〈日本駆け込み寺事務局長がコカイン所持の容疑で逮捕〉立ちんぼ、ホス狂い対策に“全力対応”も相談者の女性と吸引…代表理事は「万死に値する」「返せ俺の人生」と怒り心頭

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悪質ホストクラブによるトラブルが社会問題化するとともに、その相談機関として名を上げた公益社団法人「日本駆け込み寺」の事務局長の男が18日夕方、コカイン所持の疑いで現行犯逮捕された。「日本駆け込み寺」は東京・新宿区立大久保公園の目の前にあり、立ちんぼ女性の居場所として、またホス狂の娘を持つ親御さんの相談機関として親しまれた場所だった。親御さんからの信頼は厚く、昨年5月には当時の厚労大臣の武見敬三氏との面会の場を取り仕切っていた。
〈画像〉ホス狂いの母たちと厚生労働大臣に陳情にいった田中容疑者の写真、LINEのやりとりも
逮捕された男は田中芳秀容疑者(44)。「日本駆け込み寺」のある新宿区大久保の路上付近で相談者の20代女性と一緒にいるところを職務質問され、小分けにされた袋の中にコカインを所持していたのが見つかり現行犯逮捕されたという。
この「日本駆け込み寺」は虐待や引きこもりなどに関する相談を受けていた。また、悪質ホスト問題に関する相談の急増に伴い設立された関連団体「青少年を守る父母の連絡協議会」(青母連)では、日本全国の親御さんや当事者などからの相談も受けていた。
田中容疑者はこの「青母連」の代表理事も兼任していた。悪質ホスト問題に取り組む新聞社やメディアとの付き合いも多く、弊サイトの記者もまたその一人だった。
昨年5月22日には厚生労働省内で代表理事の玄秀盛氏と田中容疑者、さらにホス狂の娘をもつ母親ら3人とともに当時の厚労大臣の武見敬三氏に面会。武見氏は母親らの話を親身に聞き、後に可決された「色恋営業の禁止」を盛り込んだ改正風営法などの政策に繋がったとされている。
当時、「日本駆け込み寺」に相談していたホス狂の娘を持つ母親に、田中容疑者の逮捕について聞くと、「信じられない…」と絶句した。
「青母連さんは、ホストにハマり家出をした娘のことをどこに相談したらいいかわからない時に、唯一受け皿になっていただいた場でした。警察に相談しても『未成年ではない大人の判断での行ないですからね…』とあしらわれたところ、青母連さんの存在を知り、すがる思いでご連絡し対応してくれたのが田中さんでした。田中さんとはLINEを交換し、親身に相談に乗ってくださいました」
記者も、ホス狂の娘を持つ母親と田中容疑者のLINEのやり取りを見せてもらったことがある。そこで田中容疑者はこんな風に母親を勇気づけていた。
ホス狂の娘の母親「田中さん。玄さん。少し。最近静かになってきてる、警察や。行政を動かしてください。私のように。悩んでるお母さんいると思うし。私はやっぱり。ほっとけないので」田中容疑者「ぜひ一緒に告発しましょう。母親の声一番大事です」
記者自身も田中容疑者とは何度も電話やLINE、メールなどでやり取りをしていた。大久保公園前のガードレールに立ちんぼ女性が寄りかかることから、新宿区が今年2月に「ガードレールの撤去」を行なうと報じられた際にも田中容疑者にLINEで連絡を入れた。
すぐさま「月曜日は事務所は休みです。自分個人は稼働している」と反応した田中容疑者は、記者の取材に対し、立ちんぼ女性の現状をこう話していた。
「新宿警察署の署員が赤いジャケットを着て毎日のようにパトロールをしています。立ちんぼ女性は“赤ジャケ”が来ると私らの『駆け込み寺』に入ってきてその場をしのいでいます。立ちんぼする女性たちの大半はホストに貢ぐことが目的で、もちろん私たちだって彼女たちがいなくなることを望んでいる。でもその解決策として『立ちんぼ一斉摘発』では問題の根本解決にはならない。やはり悪質ホストを根絶やしにすることだと思っています」
記者はかつて「日本駆け込み寺」代表理事の玄秀盛氏にも取材をしており、その当時、玄氏からは「田中はもともとライターで、ボランティアとして参加する相談員だった」ということは聞いていた。
ライターが取材活動の果てに支援側や相談員側に回ることはよく聞く話だが、それにしても田中容疑者の対応はとても丁寧で真面目に感じられ、「本当に心の底からこの悪質ホスト問題の解決の糸口を探している人なのだ」と感心したものだった。
代表の玄秀盛氏は田中容疑者とは毎日のように顔を突き合わせていたわけだが、容疑者の変化に気づかなかったのか。その旨を聞こうと玄氏のメールやケータイにも問い合わせたところ次のようなメールが送られてきた。
これは内部スタッフにも一斉送信されたメッセージのようで「報道各社の皆様及び駆け込み寺関係者の皆さまには、誠にこの度の田中芳秀の不祥事に関しては申し訳ございませんでした」という言葉と共に、田中容疑者に向けた激しい怒りをむき出しにした長文だった。以下、一部を抜粋する。(すべて原文ママ)
〈今回の駆け込み寺職員(田中)について申し上げます。本年2025年4月1日から田中芳秀の役職は「公益社団法人日本駆け込み寺・事務局長(職員)一般社団法人青母連・玄秀盛代表理事との共同代表理事です。今回の騒動は、駆け込み寺の23年間の活動の根幹を揺るがす大問題でもあり、今後駆け込み寺の存続にも波及します。「万死に値する」所業です。
(中略)
当初、第一報を聞いた時に一言「青天の霹靂」信じられない仮に薬物所持したなら「きっと相談者が持っていたのを没収して説得してたんじゃ無いのかな…とか正義感からの行動だと思ってた。まさか本人が薬物所持・使用とは空いた口が収まらない、強い憤りを感じ裏切られた気持ちやら無性に腹が立った。あれ程、本人も歌舞伎町では薬物が蔓延してるししょっちゅう薬物所持・使用で逮捕者が出てる事は認識してるのに。「ミイラ取りがミイラになる」語源の通り本人が浮き足だったんでは無いか?
(中略)
ほんと、腹立たしい、絶対に逃がさないし辞めさせない。償いと再建は同時に行う。
ましてや本日(5月20日)駆け込み寺二十四年目のスタート日。信用と言うのは誠に日々の積み重ね「一日一生」の積み重ねで参りました。23年8402日。逮捕されたのが2日前なら8400日。返せ8400日返せ俺の人生、返せ俺の信念、返せ一日一生 返せ、青母連返せ駆け込み寺
何のための駆け込み寺・青母連だったのか悔やんでも悔やみ切れず一睡も出来ず一晩中考えながら書きました。皆さんの、意見・異見・異言あるのは承知の上で書きました。本音でもあります。今日から、また必死で頑張ります。後始末も考えておりますがもう少しだけお待ちくださいませ〉
田中容疑者は「自分で使うためだった」と容疑を認めているという。同時に逮捕された20代女性からも薬物反応が出ている。
「田中は17日の土曜日の夜、『駆け込み寺』で仕事をした後、帰宅。女性と一晩過ごし、そこでコカインを吸引、翌日外食して帰宅する際、挙動がおかしいことから職質を受けた。一晩過ごした女性は相談者で、風俗店で働く女性でした」(捜査関係者)
警視庁は田中容疑者が女性に薬物使用を勧めた可能性も視野に入れて捜査を進めている。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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