尼崎市、USB紛失の業者に賠償請求へ ずさん管理、市幹部も処分

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兵庫県尼崎市の全市民約46万人分の個人情報が入ったUSBメモリーを委託業者が一時紛失した問題で、市の第三者委員会は28日、調査報告書を公表した。従業員がUSBメモリーを持ち出す際に記録を残さないなど、ずさんな管理が判明。市に無断で業務を再委託し、従業員には口止めをしていた。市は業者に損害賠償を請求する方針で、市側の監督も不十分だったとして市幹部を処分した。
尼崎市の委託業者、路上で寝込みメモリー紛失 業者は東京都の情報システム大手「BIPROGY(ビプロジー)」。住民税非課税世帯などに対する新型コロナウイルス臨時特別給付金の支給業務を市から受託した。

紛失したのはビプロジーが業務を再々委託した会社の男性従業員。男性は6月21日、大阪府吹田市のビプロジーの施設で、データの移管をするためにUSBメモリーを持ち出した。同僚らと飲食後に路上で寝込み、メモリーを入れたかばんごと紛失。同24日に発見されたが、個人情報の漏えいはなかったと結論付けた。 報告書によると、USBメモリーは普段、鍵のかからない引き出しに保管され、複数の従業員が共同で使用。持ち出しやデータ消去、返却などを記録に残さず、誰が使っているか分からない状況だった。 7月に第三者委が立ち入った際、引き出しには従業員の名前が書かれた複数のキーホルダーがあった。同社はUSBメモリーを持ち出した従業員がキーホルダーをフックにかけ、使用状況を管理していたと説明したが、実際は紛失以前には存在せず、偽装だった。 市が同社と結んだ契約では、USBメモリーを運搬する場合は鍵付きのケースなどに格納すると定めていた。しかし、紛失した男性が使ったのは鍵がかからない革製のかばん。パスワードも以前の業務で使ったものを使い回していた。 この問題では、同社が市に無断で業務を再委託していたことも発覚した。個人情報を管理する市のサーバー室に入るにはカードが必要だが、同社が使用申請した19人分のうち10人分は、再委託・再々委託先の従業員だった。同社は従業員らには所属を言わないよう口止めをしていた。第三者委は「意図的、組織的に自社の従業員に見せかけた」と批判した。 稲村和美市長は「市民の皆さんにご心配をかけた」と改めて陳謝。副市長を減給10分の1(1カ月)、総務局長を戒告とする処分を発表した。【亀田早苗】
業者は東京都の情報システム大手「BIPROGY(ビプロジー)」。住民税非課税世帯などに対する新型コロナウイルス臨時特別給付金の支給業務を市から受託した。
紛失したのはビプロジーが業務を再々委託した会社の男性従業員。男性は6月21日、大阪府吹田市のビプロジーの施設で、データの移管をするためにUSBメモリーを持ち出した。同僚らと飲食後に路上で寝込み、メモリーを入れたかばんごと紛失。同24日に発見されたが、個人情報の漏えいはなかったと結論付けた。
報告書によると、USBメモリーは普段、鍵のかからない引き出しに保管され、複数の従業員が共同で使用。持ち出しやデータ消去、返却などを記録に残さず、誰が使っているか分からない状況だった。
7月に第三者委が立ち入った際、引き出しには従業員の名前が書かれた複数のキーホルダーがあった。同社はUSBメモリーを持ち出した従業員がキーホルダーをフックにかけ、使用状況を管理していたと説明したが、実際は紛失以前には存在せず、偽装だった。
市が同社と結んだ契約では、USBメモリーを運搬する場合は鍵付きのケースなどに格納すると定めていた。しかし、紛失した男性が使ったのは鍵がかからない革製のかばん。パスワードも以前の業務で使ったものを使い回していた。
この問題では、同社が市に無断で業務を再委託していたことも発覚した。個人情報を管理する市のサーバー室に入るにはカードが必要だが、同社が使用申請した19人分のうち10人分は、再委託・再々委託先の従業員だった。同社は従業員らには所属を言わないよう口止めをしていた。第三者委は「意図的、組織的に自社の従業員に見せかけた」と批判した。
稲村和美市長は「市民の皆さんにご心配をかけた」と改めて陳謝。副市長を減給10分の1(1カ月)、総務局長を戒告とする処分を発表した。【亀田早苗】

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