成人男性による未成年女性に対する凶悪な性加害事件は後を絶たない。警察庁によると、SNSに関連して子どもが被害者となる事件自体は2019年から減少傾向にあるものの、ここ数年で「不同意わいせつ」「不同意性交等」といった、より深刻な事案が大きく増加している。
【画像】保育士や小学校教師を養成する学部に通う大学生(当時)が起こした衝撃事件とは?
そんな中、当時13歳だった女児(以下、A)に対する「未成年者誘拐」「不同意性交等」などの罪で問われた20代男性被告人の裁判が大阪地裁であり、2025年12月に判決が言い渡された。
被告人は事件当時、奨学金を受け取りながら保育士や小学校教師を養成する学部に通う大学生であった。そんな立場にありながら、SNSで知り合ったという女児と性交を行うほか、自宅に連れ込むなどの犯行に手を染めた。事件の詳細や裁判での様子を、傍聴したライター・普通氏がレポートしていく。
子どもを対象にした性犯罪は、後を絶たない(画像はイメージ) graphica/イメージマート
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事件当時から初公判までは大学生として生活していた被告人。その後、第2回公判からは無職となっている。
被告人とAは、2024年の夏ごろ匿名のチャットアプリで偶然知り合った。知り合う約半年前、Aは家族との不和を感じ、生きづらさに悩んでアプリに頼った。被告人にも、家族との関係について相談を寄せていた。
やりとりの中でAの年齢を聞くことはなかったが、アプリに18歳以上の年齢制限があったため、被告人はそのように理解していた。ただ、知り合って早々に交際することになり、そこでAの年齢を正しく把握していた。
被告人の体型はややふくよかで、話す声は小さく、ゆっくりで朴訥とした印象を持った。話すことが苦手ということでなく、一つずつ言葉を整理して慎重に話しているように感じられ、それゆえに以後語られる「事件との向き合い方」に疑問符をつけざるを得ない場面が多々あった。
起訴状によると、被告人はAが当時13歳であることを知りながら、大阪市内のカラオケ店において、陰部に指を挿入するなどし、またその様子を撮影し自身のスマートフォンに保存した。
また、LINEを用いて「一緒に〇〇(被告人の住む関西近郊県)行くぞ」などと送り、Aの親権者の許可を得ないまま、自らが運転する自動二輪車に乗せて被告人宅に連れ込み、2日間ほど留めた未成年者誘拐の疑いもかけられていた。
誘拐当日、朝からAと通話をしている中で「もう限界」「自殺したい」などと漏らしたと被告人は供述する。大学へ行く準備をしている中であったが、緊急性を感じたのだと振り返る。
弁護人「あなたの家に連れて行くことでその問題が解決すると思ったのですか?」被告人「当初は連れて行こうという気はなく、命を優先したいと思った結果で。会えば落ち着いてくれると思ったのですが」弁護人「児童相談所などへ行く話はしてないんですか?」被告人「『児童相談所や、警察へ行ったら?』とは言いました」弁護人「実家へ連れて行く行為が今では間違っていないと思っていますか?」被告人「取調べの中で、警察や検察からも『家族と連絡すべきだった』などとも言われましたが、自分の中で完全な解答は出ていません」
その他の弁護人からの質問でも、被告人はあくまで「Aの気持ちを尊重した」との姿勢を崩さなかった。なぜ警察等へ連れて行く判断にならなかったのかは明らかになっていない。
なお被告人がAをバイクに乗せて向かった先は、Aの自宅とは他府県にある自宅。とはいっても「実家」、それも、あろうことか9人家族で暮らす家であった。
刑事処罰の対象とはなっていないが、当時被告人は無免許状態であったという。家に到着した際、Aはずぶ濡れ状態であったというから、悪天候の中を無免許で走行したことになる。
連れ帰ってきたときの様子を、証人として出廷した被告人の母親は「被告人に交際相手がいることは聞いていたが、この日が初対面だった」と振り返る。被告人からはAについて事前に高校生だと聞かされていたことや、Aがメイクをしていたこともあり、高校生であることに疑問を抱かなかったとも証言した。
その後に2泊している中で、Aは前述したような不安定な精神状態もあってか、平日にもかかわらず学校に行く様子がなかった。被告人の母は「Aは定時制高校に通っている」と説明を受けており、具体的に学校がいつあるかわからなかったため、疑問には思わなかったという。被告人はその間、Aを実家に残し大学に行くなどしていた。
しかし、被告人の母もすべてを受け入れていたわけではない。
被告人と母とのLINEの中では「Aの親に連絡しないといけない」「未成年でしょ。お泊りは、親に言うのが普通」などと送っていた。しかし、被告人からは「あんまりそんなん喜ばんと思う」などと返され、Aからも直接「知らない人と話すのが苦手なんで」と説明されたため、強く迫れなかった。そもそも宿泊させることになった理由も覚えていないといい、「思春期によくある関係性なのかな」などと思い、自らを納得させていたという。
性交は2025年1月ごろに行った。当時、Aに性体験はなかった。被告人は行為に至った理由を聞かれると「真剣に交際していて、結婚したいと思っていた」などと供述し、検察官に「真剣ならいいと?」と聞かれると「コントロールできなかった」と供述した。
両者のLINE履歴から、被告人から性的行為を求めるような発信をすることが多かったと明らかになっている。
これに対し被告人は「自分はメッセージで求めたが、会えばAは直接的に言葉で要求してきた」などと自身の正当性を主張。性的な行為の動画が多数保存されていたことに対しては「思い出の一環」「(流出のリスクなど)考えていなかった」などと供述した。
Aは性交時の動画撮影について「撮っていいかと聞かれていたが、断っていた」と供述している。検察側も、証拠として請求した動画内にAから行為を誘う様子などは残っていないなどと主張した。
なお被告人は大学で、保育士や小学校教諭を養成する学部に通っていた。児童の心理など専門的な学習はまだであったなどと答えつつ、自らが起こした行為の影響性について「考えられなかった」「あくまで一般的な話としては理解している」などと答えるに留まった。
裁判ではAの家族との間で示談交渉中であることも明かされた。しかし、逮捕後の被告人が見せた「ある行動」によって、その交渉が難航していることも判明。続く記事では、女児に対して被告人が見せた異常な執着とともに、判決についてもお届けしていく。
〈誘拐、撮影、性行為で13歳女児を「性欲のはけ口」にし、逮捕された後に…“教員の卵”だった奨学金大学生が見せた「異常な行動」〉へ続く
(普通)