昨年度の政治資金収支報告書の公開が始まり、高市早苗総理を支える「タニマチ」の存在が明らかになった。奈良県内で観光業や不動産業を手がけるノブレスグループの川井徳子代表(67歳)である。代表を務める宗教法人「神奈我良」(かむながら)から高市氏が代表を務める政党支部に3000万円もの巨額献金をしていたのだ。
神奈我良とは一体どんな組織なのか。その正体を探るべく、筆者は法人が所有する神社「大和皇(ヤマトスメラ)神殿」を訪れた。
前編記事『高市早苗総理に合計4000万円を寄附!オラクル創業者に日本庭園を売却した「敏腕女性経営者」の正体』より続く。
12月2日の夕方、筆者は「大和皇神殿」を訪問。2階建ての民家のような建物だった。ドアが閉まっているので、近所の人に聞いてみると、「中は見学できる。人が集まっているところは見たことがないけど」との話。
近所の人が「大和皇神殿」の「留守番役」だという女性を呼んでくれたので、見学したい旨を述べると快諾してくれた。ドアを開けると、正面に神棚があり、左右に極彩色の立派な太鼓が設置されていた。
薄暗くなってきていたので、留守番役の女性が電気をつけてくれようとしたが、あまり使わないためか電球の調子が悪いようで、「あ、つかえへん」と断念していた。
左側には事務所スペースがあり、留守番役の女性はここで過ごしているという。この女性によると、「大和皇神殿」は天照大神を祭る神社のようなものだという。もともとは川井氏の父が作った。
ただ、「信者(氏子)はいない」と語り、正月などにあわせて人が集まったり、宗教行事をしたりするといったこともない。最近は、外国人観光客など、1日に3~4人ほどが訪れ、写真をとっていくという。
あまり人の出入りが多くはなさそうだが、2つの疑問が浮かんだ。
まず、神名我良が‘24年に高市総理側に献金したのは、3000万円である。政治資金規正法では、宗教法人の政治献金には上限が定められている。それは宗教法人の「前年における年間の経費の額」によって異なってくる。たとえば、3000万円を献金するためには、前年の経費が少なくとも6000万円以上あることが条件になる。
もう一つ気になるのが、宗教法人としての活動実態だ。神奈我良は、宗教法人として税制優遇などを受ける立場にあるわけだが、実際にどれだけ活動をしているのだろうか。それは「大和皇神殿」を見学しただけでは、あまり伝わってこなかった。
こうした疑問点を尋ねるために、代表である川井氏に質問状を送付すると、書面で次のように回答があった。
―宗教法人として、高市総理の政党支部に3000万円を献金するためには、前年の経費が少なくとも6000万円以上あることが条件だが、それは満たしているか?
「当法人は、宗教法人法および政治資金規正法その他関係法令に基づき、適切に運営を行っております。ご指摘の寄付につきましては、政治資金規正法に定められた要件を満たしており、前年における年間経費は寄付額の2倍以上であることを確認しております。なお、詳細な数値につきましては、法令に基づき所轄庁に報告済みであり、外部への個別回答はおこなっておりません」
―神名我良の信者数は何人いるか? 川井氏の他に選任の役員がいたり、定期的な集会などをおこなっているか?
「当法人は、法令に定められた範囲で所轄官庁に報告しており、外部への個別開示はおこなっておりません」
そう法令遵守をアピールした川井氏だったが、信者数をはじめ、具体的な情報は何ら開示しなかった。現職総理に「巨額献金」した宗教法人は、ベールにつつまれている。
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かわの・よしのぶ/’91年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、『サンデー毎日』『週刊文春』の記者を経てフリーに。主に政治を取材している
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