出張先で派遣型風俗店を利用した夫が、「本番行為を強要した」として不同意性交等罪の疑いをかけられ、逮捕・勾留された。
夫は「女性側から本番行為を持ちかけられたが断った。強要はしていない」と主張していたが、最終的には無実を争う気力もなく、早期釈放のために妻の工面した高額な示談金を店側に支払って事態を収めた──。
妻への取材を通じて語られる体験談とともに、弁護士による「本番行為の強要トラブル」の解説を掲載した記事が、SNS上で大きな反響を呼んだ。
密室の出来事は真相が見えにくく、通報されれば誰もが事件に巻き込まれるリスクがありえることから、少なくない人が不安を抱いたようだ。
<デリヘル利用の夫が「本番強要」で逮捕→10日間拘束、高額の示談金支払い 悪質風俗店の「美人局」に弁護士が警鐘>
妻によると、夫は宿泊先ホテルでデリバリーヘルスを利用した際、女性から「本番はプラス◯◯円」と誘われたが断ったという。しかし、互いの股間が「かすめた」ことで「本番を強要された」と通報されたという。
そのまま警察に不同意性交等罪の疑いで逮捕され、釈放まで約10日も勾留された。妻は「店ぐるみの美人局(ハニートラップ)だったのではないか」と疑い、悪質な店の存在があることを警戒すべきだとうったえる。
本番行為のトラブルを扱った経験のある弁護士は、 不同意性交等罪は法定刑(5年以上の拘禁刑)が重く、前科前歴がなくても実刑になりうると説明。「万が一にも起訴され、有罪になった場合のダメージは計り知れない」と指摘する。
密室での出来事は立証が難しく、無実(冤罪)であっても実刑リスクを避けるために「示談」を選ぶケースが少なくないという。
また、店や女性が「美人局」的な手口に及ぶようなこともありえるとし、事前に店の口コミを調べるなどして、「危ない橋」を渡らないようにしてほしいと警鐘を鳴らした。
記事が指摘したリスクは、これまで客と女性(店)との間で成立していた信頼関係を揺るがしかねない。SNSでは「怖い」「不安」といった声が上がった。
たとえば、自衛しようにも、サービス中に録音や録画をすることが禁じられているため、どのように潔白を証明すればよいかわからないという感想がみられる。
また、悪質な店や女性に、警察や検察が美人局の「片棒をかつがされている」といった指摘もあった。
性加害の重罰化が進んだことにより、美人局の動機を強めているとの考えもみられた。
一方で、客から本番行為を強要される女性もおり、男性客側の被害にばかり注視すべきではないといった指摘も寄せられた。
当事者と思われる人からは「風俗店で働く女性が被害を訴えても、警察が対応してくれない」という投稿もあった。
健全にルールを守っている店や女性が多い中で、ごく一部の悪質な事例によって、業界全体を危険視すべきではないが、トラブルを招く店や女性は少数でありながらも存在して大変悩ましいという意見もある。
そもそも配偶者以外との性的行為は大きなリスクがあり、性風俗を利用すべきではないのだとする厳しい声もある。
取材に応じた妻によると、夫が逮捕された事実は勤務先にも知られることになったという。幸いなことに解雇されることもなかったが、場合によっては職を失う可能性は十分にある。
事件が発覚すれば、夫婦関係にも大きな亀裂が生じることは避けられず、ときには離婚に至るケースもあるのではないか。
ルール違反や悪質行為が続けば、性風俗業界全体への規制強化につながり、結果として、客・女性双方に不利益をもたらすことになりかねない。双方が適切にルールを守り、トラブルを避ける努力が求められている。