女性の部屋に侵入→首を絞めて相手を口説き→「警察に言わないで」と逃走…神戸ストーカー事件・谷本将志容疑者(35)が3年前にみせていた“不可解な行動”

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〈「全く知らない人」「刺したことに間違いない」帰宅直後の24歳女性を襲い、現場には血の海が…谷本将志容疑者(35)犯行までの“狂気の50分間”《神戸ストーカー殺人》〉から続く
8月20日、神戸市のマンションで、見ず知らずの住人女性をストーキングし、殺害に至った驚愕の事件。殺人容疑で逮捕された谷本将志容疑者(35)は、同じくつきまとい行為の果てに、女性に暴行を加えた前科があった。なぜ惨劇は繰り返されたのか。男の「血塗られた人生」を辿った。(全3回の2回目/続きを読む)
【実際の写真】「室内に押し入り暴行を…」3年前に谷本容疑者が起こしていたストーカー事件の判決文
◇◇◇
谷本は1989年生まれ、大阪府出身。
「幼少期に両親が離婚し、父親に引き取られたと聞いています。『母親と離れて暮らすことになったのは父親のせいだ』と話していて、父親に良い印象を持っていないように感じました」(谷本の知人)
谷本将志容疑者 時事通信社
大阪府豊中市内の公立の小学校と中学校に通っていた谷本。クラスでは目立たない存在だったという。
「谷本くんはいつも一人でノートに漫画を描いていた。僕らは友達が少ないもの同士で仲良くしていました。クラスの皆がテレビとかスポーツの話で盛り上がるなか、2人でアニメとかゲームの話をこっそりしていた」(小中の同級生)
だが、ある時には趣味のゲームを巡り、谷本の“悪癖”が垣間見えたという。
「中学校1年ぐらいの時に仲が良くなって、僕の家に遊びに来ることもあった。でも、谷本くんが来た後、僕の家にあったゲームボーイアドバンスのカセットの『ポケモンルビー』と『ポケモンサファイア』がなくなったんです。当時はニンテンドーDSが出始めたころで、みんなそっちで遊んでいたんですけど、彼はゲームボーイアドバンスしかもっていなかった。絶対、盗んだのはあいつだろうと。それで家に呼ぶのが嫌になって、だんだん疎遠になったんです」(同前)

もともと、クラスでも孤立気味だったという谷本。中学の途中から、学校を休みがちになったという。
別の同級生が語る。
「確か、中2の終わりごろから学校をちょくちょく休むようになって、中3では不登校になった。不登校になる前は、僕の家に遊びに来たこともありましたよ。一緒に晩ご飯を僕の家で食べることもあって。帰りが遅くなりそうだったから心配して『大丈夫?』と聞いたら、『自分の家に帰りたくない』と言っていたのを覚えています。父親と暮らすアパートに戻りたくないんだなと思いました」
その後、谷本は大阪市内の高等専修学校に進学する。当時を知る教員が明かす。
「谷本くんは静かで、勤勉なイメージ。挨拶もコミュニケーションも普通にできる子でした。私は1年生の時の担任でしたが、学校もほぼ休まず、とにかく真面目という印象。ただ、2年生になってから休みがちになり、進級できずに中退してしまったと聞いています」
実はこの頃、谷本は周囲に「学校を辞めて、就職したい」と漏らしていた。前出の知人が証言する。
「学校の規則で本当はダメなのですが、当時、谷本は『自立したいけど、お金がない。でも父親を頼りたくない』と焼肉屋でアルバイトをしていました。でも、最後は結局バイトも無断で辞めてしまった」
谷本は高等専修学校を中退後、3年半ほど飲食業界で働いた。その後、2011年に神戸市の建設会社に入社。市内にある社員寮で暮らし、同社では10年ほど勤務した。勤務態度はいたって真面目で、物静かな性格は変わらなかったという。
だが、22年5月、谷本は驚くべき事件を起こす。
「神戸市内で女性の首を絞めて殺害しようとしたとして、殺人未遂の疑いで緊急逮捕されたのです。谷本は女性の自宅マンションで待ち伏せし、帰宅時に部屋に侵入。背中を押して転倒させ、首を絞めるなどの暴行を加えて軽傷を負わせました。女性が親戚を通じて通報し、後日、マンション付近で警戒していた警察官が谷本の姿を見かけて逮捕に踏み切った」(前出・記者)

不可解なのは、この女性に暴行を加えた直後に谷本がとった行動である。
「谷本は暴行後、被害女性の部屋に留まり、約1時間にわたっていかに自分が彼女のことを好きか力説し、彼女を口説こうとしたのです。当然、被害女性は恐怖に震えるばかりで、谷本は最後には『警察に言わないで』と言い残して逃走しました。2人は知り合いではありませんでしたが、谷本は以前からこの女性に声をかけるなど、一方的な想いを募らせていた」(同前)
谷本は同年6月、ストーカー規制法違反の容疑で再逮捕される。その後の捜査の結果、殺人未遂ではなく、傷害などの罪で起訴されることとなった。
そして、神戸地裁での裁判で谷本は有罪判決を受ける。「週刊文春」は当時の判決文を入手。そこには、谷本の犯行について、次のように書かれていた。
〈路上で見かけて一方的に好意を抱いた女性に対し、約5か月間にわたり、被害者の姿の動画撮影等を伴うつきまとい及び住居付近のうろつきを内容とするストーカー行為に及び、その過程で5回にわたりオートロック式の被害者方マンションに被害者の後に続くなどして侵入した揚げ句、マンション内で被害者を待ち伏せた上、被害者が帰宅した際に被害者方室内に押し入り、暴行を加えて傷害を負わせた〉
また、暴行の悪質性については、こう評価された。
〈必死に逃げようとする被害者に対し強く首を絞めるなどしたという強度で危険なもので、被害者は死の恐怖に直面しており、被害後も続く不安・恐怖を含めた心身の苦痛は大きく、(中略)このような犯行に酌量の余地は全くない〉
さらには、谷本が犯行翌日、謝罪名目で再び女性宅を訪れようとしたことについて、こう断罪する。
〈事件の翌日に謝って許してもらいたいと考えて被害者の心情に思いを致すことなく被害者方へ赴こうとした経緯からしても、思考の歪みは顕著である。再犯が強く危惧されると言わざるを得ない〉
その一方で、被害者が重傷に至らなかったこと、本人が反省していることなどから、谷本には懲役2年6カ月、執行猶予5年の判決が下った。

「再犯が強く危惧」されながら、執行猶予がついたことで再び、野に解き放たれた谷本は、関西を離れることを決めたのだった。そして――。
〈異常なストーカー癖で「再犯が強く危惧」されるも執行猶予…「悪い関係を断ち切るため」神戸マンション女性刺殺・谷本将志(35)がついた“嘘”〉へ続く
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年9月4日号)

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