患者数が過去最多の百日せき、大阪で「薬剤耐性菌」7割…海外から流入し全国的拡大の可能性

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感染拡大が続き、年間の累計患者数が過去最多となった百日せきについて、大阪府内では治療薬が効かない「薬剤耐性菌」が7割を占めていることが、地方独立行政法人・大阪健康安全基盤研究所の調査でわかった。
耐性菌はほかの地域でも検出されており、全国的に広がっているとみられる。
百日せきは細菌が原因で、患者のせきやくしゃみを浴びるなどして感染する。回復までに時間がかかり、乳児で重症化しやすい。新型コロナウイルスの感染が広がった2020~23年は感染対策の徹底などで患者数は少なかったが、24年に増加が目立つようになった。
今年は春以降に急増し、8月3日時点での全国の累計患者数は6万826人(速報値)となり、患者全員の把握を始めた18年以降でこれまで最多だった19年の3倍超となっている。
同研究所は昨年9月~今年7月に大阪府内の医療機関で患者から採取した病原体32検体の遺伝子を解析。百日せきの治療に使われる「マクロライド系抗菌薬」が効くかどうかを確かめたところ、この薬が効かない薬剤耐性菌は23検体あり、72%を占めた。
その一部を海外で確認された薬剤耐性菌と比較すると、遺伝子のタイプが似ていた。解析した山口貴弘・主幹研究員は「海外から流入した耐性菌が国内で拡大している可能性が考えられる」と指摘し、手洗いの徹底などを呼びかけている。
耐性菌については東京、富山、鳥取、沖縄などでも検出例の報告がある。ほかのタイプの抗菌薬の投与を検討するが、新生児には使えないなどの課題がある。
川崎医科大(岡山県倉敷市)の大石智洋教授(臨床感染症学)は「診療していて、耐性菌に感染している患者は少なくないという印象だ。子どもを中心に免疫を持たない人が多く、感染拡大はしばらく続くだろう」と話している。

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