神戸山口組・井上邦雄組長の660坪豪邸が“強制競売”「暴力団がらみ物件」は税金で行政が買っても“塩漬け”多発か

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広域系三次団体組長だったオットが獄死。著書『極姐2.0』を持つ、本名・出身地もろもろ非公開の元極道の妻がリアルな暴力団の世界を語る。
【写真を見る】工藤會本部跡地の現在の様子、六代目山口組司忍組長らの近影など
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神戸山口組・井上邦雄組長のご自宅が強制競売にかけられたことが報道されましたね。ご自宅は2025年の1月に裁判所に差し押さえられていて、今年の2月24日に神戸地裁が入札を公告しました。3月24日に開札、売却決定期日は4月14日だそうです。
ちょっと気になったのは、複数のメディアが「落札先によっては、組長は強制退去を迫られることになる」と書いていることです。警察情報をもとにしているのでしょうが、「落札先次第では退去しなくていいかも」と読める表現は気になりますね。
今までなら”関係者”が買って、退去しなくていい状態にしてきたわけですが、今はヤクザも周辺の方々もいろいろ厳しいので、「お買い上げは不可能なのでは?」という雰囲気になっていますね。
物件が差し押さえられたのは、東京のコンサルティング会社と「山口組関係者」との金銭トラブルがきっかけです。暴力団対策法にもとづく「代表者責任」があるとして、コンサル会社側が井上組長に損害賠償を請求していました。
一審・二審とも井上組長側の敗訴で、2024年に大阪高裁が「約2億7000万円」の損害賠償を命じましたが、賠償していませんでした。そこで、2025年1月に神戸地裁が強制競売の手続きを開始。神戸市の自宅を差し押さえたのです。
まあ競売なのでしかたないのでしょうが、神戸市内で土地面積が約660坪もあるのに売却基準価格は5199万円だそうで、激安ですよね。1坪が8万円弱って……。そもそも賠償命令の2億7000万円にぜんぜん届いていないですしね。
ちなみにこのご自宅は、神戸山口組を離脱し山口組に復帰した山健組の組長が「先代の井上組長の私物ではなく山健組の財産」だと主張して、別の裁判を展開していました。
今の組長が先代を訴えるという異例の裁判でしたが、神戸地裁は2024年9月に「組員たちが資金を拠出した『客観的証拠』がない」として訴えを退け、井上組長の所有権が確定しています。
井上組長のご自宅をどなたが落札されるのかわかりませんが、今までも「暴力団事務所」や「関係者宅」の差し押さえや競売は行われてきました。
昨年は、五代目山口組の若頭を務めた故・宅見勝組長が立ち上げた宅見組の二代目・入江禎(ただし)組長の自宅が差し押さえられています。でも、「あそこの物件、結局どうなったの?」と調べても、入江組長の自宅だけでなく、まずその後が報じられることは少ないです。
不動産投資やマイホームのために安い物件を探している人にとって、自殺や殺人のあった事故物件より「暴力団がらみ物件」のほうが微妙かもしれません。誤爆や流れ弾というリアルな実害の心配がありますし、たとえば「シャッターに銃弾痕があります」と聞いて、買おうと思う人はいらっしゃるのでしょうか。
2021年には、運送会社さんの社員寮のシャッターに銃弾が撃ち込まれましたが、実は「10年以上前にヤクザ事務所として使われていた物件だった」そうで、後から報道されていました。
「幽霊物件」や「事故物件」は安さが魅力なので、わざわざ住む方も珍しくないものの、「暴力団がらみ物件」にあえて住みたい方がいらっしゃるのかどうか……。せっかく行政が買い上げても塩漬けになっている物件が大半だと思います。
尼崎市は「暴力団関連施設を市で買い取り、暴力団を排除することで、地域住民の安全安心を確保します」と公式サイトに掲げていますが、実際に売れているのかわかりにくく、税金を使って買い上げることには批判もあるようです。
「暴力団がらみ物件」の買い上げで成功しているのは、福岡県・北九州市内にある「工藤會本部」の跡地に建設中の福祉施設くらいでしょうか。「ひとりも取り残されない社会」をめざす牧師さんがクラウドファンディングなどで支援を呼びかけて全国から5000万円ほどの寄付が集まって、この夏の完成をめざしているそうです。
牧師さんが責任を持って活動されたことで成功した例ですね。買い上げてもその後の運営体制がきちんとしていないと、税金をドブに捨てるだけになってしまいます。
行政に安く買い叩かれて組員さんたちの住むところがなくなってしまえば、また新たな犯罪に走るでしょうし、血税をムダにして誰も住まないのであれば、それももったいない話です。
【プロフィール】待田芳子(まちだ・よしこ)/本名・出身地もろもろ非公開の元極道の妻。広域系三次団体組長だったオットが獄死。その後は普通のオバサンとして生きようと思ったのに、暴力団排除がひどすぎで声を上げずにいられなくなり、いろいろ発信している。著書に『極姐2.0』(徳間書店・2018年)がある。

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