鋼のメンタルだ。2度の不信任決議で失職した静岡・伊東市の田久保真紀前市長が19日、市長選(12月7日告示、14日投開票)へ出馬する意向を表明した。大逆風にも学歴詐称騒動を逆手にとって、勝機を見いだそうとしている。
市内で会見した田久保氏は冒頭、「市長就任直後に私の誤った学歴が記載されたことに端を発し、市民、関係者の皆さまに多大なるご迷惑とご心配をかけましたことを深くおわび申し上げます」と頭を深々と下げた。
そのうえで「この街の未来についてどう向き合っていくかを考え、シビアな目線で政策提言、議論を重ねていくべき。街の未来について、もう一度、お任せいただけるのであれば、チャレンジしていきたい」と批判の声もある中、出直し選出馬を決意したという。
「私の強みはメンタルの強さ」と胸を張り、刑事告訴されている東洋大の卒業証書の疑惑に関する質問が相次いでも「捜査上、関係になることについてはお答えできない。何度質問いただいても同じ答えになる」と食い下がる記者に声を荒らげる場面もあった。
さらには「(騒動で)伊東市という町が大変注目を浴びた。観光地であるので、前向きな機会として捉えていく。私を『観光大使に』と言った市長候補のお言葉も拝見したが、観光大使と言わずに呼んでいただければどこの街でも出掛けて、PRする。伊東温泉に遊びに来ていただきたい」とまで言ってのけた。
「田久保氏を観光大使に」と推したのは同市長選への出馬を表明していた政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首だ。7日の会見で、「田久保さんが観光大使をやれば、(再選挙費用でかかる)6300万円は十分回収できる」と発言。その2日後に元兵庫県議への名誉毀損容疑で逮捕されたが、勾留中の容疑者の言葉を引用してまでも自身のアピール材料にしてみせた。
市長選にはこれまで6人が出馬表明し、過去最多となる見通し。田久保氏は「まれに見る選挙で、予測がつかない展開ですけど、まず自分のやるべきことをやっていきますと伝えたい」と話題性を武器に再選を果たしたい考えだ。