飲料大手のサントリーホールディングスは9月2日、都内で緊急記者会見を開き、代表取締役会長の新浪剛史氏(66)が9月1日付で辞任したと発表した。経済同友会の代表幹事も務め、財界の顔としても知られたカリスマ経営者の辞任に衝撃が走っている。
【写真】《麻薬取締法違反の疑い》家宅捜査が行われた新浪会長の超高級マンション
一体、何があったのか。あるキー局記者は、ことの経緯をこう解説する。
「8月22日の早朝に、福岡県警の捜査員が新浪氏の都内自宅マンションに家宅捜索、いわゆる“ガサ”に入った。大麻由来の成分が含まれた製品をアメリカから輸入したとして、麻薬及び向精神薬取締法違反の疑いがあった。新浪氏本人は『大麻成分が含まれているとは知らなかった』などと弁明しているようです」
9月2日の会見に登壇した同社の鳥井信宏社長(59)は「捜査の結果を待つべきだという意見もあった。しかし、日本を代表する企業の経営者として、こうした疑義を持たれること自体が問題であると判断した」と辞表を受理した理由を明かした。
辞任発表当日の2日午後3時過ぎ。取材班が新浪氏の自宅がある港区の超高級マンションを訪れると、現場は物々しい雰囲気に包まれていた。マンション前にはパトカー1台が停まり、5人ほどの警察官が交通整理にあたっていた。同マンションに住むという男性は、目の前の光景に困惑の色を隠せない。
「朝10時頃に外出した時は、いつもと変わらない静かな雰囲気だったのに……。いま帰ってきたらこの騒ぎで、何があったのかと本当に驚きました。新浪さんがお住まいなのはお隣さんから聞いて知っていましたが、直接お見かけしたことはありません。家宅捜索があったなんて、全く知りませんでしたね」
現場の混乱ぶりを、警備員の男性はこう証言する。
「今日の昼過ぎからだんだんマスコミの車が増えてきてね。路上駐車で渋滞にもなるし、それで警察も来た。この辺りはフリースクールがあって、ちょうど親御さんが子どもを迎えに来る時間帯と重なって、人や車でごった返しているよ」
近所に住む女性は以前にも大騒動があったと振り返る。
「マンションの最上階には、かつてカルロス・ゴーンさんが住んでいて、近くのスーパーマーケットでも見かけました。逮捕された時の報道陣の数は、こんなものじゃなかった。もっとすごかったですよ。ただ、このマンションは実際に住んでいる人より、投資用や事務所として使われている部屋が多い印象ですね。日曜の夜なんか、明かりがついている部屋はまばらだから」
女性は、家宅捜索があったとされる8月22日の朝も、この周辺を歩いていたという。
「その日(家宅捜索当日)の朝8時半ごろに散歩しましたが、警察官などはひとりも見かけませんでした。本当に静かな朝でした。それが今日、夕方になって外に出てみたらこの騒ぎでしょう。本当にびっくりしました」
警察の今後の捜査が注目される。