「これはなんだ…?」“大量閉店”が決まった「ドミノ・ピザ」→注文してみると、意外な発見だらけだった!

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宅配ピザの大手「ドミノ・ピザ」が国内172店舗の“大量閉店”に踏み切る。
【画像】「これはなんだ…?」意外な発見だらけだったドミノ・ピザを写真で一気に見る
親会社であるオーストラリアのドミノ・ピザ エンタープライズが「収益化向上のため、赤字店舗を閉店する」と発表したのは、ことし2月7日のことだ。撤退するのは世界で205店、そのうちの8割を日本が占めるという。
“大量閉店”がニュースになった「ドミノ・ピザ」の現在は? NurPhoto via AFP=時事
同社は昨年にも大規模な店舗閉鎖を行っており、一部で「閉店ドミノ」なんて言われたほど。閉店のニュースをきっかけに、「コロナ禍で高まった宅配需要に乗って、店舗を増やしすぎた」「サービスが落ちた」などとも指摘されているが、実際はどうなのか?
実食を経てわかった結論。いま、ドミノはめちゃくちゃ変わりつつある。
さっそく、ピザを注文しようとホームページを開く。気になるのが上のタブにある「ピザBENTO」。
BENTO……つまり「弁当」のことか? 米のイメージが強い弁当とドミノのイメージが結びつかない。ここは頼んでみるしかない。

注文したのは「ドミノ・デラックス」のBENTO。さまざまな具材が勢揃いしたドミノ・ピザの中でも人気の高いメニュー。どんなものがくるのか。注文をして待つこと30分ほど。
やってきたピザBENTOの中身は……。

なるほど、小さめのピザにサイドが1品。ご飯に小さなおかず付きのお弁当をイメージさせるから「ピザBENTO」といったところか。メインのピザは直径15センチで1人用。サイドはポテトやからあげ、チキンナゲットなど計6種類から選ぶことができる。ちなみにサイドの品数は、1品か2品かを選ぶことができる。
ピザの種類によっては最安で持ち帰り590円~。これまでのピザに比べると小さいぶん、値段は抑えめだ。
早速食べてみる。
ピザを口に。あ、この感じ。普通のピザより少しスパイシーでカリカリしている。いろんな具材が入っているのが、味覚としても食感としても満足させる。

ポテトは太め。じゃがいもの味を感じられるタイプ。スパイシーなピザに対し、おだやかな味わいのバランスがいい。

見た目では「少ないかな?」と思ったが、全部食べると意外と腹にたまる。一人で気軽にピザを楽しみたいときにちょうどいいかもしれない。
ピザBENTOの狙いは、ピザを一人で気軽に食べられる食事にする、ということである。もともと宅配ピザはパーティーやイベントのときに大人数で食べる「特別なもの」というイメージがあった。だから(Sサイズであっても)1枚が大きかったし、一人で気軽に注文する気にはならなかった。
ただ、特別な食事だけでは販路の拡大につながらないということで、導入したのが「ピザBENTO」だった。
しかも、日本の単身世帯の数は1990年代以降増え続けていて、2045年にはその割合が約44%にも及ぶといわれている。こうした未来のおひとりさま需要を満たすものとしても「ピザBENTO」は理にかなっているといえるのだ。

ピザBENTOはもともと「マイドミノ」という名前で、すでに売られていたメニューだった。ただ、より「一人で気軽に食べられる」ことをアピールするため、内容の一部を昨年から変更。コロナ禍以降の新生ドミノ肝煎りの商品である。
で、もう一つドミノで新しく始まったことがある。
それが、ショッピングモールへの店舗の出店。実は今年の1月に初のショッピングモール出店を果たした。宅配でも持ち帰りでもなく、イートイン型店舗だ。これも気になる。ということで実際に行ってみた。
1店舗目が出店したのは、東京・有明にある「有明ガーデン」。2020年に誕生した、住友不動産による商業施設だ。

ここの2階がフードコートになっており、その一角に店舗型ドミノはある。いつもは外で見る「Domino’s」の看板がフードコートにあると少し違和感があるが、メニューはどうだろうか。

見ると品数はかなり絞られており、ピザBENTOを中心としたラインナップ。先ほど述べた「一人で気軽に食べられるピザ」を店舗型ドミノも目指していることがわかる。
フードコート内でピザを実食してみると……。抜群にウマイ。宅配か作り立てかでここまで変わるとは! これまでのドミノ・ピザの概念を覆された気持ちだ。
思えば、基本的に人類はこれまでドミノ・ピザを「作り立て」で食べたことがなかったのだろう。少なくとも出来てから30分は経過してしまうが、食べ物はどうしたって作り立てがおいしいに決まっている。
もちろん、30分以内の宅配を心がけているドミノ・ピザは宅配でもおいしい。けれど、フードコートで食べる作り立てのピザはドミノ・ピザの「フルパワー」である。

個人的な見解になるが、筆者はドミノの「フードコート出店」はかなり「アリ」なのではないかと思う。これにはいくつかの理由がある。
1つ目はデリバリー業態が苦戦していること。
そもそもドミノが「閉店ドミノ」現象を起こした背景には、コロナ禍で一気に出店を伸ばしたことがある。国内店舗は2023年10月に1000店舗を達成。2033年までに「国内2000店舗を目指す」という強気の出店目標も掲げた。
しかし、コロナ禍が落ち着き、街の人流が戻るとともにデリバリー業態も斜陽化する。ドミノだけでなく、他のデリバリー業態でも苦戦が目立つようになったのだ。であれば好調な外食、それも日本全国に数多く存在するフードコートへの出店は宅配一本足打法よりも安定的な経営が可能になるだろう。

2つ目は競合他社の存在。
思えば、フードコートなどに積極的に出店しているピザ屋には、実は競合他社がほとんどいない。同じく宅配ピザの「ピザーラ」がイートインスタイルの「ピザーラエクスプレス」を運営しているが、現状店舗数は30店舗弱ほど。
しかも店舗は東京ドームや東京タワー、エスコンフィールドなど観光地や球場といった非日常的なのロケーションが多い。一般的なショッピングモールのフードコートへの出店はほとんど無いのだ。とすれば、ドミノの展開次第によってはこの空いた穴を埋めることができるかもしれない。
3つ目は「ピザ」業界内でのポジションの問題だ。
他の業界も踏まえると、現在のピザをめぐるポジション取りは難しい。
例えば、今ピザを食べようと思ったら、スーパーマーケット各社が「激安ピザ」を販売している。ディスカウントスーパーとしてきわめて好調なオーケーは、直径30センチほどのピザを500円台で販売している。

その他、ロピアやライフなどでもピザは扱われており、ドミノよりも安価である。

価格競争でこれらの競合に立ち向かうことは難しいだろう。その際ドミノが取るべき方法は値段に還元できない価値をピザに作り出すこと。つまり「スーパーに比べるとちょっと高いけど、ドミノだから行く」店になることだ。
それを考えたとき「作り立て」を食べられるイートイン店舗は、もってこいだといえる。何よりこれまでずっとピザを作り続けてきた店の本領を発揮できる。
ショッピングモール店舗は良いことづくめなのだ。
「大量閉店」というと、どうしてもネガティブなイメージがある。ただ現在のドミノ・ピザを見ると、これまでの「特別なときに大人数で食べるピザ」というイメージから「気軽に一人で食べられるピザ」へとシフトしている最中だとわかる。
コロナ禍が落ち着き、単にこれまでと同じ運営方針で店を増やしていく方法は通用しなくなった。そんな時代の変化に合わせて店のあり方を変えつつあるのが、現在のドミノ・ピザの姿なのだ。いわば、リブランディングといってもいい。

だから店舗数についても「大量閉店」というより、適正な数に戻りつつある、という言い方が正しいのだろう。適正店舗数を探る中で、フードコートへの出店も徐々に増えていくかもしれない。
もちろん、課題は多い。ドミノがこれまで指摘されてきたような、店舗ごとでのピザの品質のバラツキや、注文システムのわかりにくさなどだ。これは、時代の流れ云々……というより、足元で解決すべきものだろう。

そうした課題も対処しつつ、ピザBENTOやショッピングモールへの出店がどのように進むのか。ドミノの取り組みが良い方向に転じるのか、見つめていきたい。
(谷頭 和希)

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