平塚奈菜は、東京の下町出身で、とにもかくにも白黒はっきりしている。変に小細工せずに言いたいことは言うので気持ちいい。
【写真15枚】元「王様のブランチ」レポーター。グラビアデビュー前から水着姿が注目されていた。「『あれ? すごく大きい』と言われ…」
「女の子らしくできないんですよね。以前の事務所の社長に『グラビアアイドルとして受けないから喋らないで』と言われたこともあります。イベントで来るファンの方で、エッチなお姉さんだと思って来たのに、こんなにチャカチャカしゃべると思わなかったみたいで『もうイベントには来ません。DVDだけで見ます』とがっかりされたことがあります(笑)」
口角を大きく上げて、平塚は話した。今年3月で40歳を迎えたベテラングラドルは、現在はタレント業として芸能事務所のマネージャーとしても働いている。
平塚は2004年に「磯山さやかの妹分」オーディションをきっかけにデビュー。2006年には現在も続くTBSの長寿番組「王様のブランチ」のリポーターを務めた。その頃はグラビアの仕事はしていなかったが、一部で注目を集めていたという。
「ブランチのロケで水着になるときにファンの方に『あれ? すごく大きい』と言われるようになって。水着NGの子もいたんですけど、私はプールのロケとかでがんがん泳いでいたので、それで胸が大きいことが知られていきました」
グラビアを始めたのは次の事務所に移った24歳の頃で、事務所からグラビアでデビューを勧められた。当時はバラエティー番組にグラドルが多数出演している頃で、そうした番組への出演のきっかけになればとの思いだった。
最初のグラビアはイメージDVDと言われる水着でのDVDだった。ただ雑誌のグラビアよりも過激な水着や卑猥なポーズを取る世界に抵抗を感じたという。
「DVDにはちょっと抵抗がありました。やっぱり男性の“そのため”のものじゃないですか。DVDは友達やブランチのスタッフさんもみんな買ってくれたんですけど、ブランチのスタッフさんには『親目線で最初のシーンから直視できなかった』って言われましたし、他にも『買ったけど見られなかった』という人が多くて」
「内容もアイス舐めであったり、カメラの角度も際どかったりいかがわしく見られるように撮っています。世間の反応としては当然だし、それを私はやったんだなって。最初に3本DVDが決まっていて、そこまではやるとは決めていたので、その後は休みました。『これは私にプラスになるのかな』って疑問に思ったんで」
その後、グラビアから一旦離れ、戻ってきたのは2015年。30歳となり、芸能界から離れることも考えていた頃に友人のグラビアアイドル・たしろさやかに紹介された事務所に入った。そこでグラビアを再びやらないかと声をかけられた。
「その事務所のときに初めて週刊プレイボーイで撮り下ろしグラビアを撮影してもらったんです。そこからはちょこちょこと雑誌に呼んでもらえるようになって。私はグラビアに全力で乗り気というわけでもなかったけど、需要と供給で考えた時に求めてくれる方がいるのであれば、それに応えていくのが一つのやり方かなと思って。そこからグラビアをずっと続けています」
グラビア、そしてグラビアアイドルという職業への思いは強い。
「私は30歳を過ぎるまでグラビアアイドルって名乗らなかったんです。だって雑誌のグラビアに載っていなかったから。雑誌で撮り下ろしのグラビアをした時に、やっと『グラビアやってます』って言えると思ったんです。多分それは古い考えで、今はグラビアアイドルと名乗るハードルが下がってきていると感じます。現在ではSNSで水着姿になることで、グラビアアイドルと表現される方も増えてきた印象です」
平塚と同じように、簡単にグラビアアイドルと名乗れることを危惧するグラドルは実は少なくない。誰でも名乗れる職業となれば相対的に価値は下がり、それに伴いグラドル自体の質の低下を招いているのが現状だ。
グラドルの増加、そして質の低下によって起こったのがコンテンツのクオリティの低下だ。特にイメージDVDはグラドルの質の低下を補うように露出や演出を過激化させている。それに伴い人気のあるグラドルはDVDを回避し、ますます売れず過激になる負のスパイラルに陥っている。
平塚は芸能界の先輩として、イメージDVDを出そうとする後輩たちには次のように話す。
「私はもう覚悟してやっていますけど、若い子がなんとなくやるのだったら、過激な演出や露出過多なDVDの仕事はやらない方がいいと思います。事務所としてはDVDはパッと稼げるから楽だし、女の子としても芸能活動をしている稼働感が出るからやりたいと思うんです。ただ女の子にはそんなにお金も入らないし、一度出すとネットにはずっと過激なDVDのパッケージは残り続けちゃう。DVDも昔は人気のあるグラドルもやっていましたけれど、今はやることできちんとしたお仕事が難しくなっちゃうし、やるメリットはちょっとわからないですね」
現在は芸能事務所のマネージャーも並行して行っているが、そこでもグラビアのイメージの低下を感じ、複雑な思いになっているという。
「今はグラビアをやりたいという子はあまりいないですね。やりたくない仕事は?と聞くと、みんな『グラビア』と言うので。時代なんでしょうね。グラビアは無理やりやると病んじゃうので、それでいいと思います。私はメンタル強なんで、自分が決めたことは責任を取るので病むとかはないですけど、世間にわざわざ言わないだけでこれまでも病んできた子はいると思います」
「ただ、一般的な感覚として『グラビアって下品だね』となってしまうのはもったいないなと思います。グラビアって日本の独特の文化なので。ずっとグラビアやってきた身としては、衰退するのが嫌だけど、このままだとかなりまずい。女の子って結構女の子や、女の子の体が好きという子もすごくいるので。そういう面でもうまくこう、芸術アートとして残っていくような子たちが増えればいいなって」
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後編記事【面接で「社長と寝られます?」 業界の闇を経験したベテラングラドルが「芸能マネ」を始めて変えたいコト】では、自身も経験したという芸能界の闇、そしてマネージャーという仕事への思いについて語っている。
徳重龍徳(とくしげ・たつのり)ライター。グラビア評論家。ウェブメディアウォッチャー。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。その後、テレビ局のオウンドメディア編集長を経て、現在はフリーライターとして雑誌、ウェブで記事を執筆している。著書に日本初のグラビアガイドブック「一度は見たい! アイドル&グラビア名作写真集ガイド」(玄光社)。noteでマガジンを連載中 X:@tatsunoritoku
デイリー新潮編集部