高市首相の発言は「予防線を張っているようにも…」と専門家 “悲願”の消費減税が不安視される背景に「郵政解散」小泉純一郎元首相との決定的な違い

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第1回【「自民圧勝」報道のウラでくすぶる「高市首相は本当に消費税を減税できるのか」…“減税反対派”の自民党議員が国政復帰するリスク】からの続き──。2005年8月8日、当時の小泉純一郎首相は衆議院を解散し、記者会見を開いた。そこで小泉氏は衆議院を解散した理由を説明し、総選挙の“大義”を語った。(全2回の第2回)
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【写真を見る】「激ヤセ」が心配される高市首相 現在と比較すると「まるで別人」
小泉氏の会見から、最も重要な部分をご紹介しよう。
《今国会でこの郵政民営化法案を成立させると言ってまいりました。しかし、残念ながらこの法案は否決され廃案となりました。国会の結論が、郵政民営化は必要ないという判断を下された。私は本当に国民の皆さんが、この郵政民営化は必要ないのか、国民の皆さんに聞いてみたいと思います。言わば、今回の解散は郵政解散であります。郵政民営化に賛成してくれるのか、反対するのか、これをはっきりと国民の皆様に問いたいと思います》(註1)
一方、高市早苗首相は1月19日に会見を開き、「23日に衆院を解散する」と発表した。さらに自民党の重要公約の一つとして消費税を減税する考えを明らかにした。
《物価高に苦しんでおられる中所得・低所得の皆様の負担を減らす上でも、現在、軽減税率が適用されている飲食料品については、2年間に限り消費税の対象としないこと。これは、昨年10月20日に私が署名した、自民党と日本維新の会の連立政権合意書に書いた政策でもあり、私自身の悲願でもありました。今後設置される「国民会議」において、財源やスケジュールの在り方など、実現に向けた検討を加速します》(註2)
高市氏は会見で赤いカーテンをバックに国民へ呼びかけた。高市氏は青色を好むため、赤色が使われたことに一部のメディアが反応した。
実は小泉氏が“郵政解散”を発表した時も赤色のカーテンが使われており、そのため政界関係者の間で「高市首相は小泉さんにあやかったのではないか」との見方が浮上したそうなのだ。(註3)担当記者が言う。
「率直に言って、小泉さんの会見のほうが“不退転の決意”が伝わったと思います。実のところ郵政民営化法案を否決したのは参議院で、衆議院を解散する必要があったのか、今も疑問視する識者は少なくありません。とはいえ小泉さんの迫力は圧倒的で、国民が一種の興奮状態に陥りました。一方、高市さんは消費税減税を“悲願”と語っておきながら、あくまでも『検討を加速』するとしか言っていない。自民党が総選挙で勝ったとして本当に消費税を減税するのかしないのかよく分かりません。Xでは『どうせ減税しないんだろ?』、『将来は増税路線だろ?』という投稿が相当な数に達しています」
政治アナリストの伊藤惇夫氏は「高市さんの説明で気になるのは、『消費税減税を断念した場合』を想定しているかのように聞こえるところでしょう」と言う。
「『まるで予防線を張っているかのよう』と批判されても仕方ないと思います。国民会議で否定されたとか、党内で反対の声が強い、といった理由で減税を断念したとしても、高市さんは『検討を加速させると言っただけです』と反論し、公約違反ではないと主張できます。そもそも論として高市さんが消費税減税を公約に掲げた理由は、野党に対する争点潰しを狙ったことは明らかです。有権者が高市さんの“本気度”を疑うのは、ある意味で当然でしょう」(同・伊藤氏)
“本気度”を疑う声が多い理由として高市氏が昨年、国会で消費税減税に消極的な考えを繰り返し示したことも挙げられるだろう。
「昨年11月の衆院予算委員会で消費税減税を行わない理由として『所属する政党で賛同を得られないことを突き通すわけにはいかない』と高市さんは説明しました。さらに『レジの改修に1年以上にかかる』とも言及し、話題を集めたことをご記憶の方も多いでしょう。高市さんの説明が事実なら、国民会議や国会で議論し、減税関連法案を可決したとしても、実際に減税を実施するためにはレジの改修でさらに1年が必要ということになってしまいます。『結局、高市さんは消費税減税の実施をどんどん先送りし、最後はうやむやにするつもりなのか?』と心配している国民はかなりの数に達するはずです」
伊藤氏は「すでに消費税減税を巡る高市さんの態度は迷走と言えるレベルです。さらに減税は正しい物価高対策なのかという根本的な疑問もあります」と言う。
「スーパーで夕食の材料を買ったとして、たったの数百円しか安くならず、物価高対策の効果に乏しいと見ることも可能です。それどころか減税で消費意欲が刺激されれば、小売価格が上昇する懸念もあります。外食産業に悪影響が出る可能性も徐々に報じられるようになってきました」
消費税を減税すれば消費者の購買意欲が喚起され、景気刺激策としての効果も期待できるという見解もある。
「具体的に考えてみましょう。『消費税が2年間はかからないから、いつもは1本買う牛乳をこれからは3本買おう』──こんな消費者が現れるかという問題です。消費税減税で購買意欲が刺激される可能性はありますが、景気を刺激するほどの効果があるかは疑問です。物価高対策として即効性があるのは消費税減税ではなく円安対策、円ドルの為替レートを円高に変える政策でしょう。輸入食料品の価格が値下がりしますし、農薬や燃料など国内食料の生産に必要なコストも下がることが期待できます」(同・伊藤氏)
第1回【「自民圧勝」報道のウラでくすぶる「高市首相は本当に消費税を減税できるのか」…“減税反対派”の自民党議員が国政復帰するリスク】では、「どうせ消費税減税は実施しないんだろ?」とXに投稿が殺到している理由や、自民党が圧勝した場合は“財政規律派”の衆議院議員も増える可能性などについて詳細に報じている──。
註1:データベース「世界と日本」
註2:高市内閣総理大臣記者会見(首相官邸公式サイト:1月19日)
註3:カーテンの色が選挙を占う? 高市首相が選んだのは14年ぶりの赤(毎日新聞電子版:1月20日)
デイリー新潮編集部

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