「お願い、助けて…」深夜2時、81歳母から突然の着信。駆けつけた46歳の娘が「玄関を開け、動揺した」荒れ果てた光景

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ひとり暮らしの高齢者が増える中、「親が元気そうにしていたのに、ある日突然…」という事例は少なくありません。特に認知症の兆候や生活の困窮は、当事者が自覚しにくいまま進行し、異変に気づいたときには深刻化しているケースもあります。
「最初、夢かと思いました」
そう話すのは、会社員の青木真帆さん(仮名・46歳)。その日、時刻は午前2時。スマートフォンが鳴り響き、相手は都内で独り暮らす母・美代子さん(仮名・81歳)でした。
「お願い、助けて…」
受話器越しの母の声はかすれており、何を言っているのかよく聞き取れませんでしたが、とにかく“普通ではない”と感じた真帆さんは、タクシーで30分ほどかけて母の自宅に駆けつけました。
母の自宅に到着すると、玄関のドアは鍵がかかっていませんでした。恐る恐る中へ入ると、部屋の中は足の踏み場もないほどに物が散乱し、床にはコンビニ弁当の容器や空のペットボトル、レシートなどが積み上がっていました。
「母が台所の床に座り込んでいて、呆然とこちらを見ていました。手は震え、服も汚れていて…一瞬、何が起きたのかわからなくて。『何があったの?』と声をかけながら、心の中ではパニック状態でした」
美代子さんは、数日前から体調が優れず、食事もままならない状態だったそうです。しかし、病院に行くこともできず、家の中は次第に荒れ始め、自分でもどうしていいかわからなくなっていたといいます。
真帆さんは翌日、母を連れて病院へ。検査の結果、大きな疾患はなかったものの、「軽度認知障害(MCI)の可能性」と医師から指摘を受けました。
「最近は日付の感覚があいまいになっていたり、ガスをつけっぱなしにしていたりすることがあったのは気づいていたんです。でも、本人はいたって元気だと思い込んでいて、生活の細かい部分に支障が出ているとは想像していませんでした」
部屋のゴミや異常な物忘れ、同じ食品の買い置きなどは、認知機能の低下やうつ状態のサインであることも多く、介護の現場でも「気づきにくい異変」として知られています。

真帆さんは市の高齢者相談窓口に連絡し、地域包括支援センターとともに「要介護認定」の申請を行いました。現在、美代子さんは要支援1に認定され、週2回の訪問介護とデイサービスを利用しています。
しかし、その過程で感じたのは、「支援にたどり着くまでのハードルの高さ」だったといいます。
「母が『まだ大丈夫』と言っていたら、私一人では何もできなかったと思います。本人が支援を拒否したり、介護サービスに偏見を持っていたりすると、本当に動き出しにくい」
介護保険制度では、要支援・要介護の認定を受けた後でなければ多くの公的支援は使えません。また、支援のためには本人の同意や、家族のサポート体制が必要となる場合もあります。
「母の『助けて』という言葉は、人生で初めて聞いたかもしれません。それだけ、追い詰められていたんだと思います」
現在は定期的に訪問し、食料品や日用品の管理、生活の見守りを行っている真帆さん。今回の経験から、「親が“元気そうに見える”ことと、“ちゃんと暮らせている”ことは違う」と強く感じたと話します。
『高齢社会白書』によると、65歳以上の一人暮らしの者は男女ともに増加傾向にあり、昭和55年には65歳以上の男女それぞれの人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%であったところ、令和2年には男性15.0%、女性22.1%となっています。
高齢者の一人暮らしが増える中、家族や地域が“違和感”に気づくことは何よりの支援の第一歩です。もし親の言動や生活に「少しおかしいかも」と思うことがあれば、それは、すでに何らかの支援を必要としているサインかもしれません。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。