川で溺れた小学６年の男児が近くにいた男性会社員３人に助け出され、一命を取り留めた。
約３メートルある護岸から飛び降りるなど懸命な「救出劇」で、３人には埼玉県警所沢署から感謝状が贈られた。
救助したのは所沢市の若松秀（しゅう）典（すけ）さん（４３）、同市の吉田和弘さん（４４）、朝霞市の竹内寿（とし）博（ひろ）さん（５３）。
「子どもが溺れている。川に行ってくれ」。７月２４日午後４時頃、所沢市上安松の柳瀬川に近い路上で談笑していた３人は高齢男性に声を掛けられた。急いで向かうと、護岸に囲まれた川の中で男児が倒れており、子ども４人が「助けて」と叫びながら、沈まないように男児の腕や脚を引っ張って支えていた。男児の意識はなく、顔は水面で浮き沈みしていた。
高い護岸に階段はなかったが、３人は迷わず飛び降りた。若松さんが川に入って男児を抱きかかえ、吉田さんと竹内さんと一緒に水を吐かせたり、タオルをかけたりして介抱。男児はドクターヘリで搬送され、後遺症もなく一命を取り留めた。
この日の夜、吉田さんと竹内さんは一緒にプロ野球・埼玉西武ライオンズの試合をベルーナドームで観戦中に、消防から電話で男児の無事を伝えられ、胸をなで下ろした。
８月２４日の感謝状贈呈式で若松さんは「自分も同じくらいの年齢の子どもがいるので、人ごとと思えなかった」と振り返った。吉田さんは、「その日ライオンズは負けてしまったが、男児が助かったので本当にうれしかった」とほほえみ、竹内さんは「助けるときは無心だった。無事回復してよかった」と語った。