【選挙で推し活】SNS活用で拡大傾向か…政党推す“箱推し”まで 「演説切り抜き動画」重要な戦略に 専門家「イメージだけに頼らないこと必要」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

都議選の投開票日を前に、演説動画がSNSで拡散し、候補者をアイドルのように推す“推し活”が若者中心に広がっているという。イメージ重視の人気投票化も進行しており、専門家は政党間の政策差の乏しさが背景にあると指摘し、有権者は一時的なイメージに惑わされない必要があると警鐘を鳴らす。
22日に投開票される「東京都議会議員選挙」。19日は、活発化する選挙とSNSの関係について解説する。
「公式動画」はもちろん、「演説の切り抜き動画」など、近年SNSが選挙戦の重要な戦略の一つになっている。
例えば、Aさんがある候補者の演説動画や切り抜き動画をSNSに公開し、この動画がいわゆるバズったり、さらには大量拡散されたりした場合には、演説以上の効果があり、その先の投票行動につながる場合もある。
選挙に詳しい中央大学の山田昌弘教授は「候補者のイメージで投票する人が増え、選挙の“推し活”化が加速している」と指摘している。つまり大切な選挙が単純な人気投票になってしまっているという。
取材をすると、選挙で“推し活”をしている方と出会った。
都内で出会った24歳の男性は、5年ほど前に「政党A」の政策を気に入り、候補者全員が好きという“箱推し”を自称している。
今回初めて見たという「政党A」の候補者との写真撮影時のポーズは、指ハートだ。
ここまでは、普通の“推し活”のように見えるが、実はこの方「群馬県」在住だ。都議選の選挙権がないにも関わらず、出掛けた途中で近くで演説があると聞きつけて推しのためにやってきたという。
都民ではないため、この候補が都議になったとしてAさんに直接的な生活の影響はない。山田教授は、この事例こそが選挙の“推し活”だとしている。
本来の選挙は、生活を良くしてくれそうな候補者を選ぶものだが、“推し活”は政策上の見返りを求めないという特徴がある。“推し活”の喜びは、あまり人の目に付かなかった政党・候補者が自分の応援によって当選することだという。
Aさんは政策から入った“推し活”だが、中には政策内容ではなく、イメージだけで応援する“推し活”もあるという。選挙の“推し活”について、街で聞いた。
街の人(30代):行かないより、行った方が良いからあり。関心持って投票に行くことが重要なので、“推し活”良いと思う。行き過ぎなければですけど。
街の人(20代):街頭演説してるとき、うちわ持って応援してる方もよく見る。
街の人(20代):見せ方に惹かれるという感じはある。
街の人(50代):色々な人が興味を持つのは良いんじゃない。
街の人(20代):“推し活”ハマっている方がたくさんいるから、そういう風潮はあってもおかしくない。
木村拓也キャスター:うちわで応援という、まさにアイドルのライブのようだということでした。
青井実キャスター:選挙が、推し活となってることはびっくりしますね。
SPキャスター柳澤秀夫さん:一概に否定するものじゃないけど、僕の世代というか、僕はちょっと馴染めない感じがしますね。
青井キャスター:その感覚はなかったですからね。でも今は、そういう推し活がきているということですね。
木村キャスター:街で取材してると、年代によって差はあるかなと思いました。若いネット世代の方がより“推し活”に対して、理解と許容があるのかなと思いました。選挙とSNSというのは、純粋に自分が“推し活”をしていなかったとしても、SNSと選挙という掛け合わせに近い関係性を感じているんだなと取材の中から見えてきました。
街の人(20代):SNSとかで流れてくる情報、動画とか口コミじゃないですけど。
街の人(20代):街頭演説の動画とかが回ってきたりするので、それを見る。
街の人(20代):いっぱい出てきたら人気なのかな?と思って投票しちゃう。
街の人(20代):日常に入り込んでくるなっていうぐらいです。
街の人(20代):TikTokとかSNS見てかなって感じ。
街の人(20代):Xだとマイナスの情報が結構回ってきやすい。
街の人(20代):(SNSは)1個の判断材料にはなる。
街の人(20代):(政策は)全部調べる気にはならないです。
街の人(20代):若い人はSNSを一番見るので、一番目に入るのかなと。
木村キャスター:もちろん若い世代でもSNSではなくて、新聞などでしっかり公約を見るという方もいましたが、情報の接地面が多いんだなと感じました。ただ、話を聞いていて、動画の切り抜き部分だけを見るのではなくて、コメント欄をしっかり見るとか、前後の文脈の元動画を見るという方も結構多くて、いわゆるファクトチェックも皆さん気にされていると思いました。
山田教授は“推し活”が進む要因について、「どこも同じような政策しか出さない政党側に問題があるのでは」と指摘しています。その一方で「接戦の選挙区や新政党の候補者は、“推し活”の対象とされなければ議席増は見込めない」という見方もあります。そして「都議選」「参院選」でも、有権者は「一時的な推しのイメージだけに頼らないことが必要」としています。
青井キャスター:我々も情報を取るに当たって、色々注意していくべきことはたくさんあると思います。
SPキャスター柳澤秀夫さん:SNS特有のフェイクという問題もあるじゃないですか。どこまで信じていいのか分からないという部分がある。色々なことを考えるきっかけとしてはいいと思いますが、単なる人気投票的になってしまうと、いわゆるポピュリズムに走ってしまう。中身じゃなくて。ある意味で、我々有権者自身が問われてるきっかけになってるいるのではないですかね。
宮司愛海キャスター:有権者が投票する時に、自覚的に何で選んでいるのかを意識して投票できると良いのかもしれないですね。
情報との接地面が増えるメリットがある一方、情報を整理しうまく活用していく必要がありそうだ。(「イット!」6月19日放送より)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。