東京都港区赤坂のライブハウスで16日、出演予定だった女性が男に刺される事件が起きた。女性は左腹部と左の手のひらを刃物で切られ、内臓も損傷し重傷だという。女性を刺したとされる男はその場から自転車に乗り逃走しており、現在も行方がわからない。近隣の防犯カメラには、黒いママチャリに乗る、帽子を深くかぶってマスクで顔を隠している身長180センチほどの男が映っていた。
〈画像〉被害女性も出場予定だった、告知されていたライブのポスター
11月16日午前10時25分頃、「黒い帽子の男に女性が刺され、出血している」と119番通報があった。事件が起きたのは東京都港区赤坂のビルの地下1階に入居するライブハウス。刺されたのは40代女性で、この日に開かれるイベントに出演予定だった。また音楽活動は仕事ではなく、プライベートの一環だったという。
当時は日曜日で営業中の飲食店も数少なく、閑静な飲食街だったという。そんななか、パトカーや救急車のサイレンが鳴り響いた。
「最初はボヤ騒動だと思ったんです。外へ出てみると、救急車とパトカーが複数台集まっていた。近くに行くと人だかりができていて、すでに警察官が何人もいた。そして顔なじみの人から、女性が刺されたと聞いたんです。
女性を刺したとされている男も見ており、黒い帽子を深くかぶってマスクをした黒の作業着姿の男がビルから走り出てきて、近くにあった自転車に乗って赤坂方面へ向かっていったと聞いています。身長は180センチくらいで大きめとされています」(飲食店経営者・50代男性)
男は事件現場から自転車で赤坂方面へ約100メートル進んだあと、東方面へ曲がりすぐに進路を変え、北上したという。その後、国道246号線を出て、赤坂警察署の前を堂々と通り、渋谷・青山方面へ去っていったとされている。
男の逃亡経路に店舗を構える40代の男性経営者はこう語る。
「何か騒動が起きているなと思って外に出たら、事件が起きていた。当時は私1人しか店にいなかったので、『もしかしたら刺されるかも』と思い、恐怖心でいっぱいでした。近隣の人から、『お宅の店前を通って逃げていった』と聞いて、店舗外の防犯カメラをすぐ確認しました。
そしたら10時25分ごろ、身長が高く大きめの男が帽子を深くかぶってマスクで顔を隠しながら、黒いママチャリに乗っているところが映っていました。カメラをよく見ると、カゴには何か荷物らしきものが入っていることが確認できています。
ニュースを見ると逃走したとされている男性像がすでに報じられており、『あ、この人なんだ』と思いました。そして今日、2人の刑事さんが来てカメラ(映像)のコピーを押収していきました」
事件の現場となったライブハウスは、2005年にオープンしたクラシックを専門とする会場だ。ミュージックチャージのほか飲食代金がかかり、1ステージ約40分で1日3~4ステージが開催されている。
何度か訪れたことがあるという50代男性は、
「料金は低価格帯です。ステージと客席の境がなく、お客さんとの距離が近かったです。ライブをここで行うには会場使用料はかからず、アマ(チュア)の人たちでも容易にライブ演奏ができる場所として知られています。食事の看板メニューはアップルパイ。店内には10個くらいのテーブルがあって、キャパシティは30人程度だったと記憶しています」
と振り返る。
50代男性によると、ピアノやトランペット、フルートやヴァイオリンなどのスクールレッスンも2015年から行なっており、2023年から本格的な音楽教室としても営業していたという。
社会部記者によれば、被害女性は病院へ搬送されたとき、意識があり会話が可能だった。ところが現在は臓器にまで傷がわたっているため、重傷とされている。近々、被害女性の腎臓の摘出手術が予定されているという。
「被害女性は左腹部と左の手のひらの、刃物によるケガで搬送されています。女性は一人でいるところを襲われていました。これまでの警察の調べで、被疑者は少なくとも1時間ほど前から自転車と徒歩で現場周辺をうろついていたとされています。また、足跡を採られないよう靴にビニール袋をかぶせており、計画的な犯行とみられています。ほか、上着を黒色のものから青色のものへと着替えていることがわかっています。
事件当日に予定されていたライブの告知ポスターには、黒色のスプレーのようなもので×印が書かれていたのです。殺意をあらかじめ持っていた可能性が高いと警視庁は判断しています」
事件後に被害女性は「男について面識はない」と話していたものの、社会部記者によると現在は「実は面識があった」とされており、知人同士のトラブルの線で捜査が進んでいるという。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班