名古屋市西区のアパートで1999年11月、住人の高羽奈美子さん(当時32歳)が刺殺された事件で、高羽さんの夫の悟さん(69)と長男の航平さん(28)が4月までに、殺人罪で起訴された安福久美子被告(69)に損害賠償を求める民事訴訟を名古屋地裁に起こす。
悟さんが7日、報道陣の取材に明らかにした。
起訴状では、安福被告は99年11月13日、アパートの一室で高羽さんを刃物のようなもので複数回刺して殺害したとされる。
事件後、容疑者が逮捕されない中、悟さんは現場保存のためアパートを25年余り借り続けて2000万円以上を支出。昨年10月、安福被告が殺人容疑で逮捕され、今月起訴された。
民法では、不法行為から20年で損害賠償の請求権がなくなると規定されているが、権利行使できない原因が加害者の不法行為にある場合にこの規定を適用するのは「正義・公平の理念に反する」と、賠償責任を認めた司法判断も複数ある。悟さんは、今回の訴訟でその点を主張する方針だ。
刑事事件で殺人罪の時効が撤廃されていることを踏まえ、悟さんは「賠償請求できる相手も分からなかったのに、民事では20年で(請求権を)切る、というのは正義に反する」と指摘。「全国の未解決事件の遺族が、事件が解決した時に賠償請求できるという判例を勝ち取りたい」と語った。