校外学習や定期考査で給食が不要にもかかわらず、学校側の連絡ミスで食材が準備され、食されることなく寄付や廃棄に回るケースが多発している。福岡市立学校では過去5年間に、対応期限を過ぎた直前キャンセルが91件、少なくとも2万食分に上った。市教育委員会によると、多くは担当教員によるシステム上の入力作業の失念が原因。誤発注に伴う食材費は市が全額負担しているという。
同市教委などによると、市立学校の給食は小学校が自校で、中学校は3カ所の給食センターで調理。発注は各学校が専用システムを通じ、必要な食数を市学校給食公社に知らせる。学校行事などで給食が必要ない場合、公社が食材を発注しないように小学校は3営業日前、中学校は5営業日前までにキャンセルする必要がある。食材は給食提供の数日前に調理場に納入されて下処理が始まることから、その後にキャンセルがあれば廃棄処分などとなる。
本紙が同市に情報公開請求した資料によると、2021年4月~今年10月の誤発注に伴う給食の直前キャンセル数は小学校21件、中学校67件、特別支援学校3件の計91件。遠足や修学旅行で不在の学年分を止め忘れたり、新年度の給食開始日を誤って発注したり。ほとんどがキャンセル期限を過ぎて学校側が誤りに気づき、給食の提供中止を要請。提供当日まで誤発注に気付かなかった例もあった。
直前キャンセルをした学校は58校。うち21校は複数回の発注ミスをしており、5回も誤発注した学校があったほか、同じ学校が半月間に2度のミスを繰り返したケースもあった。
市教委などによると、食材納入後にキャンセルがあった場合、牛乳などは翌日以降に提供日を変更。当日中に喫食する必要がある食材は、少人数分であれば他学級の具材を若干増やして対応するほか、冷凍品などはフードバンクへ寄付する。キャンセル量が多い場合や調理員が下処理を済ませた野菜などは、廃棄処分せざるを得ないという。
同市は今年8月から給食費無償化をスタート。それまでは市が保護者から給食費を月額徴収し、学校行事などで給食提供がない日があれば、その日数に応じて返金していた。誤発注で生じた食材費は市が全額負担しており、開示資料によると、負担額は過去5年間で少なくとも計約430万円に上る。
市教委健康教育課は「お粗末な対応としか言えず、大変恥ずかしい。ミスは教員間の連携不足で起きており、今後も注意喚起していきたい」と話した。
(長田健吾)