サイバー攻撃によるシステム障害が続いているアサヒグループホールディングス(GHD)は27日、東京都内で障害発生後、初めて記者会見を開き、12月以降システムの復旧が進み、正常化が来年2月になるとの見通しを示した。
また、顧客や従業員の氏名や住所、電話番号など約191万件の個人情報が流出した恐れがあることも明らかにした。
勝木敦志社長は冒頭、「多くの関係者の皆様に多大なるご迷惑をおかけして、心よりおわび申し上げる」と謝罪した。
システム障害は、身代金要求型ウイルス「ランサムウェア」による攻撃を受け、9月29日に発生。ロシア系とみられるハッカー集団「Qilin(キリン)」が10月7日、闇サイト上でアサヒの財務文書や従業員の個人情報を盗んだと主張する犯行声明を公開した。勝木氏は、身代金の支払いはしていないと述べた。
アサヒGHDでは、システム障害でビールや飲料、食品などの受注や出荷ができなくなった。現在も電話やファクスなどの手作業で業務に当たっており、出荷は大幅に遅れ、取り扱う商品数も絞らざるを得ない状況だ。10月の売上高は、主力商品の「スーパードライ」などの出荷を再開したアサヒビールが前年同月比9割超、アサヒ飲料が6割程度、アサヒグループ食品が7割超だった。
アサヒGHDは、2025年12月期連結決算の発表が遅れる見通しだと明らかにした。勝木氏は「悪化は避けられない」と語った。
システム障害に伴い、同業他社には飲食店などから代替注文が相次ぎ、対応に追われている。主力商品の供給を優先するため、キリンビールはお歳暮用ビール商品の出荷を今月末で停止し、サッポロビールやサントリーも一部商品の販売を中止した。業務用ビールの出荷制限も行うなど、影響は広範に及んでいる。
日本企業を狙ったサイバー攻撃は相次いでおり、事務用品通販大手のアスクルも10月、ランサムウェアに感染して通販サービスの受注・出荷業務を停止。手作業で一部の法人向け出荷を再開しているが、出荷能力は本来の1~2割程度に落ち込んでいる。