このまま逃げ切れると思ったら、大間違いだ。自民党議員は、懐に入れた裏ガネをプライベートで使っていた……その動かぬ証拠を、本日6月23日発売の「週刊現代」がスクープする。
岸田政権から石破政権への交代、国民民主党をはじめとする野党の台頭、そして「コメ大臣」小泉進次郎の登場……政界が激動するいま、発覚から一年半あまりが経った、自民党の「裏ガネ事件」への関心は薄らぎつつある。
「しかし、裏ガネ事件の真相は未解明のままと言えます。中でも、いまだに自民党が決して口を開こうとしないのが、その『本当の使いみち』です」(全国紙社会部記者)
裏ガネをめぐっては、総勢85人に及ぶ「裏ガネ議員」らが党の内部調査を受けた。2024年2月に森山・党総務会長(現幹事長)が座長としてまとめた調査報告書では、使途について〈「政治活動費以外に用いた」又は「違法な使途に使用した」と述べた者は一人もいなかった〉とされた。
「ところが、このとき調査対象となった85人の中には、堀井学衆議院議員(後に議員辞職)もいました。堀井氏は調査後、秘書らに指示して裏ガネを使い有権者に香典を配ったことが明らかになり、公選法違反などが認められ、昨年9月に有罪判決が確定しています。
この捜査の過程では、堀井氏がスーツ代やサウナ代などに、裏ガネを『私的流用』していたことも明らかになりました。自民党の調査結果は、とうてい鵜呑みにできるものではないのです」(同前)
今回筆者は、その裏ガネの「本当の使いみち」を示す、決定的な証拠を入手した。自民党旧安倍派に所属していた、大野泰正参議院議員(岐阜選挙区、現在は無所属)が、個人的に使っていたクレジットカードの支払い明細書である。
捜査関係者が言う。
「カードの引き落とし口座は、りそな銀行衆議院支店に設けられていました。そして大野氏は、派閥からキックバックされた裏ガネを、この口座に入れていた。つまり、この支払い明細書は、裏ガネの使途そのものと考えられるのです」
明細書を見ると、どう考えても私的な支払いとしか思えない履歴が並んでいる。
たとえば2022年1月2日、大野氏は東京ディズニーリゾートで複数回にわたり、200~5600円を支出していた。また同日には、ディズニーアンバサダーホテルへの2万5800円、さらに旅行予約会社に支払ったとみられる3万998円の支出もあった。
ディズニーアンバサダーホテルは、東京ディズニーリゾート内にある人気のホテルだ。正月早々から、政治活動のために利用したとは考えづらい。
大野氏は、収支報告書への不記載額が2018年から2022年の5年間で5154万円に及び、裏ガネ議員で最多だった。一方で、2024年1月に自民党を離党したことから、前述の党の調査対象には含まれていない。
「収支報告書への虚偽記載の容疑で東京地検の捜査を受けた大野氏は、在宅起訴され、この9月に初公判が開かれることになっています」(全国紙裁判担当記者)
筆者が入手した支払い明細書は2018~2022年のもので、言うまでもなく自民党在籍時の書類だ。月々の支払い金額にはばらつきがあり、数千円のときもあれば、190万円を超えることもあった。
たとえば、目立って金額が大きいのは医療費だ。慶應義塾大学病院に、2020年9月に101万円、10月に191万円などの高額の支出がある。
「大野氏は、自民党副総裁を務めた大野伴睦を祖父にもち、両親もそれぞれ国会議員だった世襲議員です。この時期、母親で元参院議員のつや子氏(2021年1月に死去)が闘病していたことから、これらは母親の治療費だった可能性があります」(旧安倍派関係者)
大野氏自身のためと思われる支出は、老舗アパレルブランド「ブルックスブラザーズ」での買い物だ。2018年1月に地元岐阜の土岐アウトレット店で22万円分、2019年8月にはオンラインショップで25万円分を購入している。
さらに大野氏の「裏金口座」の支出には、不可解なものもみられた。後編記事『自民党議員、裏金で「ヤフー、アマゾン、アップル」「高級ホテル」「てもみん」支払っていた…!ヤバすぎる「私的流用」の全実態』で詳しく報じる。
「週刊現代」2025年07月07日号より
【つづきを読む】自民党議員、裏金で「ヤフー、アマゾン、アップル」「高級ホテル」「てもみん」支払っていた…!ヤバすぎる「私的流用」の全実態