国土交通省 関東運輸局は2025年11月4日、栃木運輸支局が東北道で実施した特別街頭検査の内容を公表しました。
2台の車両を検査し、1台の不正改造車に整備命令書を交付したといいます。
【画像】「えっ…!」 これが不正改造車「摘発の瞬間」です! 画像で見る(50枚以上)
日本国内の公道を走行する場合、どのクルマも一定の安全・環境基準を定めた「保安基準(道路運送車両の保安基準)」に適合しなければなりません。
装置の取り付けや取り外し、改造などを行い、保安基準に適合しなくなった状態のクルマ(不正改造車)はこの保安基準に合致せず、公道を走行することは違法となります。
さらに法律に違反するだけでなく、不正改造は周囲の交通や近隣住民にとって大迷惑になります。
例えば、マフラー(消音装置)を取り外す(いわゆる「直管」)ことや、法規に適合しないレース用などを取り付けると、エンジン始動・走行時に爆音がこだまし、近隣の大迷惑になります。
不正改造車に乗るドライバー自身も緊急車両やクラクションの音などが聞こえず、緊急車両の通行の妨げになったり、危険を回避できないことも考えられます。
また、サスペンションを改造したり、競技用の部品を取り付けて車高を落とした状態(いわゆる「シャコタン」)にすると、保安基準で定められた最低地上高9cmを切ることがあります。
低すぎる車高は、車体やマフラー、エンジン下部などを路面にひっかけて車両故障を招き、立ち往生して渋滞を引き起こします。道路びょうやマンホールなど、金属製の道路設備と接触すれば、火花が飛び散り、最悪の場合は車両火災に至る危険性もあります。
車体幅を超えるウイングやスポイラーなどを取り付けると、右左折時に歩行者などに当たってケガをさせたり、取り付けが不十分であれば走行中に脱落し、大事故になることもあります。
ほかにもライトの色や光り方を変えることは、夜間でどんなクルマがどういう動きをしているのかが遠目で判断がつかずに事故を招いたり、スモークフィルムを貼付すると視界を妨げ、運転手同士の意思疎通ができません。
タイヤをはみ出させて回転部分を露出(いわゆる「ハミタイ」)させれば、歩行者を巻き込む可能性があり、非常に危険です。
こうした改造の事例は、当然すべて保安基準適用外で、違法です。
いっぽう不正改造の現状としては、個人の自己満足で収束するケースも多いですが、なかには不正改造車の団体を作って行動している輩も多く存在し、夜間の高速のSA/PAや道の駅などに集結し、空ぶかしやドリフトなどを行って、近隣住民や一般ドライバーに多大な迷惑を及ぼしています。
主に「暴走族」(珍走団とも)や「旧車會」、「ドリフト族」「走り屋」「ルーレット族」「環状族」などがそうした輩で構成されるグループの代表例です。
さて、今回関東運輸局 栃木運輸支局は、自動車技術総合機構関東検査部や軽自動車検査協会と連携し、栃木県警とともに東北道で検問を実施。
検査は2025年11月2日の午前7時から11時にかけ、東北道の黒磯板室IC付近で実施。通過したクルマ2台に対し、不正改造がないかを調べました。
このうち旧車のセダン1台で、タイヤ・ホイールの突出(ハミタイ)、着色フィルム(フルスモ)、騒音基準を満たさないマフラー(爆音マフラー)の取付けが確認され、その場で検挙されました。
この1台には「整備命令書」が交付されており、クルマの所有者はただちに保安基準に適合するよう修理して最寄りの陸運局などに持っていき、直接の確認を受けるよう命じられています。
関東運輸局は「引き続き、街頭検査の実施などを通じて不正改造車の排除に取り組んでまいります。」とコメント。「排除」という強い言葉を使い、怒りをにじませつつ、不正改造車を断固として許さない構えです。