」「結婚する人もいない」といった驚きの発言も物議をかもしている。
【写真】愛子さまは初めての“喪服姿”で堂々と…ブラックのイヤリング&ネックレスをお召しに
こうした問題について海外メディアからの質問も多く寄せられたという名古屋大学大学院人文学研究科教授の河西秀哉氏が、彼らが不思議がる「3つのポイント」を解説する。
6月25日、「生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ」展を鑑賞される愛子さま[代表撮影]。雅子さまもお召しになった森英恵氏デザインのセットアップは胸元のリボンが印象的 時事通信社
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「皇族数確保」をめぐる国会での議論、政府による閣議決定など、皇室をめぐるニュースが毎日のように飛びかっている。天皇自身も会見で、「国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」と発言し、その意思をめぐって、様々な報道が展開された。このように、戦後初の皇室典範改正に向けて、注目が高まっていると言えるだろう。私のところにも多くの取材依頼がやって来る。そのなかで、今回、海外の新聞社や雑誌、テレビなどからも取材があった。
彼らが聞きたいことはシンプルである。次の3点である。(1)なぜ愛子内親王は天皇になれないのか、(2)なぜ政府自民党はそれほどまでに頑なに女性を天皇にしたがらないのか、(3)養子の対象となっている旧宮家とは何か、という質問に集約される。
まず、(1)なぜ愛子内親王は天皇になれないのか、から見てみよう。この質問が実は一番多い。今回、ポルトガルの『Expresso』というメディアでは、「日本中が彼女を慕っているが、法律の壁により天皇になれない 愛子内親王の不思議なケース」という女性天皇に関する記事を掲載した。このタイトルが示すとおり、彼らは女性がなぜ天皇になれないのか、相当に不思議だったようである。
ヨーロッパでは、基本的に王制は長子優先継承へと変化している。スウェーデンが1980年に王位継承法を改正して男女の区分のない長子優先継承へと変化し、オランダも1983年に王位継承法を改正、ノルウェーは1990年に憲法を改正、ベルギーは1991年に議会が長子優先継承とすることを決定して憲法を改正。デンマークは2009年に国民投票が行われ85%の賛成票をもって長子優先継承に変更となった。イギリスも2013年に長子優先継承に変更している。
先日、天皇と皇后がオランダとベルギーを訪問したが、オランダでは22歳のカタリナ王女が、ベルギーでは24歳のエリザベート王女が彼らを迎えた。ともに次期国王である。特に、エリザベート王女は愛子内親王と同い年、しかも4人きょうだいで弟たちがいても長子優先のために王位継承順位が1位である。ちなみに、ポルトガルの隣のスペインは男子優先長子継承ではあるが、現在の国王のフェリペ6世には男子がいないため、20歳のレオノール王女が王位継承順位1位であり、スペインも次世代は女性が継承する。つまり、愛子内親王と同じ次世代のヨーロッパでは女王の時代になるのである。

そうすると、こうしたヨーロッパの世界からすると、なぜ愛子内親王は天皇になれないのか、不思議でならないのだろう。しかも、愛子内親王が近年、国民的な人気を得ていることも知っていると、さらにそうした形で法改正が行われないのか、気になって仕方がないようである。長子優先継承とならないのはなぜか。
2024年、国連の女性差別撤廃委員会が、男系男子のみが皇位を継承すると定めた日本の皇室典範を改正するよう勧告する最終見解をまとめたのも、こうした流れだろう。とにかく日本の男系男子に限定するあり方は、世界から不思議な目で見られている。

(2)なぜ政府自民党はそれほどまでに頑なに女性を天皇にしたがらないのか、の質問もそれに関係するだろう。なぜ政府自民党はそれほどまでに女性天皇を認めようとしないのか。先の国連の勧告でも、当時の林芳正官房長官が会見で「大変遺憾だ」と述べて強く抗議するとともに、削除の申し入れを行うことに言及していた。かなり強い反発である。こうした態度を取るのはなぜなのか、気になるのだろう。
やはりこの質問も、女性差別が根底にあるのではないかという問いとともに発せられる。記者と話していると、日本国憲法では法の下の平等が規定されているにもかかわらず、なぜ社会ではそうした慣行が未だに残っているのかが本当に不思議なようである。
私自身、それにうまく答えられているか自信がない。正直に言えば、私にとってもまったくもって不思議だからである。しかし、社会では男性が上で女性はそれに従うものだという感覚を持つ人に出会うことがある。そうした人々が今回、政府自民党のなかにいたのだろうし、またそうした人々が支持層にいるからこそ、そこに向けて女性を天皇にすることは避けねばならなかったのだろうと想像がつく。
そして、海外のメディアが質問してくるのは、(3)養子の対象となっている旧宮家とは何かという問題である。彼らは、こうした存在がなぜ今浮上してくるのか。そもそも今は一般人となっている人が皇族となってその子どもに皇位継承権が与えられるのに、なぜ愛子内親王もその子も天皇になれないのかが不思議なようである。『ニューヨーク・タイムズ』から取材を受けた際、特にこの点を質問され、記事になった。

旧宮家が現在の皇室からは男系としては600年ほど前に離れたことなどを説明すると、そうした遠く離れた人々をなぜ養子に? という疑問が記者から出てきた。やはりここでも、天皇の直系の娘である愛子内親王を差し置いて、という意識があるのだろう。
海外のメディアの取材を受けると、この「皇族数確保」の議論をめぐって日本が世界からどう見られているのかがよくわかる。では、日本国内ではこうした問題を疑問に思って話し合う機会は訪れるのであろうか。
(河西 秀哉)

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