「オレ嫁統計」が「寿退社男子」を加速させる?「女性は子育てがあるからパートにしてあげなくちゃ」という余計なお世話

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かつて「寿退社」といえば女性が結婚を理由に仕事を辞めるケースが一般的だった。だが令和の今は寿退社する男性が特に地方で増えているという。
【映像】3コマで分かる「寿退社男子」が増える理由
背景には、地方から上京した女性が地方在住の男性と結婚し、「共働きでの生涯の世帯所得」を落とさないために男性が「寿退社」を選択するケースの増加などが挙げられる。
ニッセイ基礎研究所 人口動態シニアリサーチャー 天野馨南子氏は「若い世代の価値観に地方社会は気づけていない」と指摘する。
「女性側が仕事を辞めると思っているのが『シルバー民主主義』。中高年の常識が若者の非常識になっている。私は『オレ嫁統計』と呼んでいるが、『結婚してもらうには俺の嫁さんみたいな女性が増えればいい』などというロジックを持っている。『女性は子育てがあるからパートにしてあげなくちゃ』なども本当に余計なお世話だ。今のZ世代の子は男女に関係なく、給料をキープしやすい方が仕事を続け、キープが難しい方が結婚後に場所や職種を変えている」
この世代間における価値観のギャップについてハーバード大学医学部准教授の内田舞氏は「従来のやり方にも良いところはたくさんあったが大きな問題もあった」と指摘。
「家事育児という無償労働を主に女性に押し付ける一方で、仕事の責任を男性あるいは独身の方が過剰な有償労働で埋めていた構造で、両者とも限界がきていた。こういった性別に縛られている状況は改善しなければならないというサインが現れてきて、その結果が今の新しい形につながっているのでは」
東京商工会議所が都内で働く若い世代に行った調査では、結婚後に子どもを持つ正社員として仕事も続ける「両立コース」を希望する女性は55.3%、結婚相手の女性に「両立コース」を希望する男性は51.9%となり、その他の「再就職コース」「専業主婦コース」を大きく上回る結果になった。
実際に寿退社を経て妻が住む都心に引っ越した30代前半の男性Aさんも「世帯における妻の収入依存が上がった。結婚適齢期で寿退社した妻の転職はかなり買い叩かれる(いつ産休をとるか分からないので)」「寿退社男子の本質は、年収の高い夫に妻がついていく過去と変わらない」と訴える。
『どう世帯の年収をキープするか』が本質と捉え、そのために、若い女性も男性も求めているのは、結婚・出産で女性が退職やパートなどに転職するよりも、どうしたら今の正規の働き方を続けられるのか、そのサポートが欲しいという実態が、地方ではまだまだ理解されていないのかもしれない。
(『わたしとニュース』より)

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