「衝撃レポート」タトゥーを”セルフ除去”した男性が明かす実体験…専門医は「自傷行為」と大呆れ

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タトゥーはいまや、多くの若者からファッションアイテムの一部と認識されている。とはいえ、令和の時代にも嫌悪感を抱く人が少なくないのが現状だ。
和歌山県で美容院を営む矢部健一さん(56・仮名)は、かつて米国で開催されたヘアカット大会で、幾度となく優勝を勝ちとったベテランスタイリストだ。矢部さんは若気の至りで30年前に自身で入れたタトゥーが、最近になり薄くなってきたことにいささか抵抗感を抱きはじめた。
そこでタトゥーの除去を思い立ち、美容整形に相談したのだが……。
「満足なレベルまで除去しようとするとトータルで100万円ほどかかるそうなんです」
と、矢部さんは嘆く。ならば、自身で除去を試みてみようと決断するまで、さほど時間はかからなかった。
一念発起した矢部さんは、美容のために使用されているレーザー治療機器を徹底分析。海外のサイトからタトゥーやシミ取り用に使われる「ピコレーザー」を個人輸入したのは昨年11月のことだった。
なお、本来タトゥー除去は医療行為であり、個人での施術はあくまでも自己責任。本記事は、個人でのタトゥー除去を推奨するものではないことはここに明記しておく。
「レーザーを当てたあとの肌を保護するため、日本では処方箋が必要な外用薬を個人輸入しました。病院へ行かないと貰えない薬でも、自己使用に限り輸入できたりもします。
次に、ピコレーザーでいろいろと実験しました。アタッチメントの種類でレーザーの波長を変えることが可能なので、色紙を使って波長ごとの反応の特徴をデータ採取しました。この実験をもとに、自分の肌に合うレーザーの波長を特定しました。
波長と出力の組み合わせを試行錯誤しながら月1回のペースで3回照射したころから、少しずつタトゥーが薄くなってきたことが実感できるようになりました。4度目の照射ではさすがに身体も学習してきたのか、小さな水疱ができた箇所はあるものの、さほど痛みは感じられず。麻酔クリームなしでも大丈夫なレベルでした」(矢部さん)
ただ、タトゥー除去がうまくいったとしても、アフターケアを怠れば、肌へのダメージは増大してしまう。実際に矢部さんの相談を受けたという美容整形外科の専門医は、FRIDAYデジタルの取材にこう話す。
「患者さんのコンディションにもよりますが、レーザー治療を行ったことでダメージを受けた皮膚にはどうしてもシミができやすくなります。施術後の紫外線にはとくに注意が必要で、クリニックでは外用薬の使用や定期的な経過観察で対処するのですが……」
医師に処方される塗り薬に比べ、市販の塗り薬は効果が限定的である場合が多い。
「私が輸入したのは、外用局所麻酔薬と、ゲンタマイシン硫酸塩と抗真菌成分のミコナゾール硝酸塩配合の外用クリーム剤。前者はレーザー照射前に塗布するもの、後者はレーザー照射後に水膨れになってジュグジュグになった時に塗る薬です」
施術開始から約半年間で、「ピコレーザー」を計6回照射した矢部さん。いまのところ痛みや引きつれ、体調不良もなく効果はまずまずと満足気だ。
タトゥー除去が及第点に達したら、次回はシミ取りにもチャレンジするそう。試行錯誤の日々が続いている。
この前代未聞の”セルフ除去”について、世界初のレーザー専門総合病院の名医である大城クリニック院長の大城貴史氏に見解を聞いてみた。
「当院で(タトゥー除去)治療した患者さんに対しては、豊富な経験と専門知識に基づき徹底的な熱傷管理を行っておりますが、自己責任とはいえ、ご自身でレーザーを当ててのタトゥー除去は、治療ではなく自傷行為です。まったくお勧めできません!」
当然と言うべきか、バッサリ切り捨てられてしまった矢部さん。それでもセルフ除去をやめるつもりはないという。
取材・文・PHOTO:佐藤裕之

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