枝野委員長「両サイドとも不規則発言はおやめください!」国会でヤジが飛び交い大紛糾…共産・田村委員長「ミサイル列島」「先制攻撃の危険性さえある」 高市総理「全然足りない」

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日本共産党の田村智子委員長が、11日の衆議院予算委員会で高市早苗総理・小泉進次郎防衛大臣と「ミサイル配備」などについて議論した。
【映像】ヤジを黙らせた枝野委員長の「一喝」(実際の様子)
田村委員長は、今年度に熊本陸上自衛隊健軍駐屯地に配備される射程1000kmといわれるミサイル・12式地対艦誘導弾能力向上型などを引き合いに出し「日本全域をミサイル列島にする計画が進んでいる。日本で初めて長射程ミサイルが配備される熊本県、熊本日日新聞の世論調査では約6割がこのミサイルの配備に反対している。女性では76%を超えている。長射程ミサイル配備に住民の多数が不安を抱き反対している。総理はこのことをご存じか?」と質問。
これに高市総理は「地元でさまざまなご意見があることは承知している。戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中でスタンド・オフ・ミサイル(敵の対空ミサイルの射程外から発射が可能なミサイル)の配備はわが国の抑止力・対処力を向上させる重要な取り組みだ。防衛省において、今配備の必要性などについてすでに積極的に発信しているが、熊本県や熊本市ともしっかり連携を取りながら丁寧な説明や情報提供に努めていくと認識している」と回答した。
田村委員長は今度は小泉防衛大臣に「熊本市民の皆さんに話を聞くと『こんな住宅地のど真ん中にどうして長射程ミサイルを配備するのか?』『相手からターゲットにされるんじゃないか?』『司令部を地下化する工事も同時に行われる。これは攻撃に備えてのことじゃないのか?』という声が次々と出された。当然不安だと思う。ところが、驚いたことに防衛省は住民説明会すら開いていない。熊本選出の議員でもある木原官房長官が今日いなくてとても残念だが10月31日の地元紙のインタビューで『住民説明会を実施する予定はない』と断言している。これはあまりにもひどい対応だと思うがいかがか?」と質問。
小泉防衛大臣は「あたかも日本が自制が効かず、我々が軍備を増強しているとレッテルを貼るようなことは基本的な認識として違うと思う」と話すと議場内にヤジが飛んだ。
小泉防衛大臣は続けて「中国は不透明な軍備増強を続けており、国防費を継続的に高い水準で増加させている。そして5日、3隻目の空母を就役させている。そして日本と中国の防衛大臣会合も開催して私も会った、その際にも尖閣等で海警の船からヘリコプターが出て、領空侵犯なども直ちにやめるように申し上げているので、日本が今回スタンド・オフの配備も含めて今(田村)先生がおっしゃったような地元への丁寧な説明は防衛省は熊本県そして熊本市、適切な情報提供に努めていく。そして何よりも、こうしたスタンド・オフ防衛能力を保有することで、我が国として相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力を得ることができ、わが国に対する武力攻撃そのものの可能性を低下させることができると考えているので、丁寧にこういったことについてもご理解を得られるように説明は続けていく」と述べた。
これに田村委員長は「質問に答えてないんですよ」とバッサリ。その上で「今みたいに『抑止力を高めるんだ』という前提の上で住民の皆さんは不安に思っている。住民説明会を開いていない、開こうともしない、やる予定がないと官房長官が言う。これはひどい対応ではないかと聞いている」と追及した。
2人のやり取りを受けて枝野幸男予算委員長は「小泉大臣、問いに率直にお答えください」と促した。
小泉防衛大臣は「官房長官がいないが、官房長官がというよりも、今配備先に対する適切な説明や情報提供が必要だということを先ほど私は答えた。そして健軍駐屯地へのスタンド・オフ・ミサイル配備については8月29日に九州防衛局長から熊本県知事および熊本市長に説明し、その際県知事と市長からは住民に対する丁寧な説明を求められたところだ。こうして地元自治体からのご意見も踏まえて九州防衛局において問い合わせ窓口を設置し、質問に逐次お答えするなど対応しているほか、九州防衛局のウェブサイトにQ&Aを掲載することによりすでに積極的な発信に努めている。こうした取り組みを行っている中、現時点において住民説明会を実施する予定はないが、熊本県熊本市とも緊密に連携しながら引き続き丁寧な説明を続けていきたい」と答えた。
だがこの答弁に対し「それは丁寧ではありません」とヤジが飛び、枝野予算委員長が「不規則発言はお慎みください」と注意した。
田村委員長は「まず、住民の疑問にこの場でも答えてほしい。1つは『配備するのは移動式の発射台だ』と強調されていて『健軍からは撃たないのか』と。今まさに住宅地のど真ん中、健軍駐屯地から長射程ミサイルを発射することは絶対にないと断言できるのか? 2つ目、健軍駐屯地には弾薬庫が新設される。その弾薬庫に長射程ミサイルを貯蔵するのか?」とさらに質問。
小泉防衛大臣は「今田村先生から指摘があったが、具体的な展開場所や運用要領はまさに事態の様相に応じて判断するものだから予断をもって答えることはできないことはご理解いただきたい」と答えた。
田村委員長は「つまり抑止力というひと言で住民の不安には答えない、住民の不安に答える説明もできないということではないか。特に住民説明会だ。9日、健軍商店街でミサイル配備反対の集会を行い1200人が集まった。それだけの人が集まっている。住民が不安を抱えている。その集会の中でも防衛省による直接の説明がないことに強い不信と怒りが示されて『まず説明会を』と。これはもう立場の違いも超えて参加者の総意となっている。高市総理、総裁選で地元メディアからのインタビューに『住民説明会は絶対大事、大切な情報提供をすることがイロハのイ』と答えている。防衛省に直ちに住民説明会を行うように指示すべきではないか?」と迫った。
これに高市総理が「小泉大臣から先ほど答弁があったのを聞いて私はむしろ安心した」と答えると「えー」と大きなヤジが上がった。
高市総理は続けて「つまり、しっかりと防衛局に相談窓口を作って、丁寧に疑問に1つ1つ答えている。そしてまた情報発信をしているということで、全く住民の皆様に情報が提供されないというようなことではなく、相当な努力をしていただいている。その上で、住民説明会を今後開く開かないというのもこれは防衛大臣の判断に私は任せたい。今かなり丁寧にやっていることを答弁でご承知いただけたと思う。とにかくスタンド・オフ・ミサイルを配備することは敵の艦船とか上陸部隊を早期かつ遠方で阻止し排除することが可能になるからだ。そしてまさに先ほど大臣が答弁をしたとおり、相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力、これをちゃんと得ることができるからだ。国民の皆様を守るためだ。これはよくよくご理解をいただきたい。『ミサイル列島』と言われるような状況ではなく全然足りない。スタンド・オフ・ミサイル。これからスタンド・オフの能力が足りないから日本はもっともっと抑止力を強くしていかなきゃいけないと私は思っている」と回答した。
田村委員長は「あのね、まずその九州防衛局の窓口は全然答えてない。住民の声に答えられない人が窓口で電話を取っている。それで『Q&Aもホームページに出したから、これで説明はできています』なんて全然違う。住民説明会はイロハのイではないのか?イロハのイを投げ出すのか?」とさらに迫った。
高市総理は「その必要性は先ほど申し上げたとおり、防衛大臣にその判断を託したいと思っている」と答えた。
田村委員長は怒りを滲ませながら「いま抑止力と言ったが、結局『安全保障環境が厳しい』と危機を煽る。先日の台湾有事の発言もそうだ。外国を射程に捉えると。敵基地攻撃だといってはじめて外国を攻撃し得るミサイルを持つわけだ。それが今後まだまだ足りない、大量に配備される。防衛省に聞いても『これは第1段階だ』と。もっともっと置いていく。もう既に総理がそういう発言をされたので、そういうことになる。抑止力だと言うが、それで安全になるというが、直近の日米共同演習はどうか? 日米一体でミサイル総動員ってまさに戦争準備だ。2023年国会審議で敵基地攻撃能力の問題で質疑の中で岸田総理は『存立危機事態、つまり日本が攻撃も侵略を受けていなくても長射程ミサイルを使用することがあり得る』という答弁もしている。これは事実上先制攻撃の危険性さえあるということにもなる。そういうミサイルを張り巡らせていくということじゃないか。こんな軍事対軍事、ミサイル対ミサイルの悪循環、軍事的緊張を高めていってどうしてその先に平和があるのか。むしろ何かのアクシデントから武力衝突が生じかねない。それが歴史の教訓ではないか? 私は専守防衛さえ投げ出す憲法違反の長射程ミサイルの配備計画、撤回を求めたいし、今日の質疑で明らかになったのは結局住民説明会もできない。説明すればするほど不安になるからでしょ。説明ができないってことだと思う。こういう姿勢では、こんな計画を進めさせることはできないと言わなければならない」と訴えた。
小泉防衛大臣は「今総理から説明会開催するかどうかは防衛大臣の所掌で判断しろということだ。私は大事なことはしっかりと説明をさせていただくことが大事だと思っている」と答えたが、「逃げてる」とヤジが飛んだ。小泉防衛大臣は続けて「だから今回防衛局で窓口もあり、Q&A等もやっている」と述べたが、これに対しさらに「それなら答えなくていいですよ」とヤジがあがった。
小泉防衛大臣は「これからもまた問い合わせがあればしっかりと情報提供、説明をしたい。また先ほどからまるで日本が自制が効かず軍拡を進めているかのような前提に立って話をずっとされているが正直理解に苦しむ。これは我々から今このような対処をしているのは総理も申し上げているとおり、いかに日本を取り巻く安全保障環境が厳しくなっているか。こういった中での日本の抑止力と対処力を高めるための不断の取り組みをすること、このことは危機を煽るのではなく厳しくなっている安全保障環境に対して適切な対応を進めているということだ。これをどのように判断をされるか、(田村)先生の基本的な認識が国民の皆さんが『その通り』だと思うのか。国民の皆さんにご理解いただけるように十分説明を続けたい」と述べた。
田村委員長は「軍事的緊張、安全保障環境を解決するには外交しかない。それこそしっかりと説明もできない。これが今明らかになったと思う。これは暮らしにも関わっていく。こういうミサイルをどんどん置いていくのはまさに軍事費2%への増額2年前倒しの問題と重なっていると思う」と話した。
ここで議場内がざわつき、枝野委員長が「両サイドとも不規則発言はおやめください!」と声を上げる異常事態となった。
(ABEMA NEWS)

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