人口が日本一少ない町、10年ぶり売店オープンで町民「便利になった」…隣町まで1時間の不便解消

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町としては住民登録された人口が日本一少ない山梨県早川町で今春、食料品や日用品を販売する「売店」が開店した。
売店が運営されるのは約10年ぶりだ。町民812人の半数ほどが高齢者で、隣町のスーパーまで片道1時間程度かかるなど不便を強いられていたが、「買い物が楽になった」と歓迎する声が上がっている。(甲府支局 次井航介)
売店は、温泉施設「西山温泉 湯島の湯」の敷地内にある。商品は約70種類。カップラーメンやお菓子などの食料品、トイレットペーパーなどの日用品が並ぶ。
運営するのは、町の活性化などを目指して活動する一般財団法人「南アルプスふるさと活性化財団」。2月から準備を進め、4月にオープンさせた。
町民からは、「買い物が便利になった」「本当にありがたい」などと好評だ。週に数回、友人たちと訪れるという同町の無職女性(87)は「今までは料理の時に何かほしいものがあっても、簡単に買い物に行くことができなかった。(売店が)できたことで気持ちが楽になった」と笑顔で話す。
売店誕生のきっかけは1月、財団の事務局長に湯村進一さん(50)が就任したことだ。湯村さんは「住民が生活しやすい環境を作りたい」と考え、住民が頻繁に利用する「西山温泉 湯島の湯」に店を開くことにした。
湯村さんは早川町の出身。中学まで過ごし、高校から親元を離れた。当時から「生まれ育った地元のために働きたい」という気持ちがあり、大学卒業後に早川町に戻ってきた。
早川町の人口は2017年から減少の一途だ。16年は1125人だったが、25年4月には812人。10年ほどで約3割減少した。半数に近い402人は65歳以上で、高齢化も深刻だ。
町内には約10年前、別の店が閉店して以降、売店が一つもない状況が続いていた。財団が運営し、地元の野菜などを扱う「麓の直売所」はあったが、商品数が限られていた。目当ての日用品などがなければ、約1時間かけて隣接する身延町のスーパーまで行かなければならなかった。
財団は今後、商品の種類を増やすことを考えている。利用者の意見を聞き、商品展開を進めていくつもりだ。
今月8日には、町内初のコンビニ「ヤマザキYショップ麓の直売所」も開店する予定だ。町や財団が誘致を進めていた。
コンビニは既存の「麓の直売所」を新装し、財団が販売や仕入れを担う。お弁当などの食料品や日用品などを販売し、商品数も2~3倍程度になるという。
湯村さんは「売店やコンビニで便利になり、町の活性化にもつながる。より多くの人に利用してもらいたい」と話している。

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