船首側のハッチから海水流入の可能性 知床沈没事故

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北海道・知床半島沖で観光船「KAZU ?(カズ・ワン)」が沈没した事故で、原因を調査している運輸安全委員会が、船の前方にあるハッチのカバーが外れ、海水が船内に入り込んだ可能性が高いとみていることが9日、関係者への取材で分かった。
密閉する留め具が十分に締められておらず、密閉するふたが外れた可能性がある。運輸安全委員会は近く調査経過の報告書を公表する方針。
関係者によると、カズ・ワンの甲板には船倉につながるハッチがあり、航行中は波をかぶっても浸水しないようにカバーをして密閉することになっていた。しかし、海底から引き揚げられた船体は船首付近のハッチのカバーが外れており、事故当時は密閉されていなかった可能性が高いとみられている。
これまでに、船体前方の窓ガラス1枚が破損していたことが確認されているほか、甲板下の船倉や機関室などを仕切る3枚の隔壁のうち、船首側の隔壁に穴があいていたことが判明。水密性を保っていなかったために、ハッチから内部に海水が流入し、穴を通じて浸水が広がった可能性があるという。一方、船底に沈没につながるような致命的な傷はなく、座礁の痕なども確認されなかった。
カズ・ワンは4月23日、半島西側の「カシュニの滝」沖で沈没。これまでに乗客乗員26人のうち20人の死亡が確認され、乗客6人の行方が分かっていない。第1管区海上保安本部(小樽)が業務上過失致死の疑いで捜査を続けている。

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