大分県国東市で3歳の男の子が、トラクターの下敷きになっていた84歳の男性を発見し、父親に知らせたことで男性の命が救われた。この勇気ある行動に対し、消防から感謝状が贈られた。
【写真を見る】3歳児がトラクター下敷きの男性を発見 農機具大好きな日常…作業音が聞こえ畑に向かう 命を救った小さな恩人に感謝状
国東市武蔵町で4人暮らしの吉武さん家族。農機具が大好きな次男の修平ちゃん(3)は7月5日、いつものように近所の男性が運転するトラクターの音を聞き、畑を見に行った。
そこで男性がトラクターの下敷きになり、うつ伏せで倒れているのを発見。すぐに自宅の外にいた父親の晃司さんのもとへ駆け寄り、「パパ、おじちゃんが倒れてる」と伝えた。
晃司さんは「確認したらうつぶせで、下敷きの状態でした。まずは機械をどけて、それから救急要請をした」と当時を振り返る。
母の恵さんによると、修平ちゃんは普段から乗り物、特に農機具が大好きで「コンバインやトラクターがあると、もう本当に止まってずっと見ている」という。
また、「こども園から帰ってくると畑を見に行ったり、もうすぐ収穫するコメの成長を見たりして、『黄色くなってきたよ』と教えてくれる」とのこと。
今回事故に遭った男性も顔見知りで、いつもトラクターを動かす様子を見学していたという。男性は背中などを強く打つ重傷で病院に搬送されたが、その後回復。8月中旬には修平ちゃんと再会し、「ありがとう」と感謝の言葉を伝えた。
贈呈式では感謝状とお菓子の詰め合わせが修平ちゃんに手渡された。国東市消防本部の表彰としては歴代最年少。糸永康弘消防長は「当日は猛暑の中、通報が遅れた場合は、熱中症による生命の危険も危惧される状況であった。皆様の迅速な対応があったからこそ」と感謝の言葉を述べた。
普段は活発でよくしゃべる修平ちゃんだが、この日の贈呈式では多くの関係者に囲まれて緊張気味。それでも記者から将来の夢を聞かれると、「消防士さん」と答えた。
父・晃司さんは「普通に教えてくれただけという感覚でした」と謙遜しつつも、「偉いね」と息子の思いやりと勇気に感謝。何気ない日常の中で、小さな命の恩人が誕生した瞬間だった。