アサヒグループホールディングスへのサイバー攻撃で、ハッカー集団の「Qilin(キリン)」が10月7日に犯行声明を出した。
【画像】発売延期になった新商品
Qilinはロシアを拠点としていると見られ、2022年頃から活動が確認されるようになった。彼らはダークウェブサイトに、約800件にのぼる過去の侵入事案を紹介。アメリカや中国、韓国など世界中の企業が被害に遭っている。
「彼らはランサムウェアを使い、企業のデータを抜き取って暗号化し、復元する対価として身代金を要求。さらに、盗んだ情報を公開すると脅す、二重脅迫を行う手口を使う」(経済部記者)
Qilinは今回、アサヒの財務情報や事業計画書、従業員の個人情報など少なくとも27ギガバイトのデータ、9300以上のファイルを盗んだとしている。そして内部文書の画像をウェブサイトで公開した。
アサヒは株価にも大打撃を受けた 時事通信社
狙われたアサヒは9月末、サイバー攻撃でシステム障害が発生したと公表。国内の酒類や飲料、食品の受注や出荷業務を停止した。
「国内の全30工場の殆どで生産が一時ストップ。一部の注文を紙やFAXで受け付けて、手作業で順次出荷を再開したものの、対応範囲は限定的です」(同前)
〈この続きでは、アサヒにとって攻撃が“最悪のタイミング”だった理由、見込まれるアサヒの業績への影響を解説している〉
(森岡 英樹/週刊文春 2025年10月9日号)