「亡くなって時間が経つと腐敗してきました。家中に臭いが充満したので、冷凍庫を購入して遺体を入れました」
茨城県阿見町の無職・森恵子容疑者(75歳)は警察の取り調べに対し、そう供述した。
2025年9月23日、親族に付き添われ茨城県警牛久警察署を訪れた森容疑者は「自宅の冷蔵庫に長女の遺体を保管している」と話し、自首した。警察官が確認したところ、自宅1階の台所に置かれた大型冷凍庫の中から女性の遺体が見つかった。
9月25日、死体遺棄の疑いで森容疑者は逮捕され、遺体は長女の万希子さんだと確認された。
「森容疑者は20年前に冷凍庫に万希子さんの遺体を遺棄したと供述しています。司法解剖の結果、死因は窒息死。首には絞められたような痕跡があり、頭頂部と右側頭部には鈍器で殴られたような傷もあったことから、殺人事件の可能性も視野に入れて捜査を続けています」(捜査関係者)
腐敗の程度から、万希子さんは死後数日から数週間が経過したころに冷凍庫に入れられたとされる。
万希子さんの遺体が遺棄されたのは、上部にフタがついた業務用の冷凍庫。横95センチ、高さ85センチ、奥行き60センチほどの大きさで、万希子さんは正座の状態で、上半身を前に倒すような姿勢で収められていた。
「20年間冷凍庫に入れられていたため、遺体の一部は腐敗し、冷凍焼けのような状態もありました。冷凍庫の中には遺体を覆うようにかけられた毛布、植物、そして脱臭剤が入っていました。定期的に交換されていたかどうかは確認中です。万希子さんの服装はTシャツと下着姿でした」(前出・捜査関係者)
冷凍庫は祭壇のように祀られることもなく、家族が食事をする台所に普通に置かれていたという。
前出の捜査関係者は「宗教的な儀式や信仰心によるものではなく遺体を手元に置いておきたかったということでもないようです」と説明。森容疑者は、娘の死亡が発覚することを恐れ、冷凍庫に遺棄したとみられる。
「事件当時、万希子さんは別の場所に住んでおり、自宅には森容疑者、今月亡くなった夫、数年前に亡くなった夫の母親が同居していました。家族も遺体の存在を知っていた可能性はありますが、すでに故人のため、真相は不明です。ですが、森容疑者本人は罪の意識を抱き続けていたのでしょう。遺体の存在を知った親族に説得されて自首に至ったとみられます」(同前)
森容疑者は現在、取り調べに素直に応じているという。
森容疑者の自宅は、陸上自衛隊霞ケ浦駐屯地に隣接する閑静な住宅街にある。夫が新築で購入した木造2階建て住宅に、一家が越してきたのは32年前だ。
「万希子さんが中1くらいのときだったと思います。高校に上がったころに見かけたきり、姿は見ていません。万希子さん以外にも子供はいたはずですが、ほかのお子さんたちもほとんど姿を見ることはなく、帰省している気配もないんです。万希子さん含め実家とは疎遠になり、離れて暮らしているものと思っていました」(近隣に住む70代女性)
死亡当時、万希子さんは30歳前後。職場や交友関係がある年代で、家族以外の社会的なつながりもあったはずだ。彼女が消えたことを不審に思い、探す人はいなかったのだろうか。近隣住民の多くは万希子さんの消息はおろか、存在すらも知らなかった。
また、万希子さんの死亡当時、遺体の腐敗臭や虫などの異変に気付いた住民もいなかったという。
だが、秘密を抱えた一家は近所と距離をおいて生活していたわけではない。少なくとも森容疑者は地域と積極的に交流を持っていた。
「すごく良い方でした」と森容疑者を知る人々は口々に話し、近所でも評判だった様子。近隣に住む70代の女性は「事件のことはショックです」と繰り返しつつ、森容疑者の人柄については次のように語った。
「いつも優しくて、相談ごとには親身になってくれるし、本当に面倒見のいい方なんです。彼女を知る方で、悪く言う人はいませんよ。それくらい良い人なんです」
「いつも私の身体のことを気遣ってくれていました」と話すのは10年以上の付き合いがあるという知人女性だ。この女性によると森容疑者は数年前に家電量販店を定年退職。それ以後は地域の仕事をしたり、花の手入れをするなどして、近隣とも関わっていたという。
ただし、この知人女性はこうも語る。
「自分のことや家族の話をあまりしたがらないんです。いま思い返すと、彼女は世間話ばかりだったように思います」
近所の30代女性は「猫を可愛がっていたのが印象的でした」と話す。森容疑者は小柄な猫を飼い、晴れた日には自宅の前で日向ぼっこをさせたり、近隣を散歩させたりしていた。
前出・知人女性も森容疑者が猫を可愛がる様子を覚えていた。
「とても可愛がっていましたが、家の中には入れられないから、って庭に小屋を作ってそこでお世話していました。その猫も最近は見ません。保護されているといいのですが……」
また、家族仲についても「良好だった」という証言が多い。近隣に住む男性は一家が談笑する声を何度も耳にしていた。
「おばあちゃんが生きていたころは特に、3人とも仲が良かったですよ。楽しそうに笑い合っていました。今月亡くなった御主人と恵子さんの夫婦仲もとても良かった」(近隣に住む男性)
森容疑者と夫が仲睦まじくしている様子を見かけた人も少なくない。
ただ、一部の住民は最近のある異変を口にする。
「森さんの家かどうかはわかりませんが……」と前置きをした上で、こう明かした。
「夏の初めごろ、森さんの家の方から年配の女性がヒステリックに叫ぶ声が聞こえたんです。誰かと喧嘩をしているようでした」
それからしばらくして夫は亡くなり、森容疑者は自首。この住民は「あの喧嘩は自首となんらかの関連があるのではないか」と推測している。
捜査関係者によると、森容疑者は万希子さんが死亡した当時、家庭内でトラブルがあったとの供述もしているという。
近隣から「良い人」と慕われ、家族仲も良好に見えた森容疑者。だが、その家の冷凍庫の中には20年間、長女の遺体が隠されていた。
どんな思いで冷凍庫の娘と一緒に過ごしてきたのだろうか。真相の解明が待たれる。
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