猫の寿命が30歳に?新薬承認申請で注目される「ペットの延命」 飼い主が向き合うべき命の選択とは

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いま、猫の腎臓病治療薬が注目されている。猫の死因で一番多いとされるのは腎臓系の疾患で、その治療薬が3月に国に承認申請され、早ければ年内の実用化も視野に入っているという。そして、薬を開発した研究所によると、現在平均15歳ほどの猫の寿命が、倍の30歳になる事も不可能ではないという。
【映像】延命治療した猫(実際の映像)
SNSには歓喜の声があふれる一方、猫の体調を心配する反応も。猫の30歳は、人間に換算すると136歳。健康なら問題ないが、仮に健康を害して衰弱していた場合、無理に延命させるのは、飼い主のエゴではないかという意見もある。
医学の進歩で、ペットも長生きになる時代。飼い主は命と、どう向き合えばいいのか。『ABEMA Prime』では、獣医師とともに考えた。
新薬の登場について、ふじわら動物病院の藤原光宏院長は、「20歳ぐらいが寿命の猫が多いなか、頑張って25~30歳まで行くか。期待している人は多く、割と寄付も集まったようだ」と話す。
みなとまちアニマルクリニックの大山達也院長は、「20歳を超える猫も増えてきている印象だ。腎臓病に対しては良い薬で、寿命が延びる可能性はある」としつつ、「長生きすればするほど、他の疾患が発生する確率も増す。単純に寿命が倍増するかはなんとも言えない」と考えている。
また、「関節炎で悩む猫も増えているが、そこには寿命が伸びているせいもあるだろう。30歳まで生きても、痛みが出たり、闘病が必要になったりする場面はある」と推測する。
ペットの最期をどう迎えるべきか。大山院長は「何が正しいか、答えがない状況だ。点滴すると楽になる猫も一定数いるが、病院に行くのが大変であれば、負担になる部分もあるだろう。そこは都度、家族と相談しながら決めることになる」と語る。
文筆家で情報キュレーターの佐々木俊尚氏は、飼い犬の事故死を経験して、現在は7歳の保護犬を飼っているという。「『ペットの気持ちを分かっている』と思っている人は、擬人化しすぎで、単なる想像でしかない。『生きたいか、死にたいか』を判断する意識もなく、どれだけの痛みかもわからない」。
人間の場合を例に出し、「日本人は90歳近くまで生きるが、その前の10年間は病気がちだ。その間に『病気がちでも生きよう』と思うか、『人生を終わらせよう』とするかには、本人の意思がある。人間は『友達と遊びたいから生きる』などで判断するが、犬は他の犬とのコミュニケーションを考えない。猫にとって『痛いか、痛くないか』が日常の判断基準なのだとすれば、そこを人間が勝手に推測するのは強引ではないか」とした。
これに藤原院長は「動物は結局、今しか生きていない。『明日何しよう』はなく、『今楽しいか』で判断するため、1年先まで生きていたいという訳ではない。そこを飼い主がどう考えていくのかになる」と答える。
藤原院長の愛猫は、19歳で亡くなった。「当時は、獣医師は延命治療が仕事で、『死なせないことが正義』と思っていたが、それによって最期は苦しめた。呼吸不全を起こして、旅立つ姿を見て『これが動物にとって良いことなのか』と感じた」。
緩和ケアについては「みとるまでの間、なるべく痛みを取り、苦しめないようにする。触れて震えていたり、しびれや冷たさが確認されたりすると、『これなら痛みが出るだろう』と判断する。人間も、足が冷たくなり、血流障害を起こしただけでも痛みが出る。なんとか最期まで苦しめずに緩和ケアを行い、最期をみとる」と説明する。
大山院長は「最期の時にどうするか。家族内で意見が違うことも少なくない。元気なうちにではないが、話す時間を作っておくと、実際になった時には良いのではないか」と考える。
タレントの山崎怜奈は、「仕事している時間は、一緒に過ごせない。長い目で見ると、なでられる時間はさほど多くない。なるべく甘えさせてあげて、誰がどう見ても幸せそうな時間を少しでも増やしてあげたい。そのために体重や排せつ、食事、飲む水の量など、人間が見られる部分で、健康状態を細かく管理して、終末期までめでてあげたい」との感想を述べた。
(『ABEMA Prime』より)

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