トカラ列島群発地震…南海トラフとの関連は?専門家「誘発することはまずない」 被害軽減のカギは耐震化&補強

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断続的に地震が発生している鹿児島県・悪石島では、住民の一部が島外へと避難している。悪石島をふくむ十島村の久保源一郎村長は、まだ残っている島民に向けて、避難を呼びかける。一連の地震では、悪石島から約40キロの小宝島でも被害が出た。
【映像】40キロも離れてても…地震の影響で“ヒビ割れ”した校庭(実際の映像)
専門家は、トカラ列島の群発地震が、南海トラフ地震につながる恐れはないとしている。南海トラフについては先日、政府の防災中央会議が、防災対策の基本計画を改定。有識者検討会は2025年3月、被害想定を見直し、最悪のケースで死者約29万8000人、建物の全壊約235万棟という試算を公表した。
これを踏まえて、中央防災会議は今後10年の減災目標として、死者は「おおむね8割減少」、全壊消失棟数は「おおむね5割減少」を目指すとしたが、SNSでは実現できるか懸念の声が上がる。大地震に備えて、政府や私たちができる手だてはあるのか。『ABEMA Prime』では、専門家とともに考えた。
ここ最近の群発地震について、日本地震予知学会の長尾年恭会長は、「火山性」の群発地震とみられると考えている。規模はマグニチュード7以上は考えにくく、期間としては6月21日から1カ月(後2~3週間)ほど続くのではないかと予測する。
火山性地震の特徴として、「巨大地震は起きない。火山があるということは、地下にマグマがある。冷たい方が大きな破壊が起こるが、小さな地震が群発することによって、エネルギーが小出しになる。大きな地震が起きづらいのはいいことだ」と説明する。
今後どの程度続くのか。「過去のものは2週間程度で収束していたが。今回はすでに2週間たっている。全部で1カ月、残り2週間ほどは収束の気配が見えず、もう少し続くと考えた方がいい」。
南海トラフ地震との関連性を気にする声もあるが、「トカラ列島の群発地震が、南海トラフを誘発することはまずない。フィリピン海プレートにより、西日本全体の活動が高まったから、昨年8月の“臨時情報”が出され、トカラの地震が起きた。原因と結果が逆になっている。少なくとも1週間や1カ月単位で、危機が高まっていることはない」と語る。
もし南海トラフ地震が発生すれば、「東日本大震災の被害総額は20兆円だったが、人口比から考えても、その10倍以上の被害が出る。加えて、インフラの老朽化が進んでいることから、100兆円を超える被害が出るだろう」と推定する。
長尾氏によれば、南海トラフ地震による死者は、「ほとんど津波が原因」とのことだ。「地震が起きてから10分以内に逃げれば、8割程度の人が助かると言われている。“津波てんでんこ”と言われるが、ドライに言うと、自分だけが逃げると助かる。その啓発活動が重要だ」。
南海トラフ地震をめぐっては、政府が3月、死者(最悪の被害想定29.8万人)を8割減、建物全壊・焼失(235万棟)を5割減とする目標を立てている。また、南海トラフ地震防災対策推進地域を拡大。1都2府27県723市町村(16市町村追加案)を対象とするもので、指定行政機関等は防災対策推進計画を作成する。
能登半島地震の被災状況も調査した金沢大学地震工学研究室・助教の村田晶氏は、「建物倒壊による死者は、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)の建物崩壊で約6000人強だったが、それと同等か少ないと考えられる。全壊は235万棟との試算だが、それと生存空間がなくなる建物倒壊はイコールではない。倒壊の5割減は、10年間で取れる方策もある」と話す。
具体策としては「命を守る意味で、耐震化はとても有効だ。ぜひとも進めてほしい」と呼びかける。建築基準法は1981年に大きく改正され、いわゆる「新耐震基準」が導入された。2000年にはさらに見直され、「現行基準」として構造計算の厳格化などが図られている。「耐震補強は、現行の基準に合わせて行われる。1981年以前のものも、壁の量を増やしたり、柱とはりに金物を入れて崩れないようにしたりすることで、2000年基準と同等まで持っていけば、少なくとも建物倒壊にはならないだろう」、
東京のマンション耐震事情はどうか。スマート修繕の「お住いのマンションの耐震・防災に関するアンケート」では、旧耐震マンション比率1位は港区33.3%で、渋谷区31.5%、目黒区29.0%と続く。古くから発展している町ほど問題は深刻だ。また、マンションの耐震性は、未把握が約6割、耐震性や強度に問題意識なしは約7割だった。
村田氏によると、「港区や渋谷区は、マンションだけでなく、旧耐震基準の雑居ビルもあるため、人が多い時間帯に大地震が起きると、被害も大きくなる」という。「一棟所有であれば修繕しやすいが、区分所有だと合意形成しにくい。『耐震補強して住みたい』と考えればいいが、住民それぞれ考え方は異なる」。
具体的な「生存策」としては、「寝室と居間に限定して安全を確保。それ以外は大きな机に潜って生存空間を確保」「隣近所とのコミュニケーションで、『お隣さん、出てこないよね』となれば『家の中にいる!』で救助に繋がる」といったものを挙げる。
また、ビル丸ごとの耐震補強はできなくても、「よく居る空間をシェルター的に補強することは、リノベーションの延長でできる。躯体が損傷して、建て替えなくてはならない状況になっても、少なくとも命を守ることは可能だ」と話す。
長尾氏が、地震に対する心構えを説く。「地震は必ず来る。予知ができても地震は止められない。だからこそ、家を強くする“耐震”が一番大事だということを、肝に銘じてほしい」。
(『ABEMA Prime』より)

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