日本郵便の不適切点呼、100の郵便局で集配の主力「軽バン」使用停止…国交省がきょうにも通知

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日本郵便(JP)で運転手への点呼が適切に行われていなかった問題で、国土交通省は3日にも、貨物自動車運送事業法に基づき、軽バンなどによる運送事業を行う郵便局約100局について車両使用停止の行政処分案を通知する。
関係者が明らかにした。JP側に弁明の機会を与えた上で、4週間後の10月1日に約100局を処分する方針。
JPは4月25日から国交省の特別監査を受けている。トラックやワンボックス車(2500台)による運送事業(許可制)は6月25日に許可が取り消されたが、集配の主力を担う軽バンなど(3万2000台)の運送事業(届け出制)に対する処分は初めて。
関係者によると、今月3日にも処分案が通知されるのは、東京都内など各地の約100局。残る局でも今後、週100局ほどのペースで同様の通知が行われ、最終的に全国の2000局前後が処分や指導の対象となる見通しで、極めて異例の大規模な処分となる。ただ、より重い事業停止処分には至らないとみられる。
軽バンなどの車両使用停止は、複数の郵便局で「160日車」に及ぶ見込み。「日車」は停止日数と対象車両数を掛け合わせた単位で、「160日車」なら停止車両数10台で16日ずつ、5台で32日ずつの使用停止となる。
停止車両数は、営業所で所有する車の台数や処分の「日車」に応じて決まる。法令では、営業所に所属する車の「5割を超えない」台数までと定められており、処分対象の営業所でも、少なくとも半数の車は稼働できる。
特別監査は、車体の大きなトラックやワンボックス車による運送事業で先行して行われ、JPからの報告の通り、点呼の実施義務違反や記録改ざんといった悪質な行為が全国で確認された。
こうした状況を受け、国交省は軽バンなどによる運送事業についても、監査の終結を待たずに点呼の実施体制を速やかに是正させるため、6月25日に同法に基づき輸送の安全確保命令(行政処分)を出した。命令違反には最高100万円の罰金が科されるほか、命令後に点呼の不備があれば車両使用停止の処分(日車数)が重くなるが、今回の処分はいずれも命令前の違反行為が対象だという。
JPの点呼を巡っては、同法の対象外となる主に配達に使用する原動機付き自転車(原付きバイク、8万3000台)でも、全国3188局のうち6割弱にあたる1834局で不備があったことが社内調査で判明している。JPは再発防止策として、全郵便局で点呼記録のデジタル化を進め、本社には安全管理を統括する部署を新設する。

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