「石ころ避けて“汚物”に手を出し」 山尾志桜里氏に酷評された玉木「国民民主」の醜態

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国民民主党は11日、今夏の参院選で比例代表に擁立する予定だった山尾志桜里・元衆院議員について、公認しないことを決めた。これを受けて山尾氏は党の姿勢を批判する声明文を発表し、離党届を提出したことを明らかにした。今後も情勢は流動的だが、永田町の外にも波及し、大きな騒動となった「山尾公認問題」とは何だったのか。見えてきたのは国民民主党のあまりに情けない実態だった――。
【写真を見る】“美魔女”と呼ばれていた頃の山尾志桜里氏
国民民主が参院選での山尾氏擁立を発表したのは5月のこと。それ以降、報道各社の世論調査で党の政党支持率が下落傾向となっていった。
「玉木雄一郎代表の不倫騒動を受けても政党支持率に大きく響くことはなかったのですが、山尾氏の擁立が報じられて以降、支援組織から反発の声が上がっていきました。国民民主を支持する特に若い層はSNSを中心にそれまで触れることのなかった“山尾氏の過去”を知ることになり、それも支持率低下の一因とされています」
と、政治部デスク。
反発の代表例が、国民民主と縁の深いカメラマン、堀田喬氏の批判だろう。堀田氏は山尾氏を含む同党の公認候補(当時)4名を取り上げて、「汚物まみれ」と酷評したのである(関連記事:“汚物まみれの四人衆” 国民民主党を酷評したカメラマンが本音を明かす 「こんな候補しか立てられないのは、それだけ人材がいないってこと」 榛葉幹事長の見解は)。
山尾氏は、衆院議員時代に既婚男性との不倫や秘書によるガソリン代の不正請求問題が報じられた人物である。
「ガソリン代は“地球5周分”などと報じられ、山尾氏自身もガソリーヌなどと不名誉なあだ名で呼ばれることになりました(注・のちに本人が地球9周分だったと訂正している)。秘書がガソリンのプリペイドカードを大量購入し、どこかで換金していたと見られています。秘書はこれを政治資金で処理し、収支報告書に載せていましたが、報道があっても山尾氏は実態を明確に説明することができなかったと記憶しています。不倫についても同様に説明責任を十分に果たしていなかったように感じていました」(同)
その後、いったん政界を離れたが、玉木氏からの誘いを受け、参院選にチャレンジすることとなった。それから前述の通り、党内外から批判や不満が噴出し、玉木氏が山尾氏に公の場で説明することを求めていた。
そのようにして実現した今回の会見、記者からの質問は不倫問題に集中した。
これに対して山尾氏の説明は極めてわかりにくいものだった。不倫が報じられた8年前の時点と、スタンスは変わらないと言うから、どうやら不倫関係ではなかったという主張らしいのだが、表現が回りくどく、結果として記者たちの攻撃性を増すことに。また、相手の元妻が自殺したことについては「事情を知らない」などとし、詳しい説明を避けたため、逃げている、あるいは冷たいといった印象を広めることとなったのである。
「わざわざ会見を開いたわりには話せないとか言及できないことが多く、何のために出てきたのかなと首を傾げてしまったほどです。私生活と仕事は別という考え方もあるでしょうが、一方で政治家は全人格を問われるという考え方もある。不倫は私生活の領域の話とはいえ、不法行為でもあります。その点を指摘されることは当然理解したうえで再チャレンジを決意したはずで、会見は消化不良で物足りない印象ばかりが残りました。この程度の説明なら会見しない方がベターだったんじゃないの?といった声すらありましたね」(同)
この会見後、国民民主は公認しないことを公表した。玉木氏は決定について「山尾氏が立候補の会見をしてあいまいな受け答えになることが本人と党にとってプラスになるのかどうか、世の中のさまざまな反応も含めて慎重に見極めていたのが正直なところだ」などと述べたが……。
「山尾問題はこのところの玉木氏にとって頭痛の種だったことは間違いありません。会見についても玉木氏自身、“同席しようか迷っている”と話していたそうです。そうしなかったのは、不倫疑惑が報じられた過去がある2人が並ぶのはお笑い種そのもので避けるべきだという判断が下ったためと聞いています」(同)
もっとも、党の決定に怒りが収まらないのは山尾氏だ。山尾氏は憤りを隠さず、厳しい党批判のコメントを発表した。
「大変残念だ。おとといの記者会見のあと、24時間もたたないうちに性急な結論をちょうだいしたことには正直驚いた。『有権者、全国の仲間、支援者からの十分な理解と信頼が得られない』とのことだが、公党の判断理由として有権者に説得力を持つものなのか疑問もある」「正式な公認内定を受けても党の都合で排除されてしまう政党では、志のある人も今後、立候補の決断にちゅうちょしてしまうのではないか。国民民主党には感謝しつつ、その統治能力には深刻な疑問を抱いているので、今後は一線を画させて頂きたい」
コメントでは、「公認辞退ならば会見に同席すると玉木代表、榛葉幹事長に持ち掛けられた」という衝撃の暴露まで含まれていた。
過去の問題はさておき、このコメントにおいては山尾氏のほうが論理的に一貫しているとは言えそうだ。
「このタイミングでの公認取り消しという判断は結果的に良くなかったと見ています。山尾氏の抱える疑惑や問題はこれまで説明が不十分で今回の会見でもそうでしたが、それでも新たに発覚したものではなく全て過去のもの。三顧の礼と言わないまでも玉木氏から頭を下げて出馬を依頼したわけで、このタイミングではしごを外すのは山尾氏の指摘するように統治能力に”深刻な疑問”を抱かれても仕方ないでしょう。
特に不倫に関しては、玉木氏自身のそれについては、私生活と仕事は別であるという理屈で乗り切ったはずなのに、今回は昔の話の説明が不十分だと言って問題視するのは理屈が通らない。一連の対応は、候補者や所属議員に不祥事があった場合、国民民主党は個人に対応を丸投げする体質の組織だと示したも同然です。少なくとも危機管理的な観点からアドバイスする、党とすり合わせをするといった基本的なことすら怠っているのでは、統治能力に疑問を呈されても当然です」(同)
そもそも国民民主が山尾氏のほか、維新に所属していた前衆院議員の足立康史氏、立憲に所属していた前参院議員の須藤元気氏、みんなの党や自民党に所属していた元参院議員の薬師寺道代氏の4人を擁立することを決めた背景には何があったのか。
「国民民主は選挙を志す人を一般公募してきましたが、それなりに応募があっても玉石混交ならまだしも、“石ころばかりだ”という判断をしていたとのこと。玉木氏自身、人材育成をするよりも国政経験者を即戦力としてスカウトする方に舵を切った。この4人は程度の差こそあれこれまでの問題行動などが指摘され、擁立に懸念の声が上がっていました」(同)
世の中に埋もれている“石”を磨くことを怠った結果、「汚物まみれ」と酷評される人材に自ら手を出した。しかし彼らを身ぎれいにするために手を差し伸べることすらせずに切り捨てる。
それで「国民のための政治」はできるのだろうか。
デイリー新潮編集部

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