「お前は心配するな」と笑っていた……享年76歳・突然死した夫がひた隠しにしていた“秘密”。遺族年金月6.5万円の妻「涙が止まりません」の理由

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夫はいつも「お前は心配するな」と笑っていた――。専業主婦として40年以上、家計を任せきりにしてきた恵子さん(71歳)。しかし夫が突然亡くなったあとに判明した、夫の“秘密”とは?
「お金のことは俺が見ているから、お前は心配しなくていい」
夫はいつも、そういって笑っていました。
恵子さん(仮名・71歳)は、専門学校を卒業後に地元の会社で事務職として働いていましたが、25歳のときに結婚して退職。その後は40年以上、専業主婦として家庭を支えてきました。
夫は5歳年上で、家計の管理はすべて夫が担当していました。恵子さんが受け取るのは毎月の生活費だけ。食費や日用品をやりくりする程度で、夫の収入や貯蓄の額について詳しく聞いたことはほとんどありませんでした。
「私より夫のほうが几帳面でしたし、きちんとやってくれていると思っていました」
結婚生活は穏やかなものでした。夫は定年退職後も「家にいると体がなまる」といって、週に数日、スーパーの駐車場整理の仕事をしていました。そんな生活が終わったのは、突然のことでした。
ある日の朝、夫はいつものように「昼には戻るよ」と言って出かけました。しかしその日の夕方、警察から連絡が入ります。自宅近くの公園で倒れているところを通行人が見つけ、病院に搬送されたものの、そのまま亡くなったという知らせでした。死因は心臓の疾患でした。
あまりの出来事に、恵子さんはただ呆然とするしかありませんでした。葬儀は親族中心の小さな形にしましたが、それでも費用は100万円近くかかりました。その支払いをどうするか考えたとき、恵子さんはある現実に気づきます。
「私、お金のことを何も知らない……」
恵子さん自身の貯金は、独身時代に貯めたものなどを合わせて120万円ほど。結婚後の家計はすべて夫が管理していたため、夫名義の貯金がどれくらいあるのかも分かりませんでした。
夫の通帳は見つかりましたが、残高は思っていたより少ないものでした。確認できた預金は、約280万円。
「え……これだけ?」
思わず声が出たといいます。
夫は長年会社勤めをしており、退職金も受け取っていました。だから老後資金には余裕があるものだと、どこかで思い込んでいたのです。
さらに不安を感じたのが、今後の収入でした。夫が亡くなると「遺族年金」が受け取れる――そのことはなんとなく知っていましたが、具体的な金額までは考えたことがありませんでした。
年金事務所で確認した結果、恵子さんが受け取れる年金は、自分の老齢基礎年金が月およそ6万円、夫の遺族厚生年金が月約6万5,000円。合計で月12万円余りでした。
遺族年金とは、家計を支えていた人が亡くなった場合に残された家族に支給される公的年金です。ただし、子どもが成人している場合などは「遺族基礎年金」の対象外となることが多く、受け取れるのは主に遺族厚生年金だけになります。その金額は亡くなった人の年金額の一部に限られるため、想像より少なく感じるケースも少なくありません。
恵子さんも、その現実を初めて知りました。持ち家のローンはすでに完済していましたが、固定資産税や光熱費、食費、今後の医療費などを考えると、年金月12万円と貯金280万円では決して余裕があるとはいえません。
「夫はいつも『お前は心配するな』っていってくれていました。でも……本当は、一人で全部背負っていたのかもしれませんね」
そこまで話すと、恵子さんの目から涙がこぼれました。思い返せば、夫は定年後も働き続けていました。「健康のため」「家にいても暇だから」といっていましたが、本当は生活費を補う必要があったのかもしれません。
それは、恵子さんを不安にさせないための、夫の「秘密」だったのかもしれません。
夫婦のどちらか一方に家計を任せる家庭は珍しくありません。ただ、貯蓄や年金、生活費などの情報を共有しておかなければ、いざというときに残された家族が戸惑うことになります。
恵子さんのケースでも、夫の優しさは結果として「お金のことを何も知らないまま」にしてしまいました。
「私も、ちゃんと聞いておけばよかったんです」
71歳の女性の平均寿命を考えると、これから先20年、場合によっては30年近く生活が続く可能性もあります。年金月12万円前後と貯金280万円という状況で、その長い時間を乗り切るのは、かなり難しいのが現実です。
まず考えなければならないのは、生活費の見直しです。通信費や保険、光熱費などの固定費を減らし、年金の範囲で暮らせる水準に近づけることが重要になります。また、体力が許すうちは短時間のパートなどで月に数万円でも収入を得られれば、家計の余裕は大きく変わります。
それでも難しい場合には、住まいを見直すという選択肢もあります。持ち家を売却して資金を確保する、あるいは子どもの近くに住み替えるといった方法です。
さらに、日本には生活が困窮した場合に利用できる公的制度もあります。収入や資産の状況によっては、生活保護のほか、高齢者向けの住宅支援や医療費の軽減制度などを利用できる可能性もあります。
老後の生活は、必ずしも家族だけで支えるものではありません。社会の制度を含め、使える仕組みを知ることも大切な備えの一つです。
夫が守ってきた生活を、これからどう支えていくのか――。恵子さんは、その現実と静かに向き合い始めています。

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