恋愛感情を利用し、高額な商品を買わせる“デート商法”の被害が拡大しています。悪用されているのは、出会いのツールとなっているマッチングアプリです。被害に遭った女性が語った巧妙な手口とは。
■被害に遭った女性「遠い世界の話と思っていて、まさか自分がそういった人に巻き込まれるというか。なぜ、あそこで断れなかったのだろうという後悔はありました。」
取材に応じてくれたのは、福岡県内に住む20代の会社員の女性です。3年前、マッチングアプリで知り合った男からデートを装い、居酒屋に誘い出されたのが事の発端でした。趣味や仕事などの話をしていると。
■男「無料で貯金とかの相談ができるところがあるから、 給与明細2か月分とボーナスの明細を持って、相談に行かない?」こう言われた女性が詐欺を疑うと、男は強めの口調で否定したといいます。■被害に遭った女性「無料なら使えるものは使っておこう。そんな気持ちで行ってしまいました。」
翌日、女性は男と待ち合わせをし、福岡市中央区にある会社に向かいました。そこで、営業担当を名乗る男から「家賃を下げられる」「車を購入する際、値切ることができる」「株式投資の先生を紹介できる」などと言われ、100万円の会員制コンサルティングサービスを契約するよう勧誘されたといいます。■被害に遭った女性「100万円出しても自己投資だと思って、自分が変わらないといけないのではと言われて、確かに長い期間でみれば、100万円は安いほうなのかなと思ってしまった。怖さ、はいと言わないと帰れない雰囲気が強かったです。」契約料の100万円は、マッチングアプリで出会った男と消費者金融を2か所を回り、用意したということです。
出会いのツールとして広がるマッチングアプリを悪用した“デート商法”。国民生活センターによりますと、マッチングアプリなどでのデート商法の相談件数は、利用者の増加とともに増え、昨年度は154件となっています。福岡県警は「デート商法」のマニュアルを作り、違法な勧誘をしたなどとして福岡市城南区の会社員、会野英雄容疑者(38)を5月、逮捕しました。警察によりますと、被害者は2018年からのおよそ7年間でおよそ390人、被害額は3億9000万円に上るとみられています。
今回、取材に応じた女性も、会野容疑者が実質的に経営していた会社から被害を受けた1人です。100万円の契約を結んだ直後に消費生活センターに相談し、全額返済を受けることができました。■被害に遭った女性「ネットで出会った人は、最初からすぐに信用するのは危険だと思う。こういったニュースを見て、私も気をつけようって思ってもらえたら。」マッチングアプリを悪用した犯罪。警察は「お金を増やす方法について無料で相談できる」「投資に詳しい先輩がいるので会ってみないか」といった文言が出たら、特に注意してほしいと呼びかけています。