【台湾マフィア「竹聯幇」幹部に独占取材】沖縄で「ゾンビタバコ」を蔓延させた「驚きの密輸方法」

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今年に入り、日本国内で違法薬物に関する報道が相次いでいる。なかでも警察が警戒を強めているのが、沖縄で爆発的に蔓延している「ゾンビタバコ」だ。違法薬物を裏で取り仕切っているのは、台湾マフィア「竹聯幇」。同組織の幹部が独占インタビューに明かした実態とは――。
前編記事『【独自】沖縄で「ゾンビタバコ」が蔓延…!日本に流している”凶悪マフィア”の正体』より続く。
本州まで魔の手が伸び始めたゾンビタバコ……。その背後にいる組織こそ、台湾マフィア「竹聯幇(チクレンホウ)」だ。
台湾の犯罪組織は「黒社会」と呼ばれ、「竹聯幇」は同国の三大黒社会の一つとして知られる。台湾全域および国外にも拠点を有し、主要構成員数は約1万5000人、末端まで含めると総数は10万人とも言われている。’80年代には山口組と台湾国内に共同事務所を設立するなど、日本の暴力団組織とも深い繋がりを持つ。
黒社会は日本のヤクザ同様あらゆるシノギを行うが、なかでも麻薬ビジネスは大きな柱に位置付けられており、ゾンビタバコもその一つだ。
今回、本誌は関係者を通じ、「竹聯幇」の幹部・A氏の取材に成功。リモート取材に応じたA氏は、笑みを浮かべながら「日本はゾンビタバコ流通のターゲットになっている」と断言し、こう続けた。
「組織でゾンビタバコを扱うようになったのは、2~3年前からです。もともとは台湾でさばいていたが、’23年にエトミデートが規制されるようになり、国内では扱いづらくなった。
そこで韓国へ卸したら、爆発的に売れました。ただ、あまりに流行してしまったので、韓国国内で社会問題になった。警察の目も厳しくなり、結果として大量の密輸が難しくなったんです。韓国はもうダメ。でも日本は、他の国に比べて規制が緩く、警戒心も薄い。だから沖縄に流すようになった。日本はまだまだ売りやすい国です」
さらにA氏は、ゾンビタバコの流通方法についてこう明かした。
「うちはゾンビタバコの製造から販売までやっている。『竹聯幇』は台湾国内だけでなく、中国本土にも構成員がおり、連絡を取り合っている。我々の拠点が特に多いのは、台湾から近い中国・福建省の海沿いの都市『廈門』です。
ゾンビタバコの場合は、まず容器を中国国内で製造し、台湾に送ります。反対に原料のエトミデートは台湾で製造し、届いた容器にリキッドを入れて完成させ、流通させる。
『竹聯幇』のほかにもゾンビタバコを製造・流通させている黒社会はあるが、メデトミジン(動物用の鎮痛剤)を混ぜて作ったり、組織によって微妙にレシピは違う。ただいずれも、果実風味などのフレーバーをつけるのは同じです。エトミデートのリキッドはそのままだと苦いから、匂いをつけて吸いやすくしているのです」
どうやって日本へ運んでいるのか――。そう尋ねると、驚きの密輸方法を語った。
「海の上で、日本国内の組織に受け渡しています。日本語だと『瀬取り』って言うのかな? 価格はリキッド1本につき、1万円程度。そこから、我々と日本組織をつないだ仲介業者のマージンとして、3000円ほど抜かれる。
海上で取引をする理由はシンプルで、海は見晴らしが良く、警察が来ればすぐわかるからです。いざとなったら、海にブツを捨てることもできるしね。ゾンビタバコの製造工場そのものが船上にあるケースもあります。中国では、麻薬は重罪で死刑になるリスクがある。だから、陸地にはなるべく工場を作らない」
沖縄でのゾンビタバコの末端価格は2万円程度とされる。ただA氏は、こんな「悩み」も打ち明けた。
「もう少し値段を高く設定しないと、我々の儲けが少ない。今は正直、薄利多売に近い状態です。流通を見直す余地はありますね」
A氏によると、日本で広く知られている「シャブ(覚醒剤)はすでに時代遅れ」。現在、黒社会で注目されているのは、麻酔薬「ケタミン」だという。
「シャブをやるのは年寄りばかりで、売れ行きがよくない。代わりに今、台湾で人気なのがケタミンです。台湾ではタバコの葉っぱに粉末状のケタミンを混ぜて吸うのがファッション化している。体が浮くような感覚があって、リラックスした心持ちになるが、効果は短く、断続的に使うことで中毒になる。ライトなドラッグとして若者にウケているのだと思う。
台湾のケタミンは主にベトナム産で、我々は作っていない。ベトナムの組織から買って、国内に流している」
ケタミンもまた、日本への蔓延が懸念されており、9月22日には、台湾籍の男が密輸容疑で那覇空港で逮捕された。
取材の最後にA氏は、日本の現状についてこう話した。
「日本はアジアの中でも違法薬物の規制が緩く、警察の目もそれほど厳しくない。韓国などでの売買が難しくなった今、海外の犯罪組織からすれば、注目の市場と言える。これから日本は、さらに違法薬物の天国になっていくんじゃないかな」
虎視眈々と日本市場を狙う海外マフィアたち。危険ドラッグの蔓延を防ぐためにも早急な対応が必要だ。
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「週刊現代」2025年11月10日号より
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