「りくりゅう」真似で病院受診も?SNSで相次ぐ“リフト動画”の代償…ケガしても「自己責任」弁護士が指摘

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ミラノ・コルティナ冬季五輪で金メダルに輝いた三浦璃来・木原龍一の「りくりゅう」ペア。その華麗な演技に影響を受け、「リフト」などの大技に挑戦する動画がSNSに投稿されている。
Instagramでは、父親が娘を、あるいは夫が妻を高く持ち上げる動画が確認できる。三浦選手を軽々と抱え上げる木原選手になぞらえた「木原運送」に挑戦する動画もあった。
ペアの演技の興奮が冷めやらぬ中、せがまれて応じてしまうのかもしれない。ただ、こうした行為でケガをしても、原則として自己責任となる。
実際、娘を持ち上げた父親が病院を受診したという報告もSNSに投稿されており、弁護士も注意を呼びかけている。
X上では、ケガを心配する声もみられる。
「インスタでりくりゅうのリフトを真似してお父さんが娘を持ち上げる動画が流れてきた。怪我人が出かねないので全国のパパさん気をつけてください」
「りくりゅうの真似をして子供を高く上げて回る動画が結構流れてくるんだけど、そうやって子供を落とすか自分の手をギクッてひねるかして病院に走った人、絶対いると思う」
Threadsでも、娘からの無邪気なリクエストに応えて抱き上げたところ、背筋を痛めて整形外科を受診したという投稿があった。
過去の冬季五輪でも、トリノ五輪金メダリストの荒川静香さんの「イナバウアー」を真似して「ぎっくり腰」になった人が来院したと、公式サイトで明かした治療院もある。
言うまでもないことだが、りくりゅうの演技を真似して、子どもを落としてケガをさせたり、自分が背中や肩などを痛めたりしても、基本的には自己責任だ。
西口竜司弁護士も「りくりゅうペアやテレビ局に責任はない」と指摘する。
──りくりゅうの真似をして「リフト」などの大技に挑戦し、ケガをする人もいるようです。さすがにないと思いますが、りくりゅうペアに責任はありますか。また、五輪を中継したメディアには責任はありますか。
どうも「にしりゅう」です(編集部注:西口竜司を略している)。真似をする人が出てくるとは思っていましたが、実際にケガの報告が出ているのは驚きです。
当然ながら、りくりゅうペアや競技を放送したテレビ局などに法的責任はありません。あくまで「やった人の自己責任」になります。
民法上、損害賠償請求が認められるには、相手方に故意(わざと)や過失(うっかり)があり、違法な行為があったことが必要です。
しかし、りくりゅうはルールに基づいた競技をしているだけで、「真似してほしい」と強制したわけではありません。
テレビ局も、五輪競技を放送することは正当な報道活動であり、危険な行為を煽っているわけではありません。
たとえば、プロの料理人がテレビで鮮やかな包丁さばきを披露していたとします。
それを見て視聴者が真似をして指を切ったとしても「料理人が悪い」とはなりませんよね。それと同じ理屈です。
平たく言えば、社会的にまともな行為であり、強制ではなく自由意思に基づくものであれば、原則として「自己責任」と評価されます。
ただし、例外的に責任が問われるケースもあります。
「誰でも絶対安全にできます」と、あたかも簡単であるかのように嘘をついて誘導したり、「失敗しても死にません」など、危険性を隠して無責任に煽ったりした場合です。
もちろん、フィギュアスケートのリフトが極めて高度な技術と訓練を要する危険な技であることは、常識的に見て明らかです。通常の演技や放送であれば、こうした「例外」にあてはまりません。
リフトは、長年の鍛錬の賜物です。素人が安易に真似をすれば、思わぬ事故につながります。
せっかくの金メダルに水を差すことになりかねませんので、くれぐれも無理な挑戦はしないようにしてください。
・・・そんなことを言いながらも、カーリングに熱中し、気づけばホウキで地面をゴシゴシとこすっている自分がいます。
私自身、アメフトという接触の激しいスポーツに打ち込んできた身として、人に感動を与えられるよう、がんばります。
【取材協力弁護士】西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。Xリーグ選手でもある。事務所名:神戸マリン綜合法律事務所事務所URL:http://www.kobemarin.com/

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