首都高6人死傷事故、被告が風邪薬服用・前夜から不倫相手とLINEで睡眠不足…初公判

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埼玉県戸田市の首都高速で昨年5月、大型トラックが渋滞の車列に突っ込んで6人が死傷した事故で、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死傷)に問われた元運転手・降籏紗京(ふりはたさきょう)被告(29)の初公判が20日、東京地裁(大川隆男裁判長)であり、被告は起訴事実を認めた。
検察側は冒頭陳述で、被告が体調不良を自覚していたのに睡眠不足のまま安易に運転し、事故を招いたと指摘した。(中村俊平)
起訴状によると、降籏被告は昨年5月14日午前7時半頃、大型トラックで配送業務中の首都高速5号池袋線で、渋滞で停車していた乗用車に時速約80キロで追突。車列の車を炎上させるなどして、船本宏史さん(当時54歳)と小松謙一さん(同58歳)、杉平裕紀さん(同42歳)を死亡させ、他の3人に重軽傷を負わせたとされる。
検察側は冒頭陳述で、事故3日前から風邪の症状があった降籏被告が、眠気成分を含む風邪薬を繰り返し服用した上、事故前夜から当日未明にかけ、不倫相手とLINEのやり取りを続け、睡眠をほとんど取っていなかったと述べた。
降籏被告が2023年に勤務中の事故で罰金70万円を科せられ、支払いのために勤務先に借金をしていたとも言及。事故当日は「借金のある会社に迷惑をかけられない」などと考え、38度を超える高熱で体調不良を自覚しながら、休みを申告せず運転を始めたとした。事故直前には、正常に運転できずにふらついたり、LINEをしながら運転したりしていたとも指摘した。
この日の法廷では、被害者参加制度を利用した遺族ら約10人が審理を見守った。証拠調べで、降籏被告のトラックに追突された乗用車が炎上する様子の映像が流れると、遺族からはすすり泣く声が漏れた。この間、降籏被告は表情を変えずに前を向いていた。
事故を巡っては、降籏被告の体調不良を認識しながら交代要員の確保を怠ったなどとして、勤務先の運送会社「マルハリ」(札幌市)の元社長(48)が業務上過失致死傷容疑で書類送検されている。降籏被告は事故後に解雇されたという。

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