「下着ディズニー」波紋、露出度の高い服装は罪に問われる? 奥村徹弁護士が法的リスク解説

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東京ディズニーシーで撮影された露出度の高い写真がSNSに投稿され、「下着ディズニー」という言葉が一時トレンド入りするなど、波紋を呼んでいる。
家族連れなど幅広い世代が訪れるテーマパークでの行為に対して、ネット上では「公共の場にふさわしくない」といった批判が相次いだ。
運営会社のオリエンタルランドは「公序良俗に反する服装は入園をお断りする場合がある」とし、注意喚起をおこなっている。
では、こうした服装や撮影・投稿行為に法的な問題はあるのだろうか。わいせつ事件にくわしい奥村徹弁護士に聞いた。
──公然わいせつ罪に該当する可能性はありますか。
公然わいせつ罪(刑法174条)については「接吻や乳房を露出する行為はそれのみではわいせつといえない」(『条解刑法第5版』P513)とされており、下着の露出では該当しないと考えられます。
一方、軽犯罪法の身体露出罪「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者」(1条20号)が考えられます。「公衆にけん悪の情を催させるような仕方で」という点で、状況や社会通念が考慮されます。
古い解説書ではビキニの水着のままで電車バスに乗車する場合(伊藤栄樹『軽犯罪法〔三訂版〕』など)や、市街地でビキニの水着を着ている場合(須賀正行『擬律判断・軽犯罪法』)に適用される可能性があるとされているので、下着の露出も程度や状況によっては該当する可能性があるといえます。
さらに千葉県迷惑防止条例の「卑わいな言動」(3条の2第3項)では、露出行為も規制されています。これは「野卑でみだらな言語、動作であって、普通人の性的道徳観念に反し、性的しゅう恥心を起こさせ、嫌悪の念を催させ、また、それによって不安を覚えるような言動」(千葉県解説書)とされます。しかし、今回のように下着の露出だけでは、該当しにくいと思います。
──テーマパーク側が入園拒否をすることはできますか。
テーマパーク側の服装規程では、ほかの客への迷惑な服装を禁止しているので、入園拒否や退園を求めることも可能でしょう。
──このような写真や動画をSNSに投稿するリスクについて教えてください。
施設内で撮影した露出度の高い写真をSNSに投稿すれば、個人が特定されて誹謗中傷の対象とされる危険があります。さらに最近は、画像が生成AIで改変されるリスクもあり、その被害は予測不能です。
一方で、ほかの来園者から批判を受ける可能性はあるものの、下着を見せた来園者個人がほかの来園者に対して、責任を負うことはないと考えられます。
【取材協力弁護士】奥村 徹(おくむら・とおる)弁護士大阪弁護士会。大阪弁護士会刑事弁護委員。日本刑法学会、法とコンピューター学会、情報ネットワーク法学会、安心ネットづくり促進協議会特別会員。事務所名:奥村&田中法律事務所事務所URL:https://okumuraosaka.hatenadiary.jp/

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