忘年会シーズンに多発する「当日キャンセル客」に飲食店が困惑。予約した新入社員が泣きはらした顔で頭を下げにくるまで

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この前、23歳の女の子に「私たちって干支1周以上歳離れてるんですね!」と言われて白目になりました。巳年(今年)も終わりますね。
大人の社交場・銀座のクラブにホステスとして勤めているみずえちゃんと申します。その傍ら、ライターとしても活動しており、これまでに私がお酌をさせていただいたおじさま方との実体験をもとに、夜遊びやモテに関する情報を発信させていただいております。

◆ドタキャン客 VS ドタキャンを絶対に許さない店長

現在は銀座のクラブに勤めている筆者ですが、若いころはレストランの店員をしていました。

この時期になると増えるのが忘年会・新年会の予約です。ところが、当日になってこの予約をキャンセルする方が少なくありません。

「40名の貸切予約が入ったのに当日キャンセルで食材が全部ムダになった」なんてことは、悲しいことですがザラです。

「また別の機会にご利用いただければ良いから……」と泣き寝入りする飲食店がほとんどでしょう。こうして客側が「おとがめなし」であることに慣れっこになってしまった結果、さらに当日キャンセルが繰り返される、という始末です。

しかし、世の中はそんなに甘くありません。当日キャンセルを繰り返していると大変なことになるかも。

今回は「ドタキャン客 VS 店長」のバトルの顛末をご紹介します。

◆「美味しかったので予約します」と名刺を置いていった新入社員

ある日のランチタイムのことです。スーツ姿の男女4人グループが来店し、食事をした後「美味しかったので予約します」と、声をかけてくれました。忘年会の会場探しを新入社員である彼らが任されている、とのことで代表者の女性から名刺を受け取りました。

12月の某日に50名で、という内容の予約でした。キャンセルポリシー(予約をキャンセルする際のルール)についても確認してもらい、承諾してもらった上で予約が成立しました。

ところが……。

と、言って電話を切りました。

どうせこのまま音信不通だよね~、なんて思いながら過ごしていると、しばらくしてお店に新入社員の彼女が現れました。泣きはらした顔で私たちに頭を下げ

「ご迷惑をおかけしてしまい大変申し訳ありません」

と言ってATMの横に置かれている銀行の封筒に入ったお金を差し出しました。

「上の人に確認したところ……」

と、彼女が話すことを要約すると、キャンセル料の支払い義務が発生したのは新人の落ち度である。よってキャンセル料は代表者である彼女が負担するべきである、ということを「上の人」に指示された、とのこと。

店長は「こっちも商売なのでお金は受け取りますけど」と、浮かない顔です。

余計なお世話ですけど、そんな会社辞めちゃってもいいんじゃないですか、と言いたくなりました。

今回の爺さんのように「食ってない分は払えない」と言い張る方が少なくないので、キャンセル料を支払わなくちゃいけない理由も解説します。

キャンセル料は

・食材の原価
・人件費
・機会損失(予約が入った時点で他の予約は断っています)

などに対して支払われています。これを踏み倒されると飲食店はつぶれます。特に「機会損失」が飲食店にとっては痛い。

なお、当日キャンセル・キャンセル料の踏み倒しを繰り返している個人、企業、団体等の情報は飲食店間で共有されることもしばしばです。これは大きな声では言えないのですが、悪質顧客の情報をシェアする「データベース」なんていうものも実在しています。

迷惑行為を繰り返していると、いずれ多くの飲食店から「出禁」扱いされてしまうかもしれませんよ。

そもそも、予約は「消費者契約の締結」とみなされており、キャンセルは契約の取り消しに該当します。お客様都合によるキャンセルは、お店の損害賠償請求権が発生しうる「債務不履行(契約で定められた義務を債務者が故意、または過失によって果たさないこと)」にあたります。

簡単に言うと、めっちゃやばいです。よしましょう。

◆約束は守りましょう

今回は、「ドタキャン客 VS 店長」のバトルの顛末をご紹介しました。

忘年会・新年会の予約が増えるこのシーズンは、当日キャンセル・無断キャンセルも悲しいけれど急増します。キャンセルするな、とは言えません。色々なご事情があると思いますから。でもキャンセル料は支払いましょう。

例えば、航空券のキャンセル料は、出発までの日数によって異なり、当然ですが出発が近いほど高額になりますよね。多くの場合、出発当日や出発時刻以降にキャンセルすると、運賃の100%がキャンセル料としてかかるか、払い戻しが一切できません。

航空券のキャンセル料は、航空会社が得るはずであった利益を一方的にキャンセルすることへの「損害賠償」、もしくは「契約不履行」に対する対価として発生しています。

飲食店のキャンセル料だって同じものであると考えてください。ていうか、されて嫌なことを人にするのはよしましょうよ。約束は守りましょうよ。そのくらい簡単なお話でもあります。以上。

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