またもや「迷惑水上バイク」集団でイルカの群れ追いまわす…規制を阻む「自由航行」の壁

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安全には気をつけたい
8月29日、『めざまし8』(フジテレビ系)で放送された「水上バイクによる迷惑行為」が波紋を呼んでいる。
番組では、熊本・天草の海でイルカの群れを執拗に追いまわしている水上バイクの集団の映像が流された。天草は野生のイルカが間近で見られることで人気の観光スポット。危険を感じているという漁師の声も紹介された。
これに対し、SNSでは
《水上バイク乗ってる人って常識ない人多いよね? もっと規制したらいいのに。イルカが可哀想すぎる》
《水上バイクは水上暴走族なんだな ナンバー付けさせて厳しい取り締まりやれば良いんじゃないかね あまりにも暴走族多過ぎだろ》
《水上バイクはなんで野放しなのか。イルカだけじゃない。海水浴場で爆音と排気ガスを撒きちらし、海水浴客のそばを通ったり。騒音で浜辺でくつろぐこともできない》
と、怒りの声であふれている。なかでも多いのは、「なぜ規制できないのか」という声だ。
「水上バイクの運転には『特殊小型船舶免許』が必要です。費用は6万円程度、合格率は95%程度で、難しいものではありません。航行していいのは陸から2海里(約3.7キロ)以内で、その範囲内であれば制限速度もなく、ほぼ自由。
海上は原則『航行の自由』で、水上バイクだけに速度制限や罰則を科すわけにはいかないのです。
そもそも海には信号も横断歩道もなく、取り締まりが難しいのです。ナンバープレートはありませんが、識別番号は車体に表示義務があります。ただ表示が小さいので、離れた場所から確認することは難しい」(社会部記者)
この時期になると毎年のように報じられる「水上バイク問題」だが、これに積極的に取り組んでいるのが兵庫県明石市だ。
2021年、明石市の海岸で水上バイクが遊泳客のすぐ近くを航行する危険行為の映像がテレビ番組で放送されると、明石市は、容疑者不明のまま殺人容疑で告発状を提出、大きな反響を呼んだ。
そして2022年7月、遊泳者安全区域や危険行為への罰則を明記した「水上オートバイ等の安全な利用の促進に関する条例」を施行。危険行為に対して、6月以下の懲役または50万円以下の罰金を科すことを決めた。さらに、市内13カ所に監視カメラを設置するという力の入れようだ。
明石市の泉房穂市長は自身のTwitterにこう書き込んだ。
《『水上バイク対策』として、明石市は、新たに「条例」を制定し、「懲役刑を含む罰則」を定め(市町村では全国初)、「監視カメラ」を設置し、パトロールも実施している。兵庫県も対策を強化した。本来は、国が法整備すべきテーマ。国への働きかけを続けていく予定だ》(7月10日のTwitterより)
もはや、社会問題。国は動くかーー。

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