中学生への当て逃げ事件も…『スラムダンクの聖地』で我が物顔に振る舞う「白タク」と外国人ドライバー

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人気アニメ『スラムダンク』の聖地として知られる神奈川県鎌倉市の「鎌倉高校前」駅周辺が、一部の外国人観光客による迷惑行為で無法地帯寸前となっている。現地では、野外排泄やゴミの不法投棄などの問題が後を絶たない。江ノ電は観光客で常にパンク状態となり、地元住民の生活は脅かされる一方だ。
『FRIDAYデジタル』では、8月20日配信記事で宅配ボックスの無断使用や私有地への不法侵入などの実態について報じた。
しかし、現地ではさらに悪質なトラブルも横行しているという。それが違法な“白タク”や外国人ドライバーによる危険行為だ。彼らは駅の踏切付近で観光客を降ろすと、次の送迎まで付近の閑静な住宅街に無断で駐車し、待機しているのである。
観光公害は深刻化し、耐えきれずにこの地を離れる住民まで現れている。取材を進めると、その実態はもはや収拾のつかない状況に陥っていた。
8月25日の昼下がり、事件は起きた。鎌倉高校前駅近くの住宅街で、中学生の少年が外国人ドライバーのタクシーによる「当て逃げ」の被害に遭ったのだ。被害に遭った少年の父親が事故の状況を語る。
「その日、息子は自転車で帰宅する途中でした。民家の前に堂々と駐車しているシルバーのハイエースを見つけ、指でバッテン印を作りながら『ここは駐車しちゃダメですよ』と注意したそうです。すると、運転席にいた50代くらいの外国人女性が逆上。『なんで私だけに言うんだ』と片言の日本語で言い返してきたといいます」
この辺りの住民は、質の悪い白タクなどの車両がいた場合すぐに警察に通報するように心がけており、このことを家族で共有していた。少年も教え通りにスマホから警察に電話をかけた。すると、外国人ドライバーは恐ろしい“反撃”に打って出た。
「女性運転手は車を前に出したかと思うと、今度はハンドルを切りながらバックしてきて、車体を息子の自転車にぶつけたんです。さらに息子の顔をスマートフォンで撮影し、『邪魔だ! お前の学校に言ってやる』と脅したそうです。そして、そのまま走り去ってしまいました」
少年は混乱しながらも家族に連絡。市内の職場から父親が現場に駆け付けた。
「息子にケガはなくてホッとしましたが、突然車をぶつけられたことに相当なショックを受けていました。『警察にぶつけられたことはちゃんと言ったの?』と聞くと『言ってない』というので、私が警察に再度連絡し、事故として処理してもらいました」
この事件に関して鎌倉警察署に取材すると、「現在捜査中です」とした上で、「このような事件の発生を認知した場合は、ナンバーや相手の特徴を控えるなどして、110番通報してください」と、冷静な対応を市民に呼び掛けている。
当て逃げ事件だけではない。この閑静な住宅街で、外国人が運転する白タクによる危険なあおり運転も目撃されている。地域に住む男性はこんな証言をする
「ある日、住宅街の生活道路で、白タクが前の車を蛇行しながらベタ付けであおっていたんです。あおられた車は怖くなったのか、車を道の脇に寄せました。すると白タクは強引に前に割り込んで停車したんです。あおられていたのは近隣の女性住人で、運転手が女性を威圧するような素振りだったので、私や近所の人何人かが慌てて走り寄り、『何をやっているんだ』と怒りました。
運転手はカタコトの日本語で、『こいつがクラクションを鳴らしたから追いかけてきたんだ』と悪びれもせずに言うんです。理由を聞けば、客待ちで踏切近くの路上に駐車していたのを注意された腹いせだと。『あんな場所に止めていれば誰だって鳴らすだろう』と言い返しましたが、『あんな鳴らし方はない』と逆ギレする始末でした」
彼らの傍若無人な振る舞いは、危険行為だけではない。住民の神経を逆なでするような行為は日常茶飯事だ。
「客待ちと思われる白タクが家の駐車場の前に車を止めて、運転手がタバコを吸っていたんです。妻が『すみません、ここはウチの前なので……』とやんわり注意すると、運転手は顔色一つ変えずに『吸い終わるまで5分待ってくれ』と。あまりにふてぶてしい態度に、妻は呆れて何も言えなくなったそうです」
他にもこんな呆れるような話があったという。
「つい最近なんですけど、やはり妻が家の前に止めている白タクに『ここに何か用でもあるんですか?』と尋ねたら、『ここは私の友達のうちですよ。友達を待ってる』と、しれーっと言ったそうです。妻が『でも、ここは私のうちなんですけど』と告げても、動揺する様子も見せず何だかんだと言い訳を並べてなかなか移動しようとしなかったそうです」
こうした白タクや緑ナンバーのワゴンタクシーの横行に対し、警察もパトロールを強化している。しかし、外国人運転手たちは警察さえもなめきっている節がある。
「警察官が注意しても、『車に乗っているんだから駐車違反じゃないだろ』とヘラヘラしています。『はいはい、今どけるから』みたいな感じですよ。お巡りさんは本当によくやってくれているんですが、どうにもなりません」(近隣住人)
鎌倉警察署に違法タクシーの現状と対応を取材すると、次のような回答があった。
「白タク問題の対策として、広報活動やパトロールを強化しています。令和7年中における、鎌倉高校前駅周辺での白タクの検挙事例はありませんが、鎌倉駅周辺での検挙事例はあります。白タク問題については、引き続き、関係部署や関係機関などと連携を図りつつ、各種対策に取り組んでいきます。外国人による白タク事例が増加しているという認識はあります」
現場の警察は問題の深刻さを認識しているが、有効な手立てを講じられていないのが実情のようだ。
「観光公害」は、決して鎌倉だけの問題ではない。京都市では観光客で路線バスが満員になり市民が乗れない事態が常態化。富士山の麓では、コンビニ越しに富士山を撮ろうとする観光客が道路を占拠している。観光振興という美名のもと、そこに住む人々の安全と平穏な暮らしが犠牲になり、鎌倉高校前はもはや無法地帯の一歩手前といった感じだ。インバウンド観光客の誘致を国策として推進してきた以上、その負の側面である観光公害への対策は、国の喫緊の課題だろう。

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